健康志向の現代において、甘味料として砂糖の代わりに他のものを使用する場面をよく目にします。その代表格なのがオリゴ糖とはちみつです。いまいち違いがわからないという方も少なくないです。今回はオリゴ糖とはちみつについて見てみましょう。
オリゴ糖とはどんなもの? オリゴ糖の効果とは
オリゴ糖は砂糖や大豆などを原料としているもので、単糖が数個程度から多い場合10個程度くっついているものになります。また、赤ちゃんが飲む母乳にも含まれています。
甘さの程度としては、砂糖よりも弱め(砂糖の0.2~0.8倍程度)なので、味としてはさっぱり目となります。オリゴ糖は腸内細菌の主なエサになることから、腸内環境改善のために使用されることが多いです。加えて、血糖値の急上昇を抑えてくれる効果もあるため、ダイエットにも効果的です。実際に国から特定保健用食品として認定を受けている、健康への寄与がきちんと認められている成分です。
オリゴ糖と腸内環境の関係について詳しくはこちらをご覧ください。
・腸内環境改善に良いオリゴ糖の種類と特徴とは?!
・腸活とオリゴ糖と腸内フローラとの美味しい関係とは!?
はちみつとはどんなもの? はちみつの効果とは
続いてはちみつについて見ていきましょう。はちみつの原料は、ミツバチが採集した花の蜜です。ショ糖を主成分としていて、甘さとしては、砂糖の約1.3倍とされています(ただし、はちみつの種類によって異なります)。
味は濃厚なので、そのまま摂取しようとすると、人によっては苦手意識が芽生えることもあります。おすすめとしては、風邪の際などにお湯などに溶いて飲んだり、レモンジュースで割るなどして飲んだり、はちみつ紅茶にすると飲みやすくなります。糖質以外にもアミノ酸などの栄養素も豊富に含まれていて、「天然の栄養ドリンク」といっても過言でないものです。
ただし、一つだけ重要な注意点があります。1歳未満の赤ちゃんにおいては腸内細菌叢が未発達なため、はちみつに含まれているボツリヌス菌に負けてしまうことで、乳児ボツリヌス症に罹患する可能性が高いです。そのため、1歳未満の赤ちゃんには与えてならないとされています。
一見矛盾しているかもしれませんが、前述したボツリヌス菌の問題はさておき、はちみつには抗菌・殺菌効果もあるので、風邪予防や喉の痛みにも有効なだけでなく、食品の腐敗防止にも有効です。実際に、古代のはちみつがそのままの形で見つかったり、古代エジプト人がミイラの防腐剤としてはちみつを使用していたことがわかっていたりと、そのくらい昔からはちみつは身近に使用されています。
オリゴ糖とはちみつの違いをあまり語るのはナンセンス?
今回のコラムの表題にもあるように、よくオリゴ糖とはちみつとを比べる場面が確かに多いですが、これはちょっと的外れです。なぜなら、はちみつにもオリゴ糖が含まれているからです。オリゴ糖の方がさっぱりしていて、はちみつの方がその独特の風味も含めて濃厚な味わいとなり、両方を好みで使い分けるようにすると良いでしょう。
オリゴ糖とはちみつ、どちらがおすすめかと言われたら?
前述したようにオリゴ糖もはちみつも健康面への寄与という点では優れており、好みによって使い分けるというのが良いです。目的によりますが、成人の健康な人が健康の寄与のために使用するとしたら、どちらかというとはちみつの方が良いとはいえます。
はちみつにもオリゴ糖が含まれている点、また、はちみつの方がオリゴ糖以外の栄養素が含まれている点で、はちみつを毎日の生活に取り入れる方が良いでしょう。
はちみつは、実は古来より薬としても使用されてきていて、漢方薬としてもきちんと薬効が評価されているものです。はちみつに関しては、漢方医学の基になった中国最古の書物である『神農本草経』にも生薬(石蜜という名前)としての記載があり、「気を益し、中を補い、痛みを止め、毒を解し、衆病を除き、百薬を和す」と書かれています。かなりの広い薬効ということが理解できます。これを具体的に記載するなら、「滋養強壮、便通改善、解毒、止痛」と言えます。
はちみつ関連のものも健康に良い!
はちみつがすごいのは、関連したものまで健康関連商品として広く実用化されていることです。具体的に列挙すると多岐に渡るものが存在しています。
・ローヤルゼリー
ミツバチが集めた花粉などから作り出すもので、女王蜂が生涯にわたってエサとする唯一無二の食物であることから「王乳」とも呼ばれています。
・プロポリス
ミツバチが植物の新芽や樹脂から作るもので、花粉やミツバチの分泌物である唾液、ミツロウなども含まれます。
・マヌカハニー
フトモモ科の低木でニュージーランドの固有種であるマヌカから採れるはちみつのことで、限られた土地でしか自生せず、生産量も安定しないことから「希少なはちみつ・奇跡のはちみつ」として認知されています。
・蜂の子
蜂の幼虫や蛹(さなぎ)のことで、ミツバチだけではなく、スズメバチ、アシナガバチなどの蜂の幼虫や蛹を含みます。
これらの事実からも、オリゴ糖よりもはちみつの方が日々の健康習慣維持にはより適していることが理解できます。はちみつを使ったレシピもかなり豊富に存在しているため、ぜひ自分でも色々と試してみてください。
はちみつについてはこちらもご覧ください。
・はちみつが白く固まるのはなぜ? 固まったときの対処法
・はちみつに含まれる糖質パラチノースでスローカロリー
【ライター紹介】
宮川 隆 (みやがわ りゅう)
名古屋市立大学薬学部卒業、南カリフォルニア大学(USC)国際薬学臨床研修修了、東京大学大学院理学系研究科修了
薬剤師ほか第一種放射線取扱主任者、甲種危険物取扱者、調理師など30以上の資格を保有。
現在は、国立大学法人 東京科学大学 安全本部 特任准教授
(国立大学法人東京大学医学部附属病院 届出研究員)
(国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 客員研究員)
(公益社団法人日本アイソトープ協会 講師)