糖とカンロ

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【後編】「糖から未来をつくる。」をスローガンにキャンディの魅力で世界をつないでいく ~糖とともに世界へ羽ばたく カンロの未来~

2017年に、40年ぶりとなるCI(コーポレート・アイデンティティ)の刷新を行ない、中期経営計画「NewKANRO 2021」で「キャンディNo.1企業」を目指すことを目標に掲げたカンロ。後編では、そのイノベーション戦略をインタビュー形式にて社長の三須が語ります。

素材本来の美味しさという原点にこだわり、カンロ飴をリニューアル

カンロは「糖と歩む企業」として、糖を基盤とした事業を通じて人々の健やかな生活に貢献してまいります。そのために、今後ますます「素材を活かす」と「機能性」を軸とした商品開発へと舵を切っているところです。

今秋に予定しているのが、カンロを代表するロングセラー「カンロ飴」のリニューアルです。1955年の発売以来初めてのことですが、従来は味わいに深みをもたせるために調味料(アミノ酸)を加えていたオリジナルレシピを見直し、砂糖・水飴・しょうゆ・食塩という「素材」だけで変わらぬ美味しさの再現に成功いたしました。これは容易なことではなく、研究開発に1年の月日を掛け奥行きのある味わいに仕上げることがようやくできたのです。もちろん、香料・着色料も不使用です。

また、カンロ独自の技術を掛け合わせた新提案として、「ミルクのカンロ飴」「ハーブのカンロ飴」を新たに姉妹品として発売いたします。それぞれ「金のミルク」で培ったミルクの加工技術・「のど飴」で培ったハーブの知見を用いることで、濃厚なミルク味の癒しやすっきりしたハーブの爽やかさが、カンロ飴の甘じょっぱさと出会いました。
これを機に、カンロ飴に新たなファンが生まれてくれると思います。そして「素材」を大切にするカンロの姿勢も感じていただけることでしょう。

口・のど・鼻にすっきり感をもたらすような、飴ならではの機能性を追求

「機能性」というと、一般にはビタミンやカルシウムなどのサプリメントが思い浮かぶかもしれません。ですが、カンロのいう「機能性」は、キャンディだからこそ発揮できるものを指します。
例えば、口の中に長く留まっているからこそ癒されたり、のどの通りがすっきりと感じられたりなど、口腔内や鼻・のど・その先の胃や小腸・大腸も視野に入れて、食べた方に体感していただける商品の提供です。

これまでの商品でも、ハーブを用いた「健康のど飴」は1981年に発売し、菓子業界で初めて「のど飴」という新たなカテゴリーを創造しました。
「スーパーメントールのど飴」も強力なミントの力で、のどと鼻を貫くような爽快感が得られます。国立音楽大学声楽科の協力を得て開発した「ボイスケアのど飴」はプロポリスや7種のハーブを配合しており、声やのどを気づかう職業の方からも支持を得ています。

そして、今回、開発した新商品が「健康のど飴 ドクタープラス」です。口腔衛生で先進的な鶴見大学との共同研究で、国内外から取り寄せた123種類のハーブをすべて厳密に分析しました。その結果、のど飴に最適なハーブの1つがホップエキスであることがわかり、のど飴には稀有なホップエキスを配合しました。ビールの原料として知られるホップですが、その爽快な苦味や香りのみならず、近年いろいろな研究がされているのです。
私たちは今後も研究開発に取り組み、現在単独ブランドで硬直化しているのど飴市場を凌駕する意気込みです。のど飴市場を私たちカンロが変え、36年前にわが社が造り上げたのど飴市場のNO.1を目指します!

カンロの商品を世界中の人に届け、笑顔にしたい

CIの刷新とともに発表した「長期ビジョン」では、「糖から未来をつくり、世界中の人を笑顔にするキャンディNo.1企業」を目指すとしていますが、商品開発においてイノベーションを起こしていくことと並び、宣言しているのが「グローバリゼーション」です。
日本の人口はすでに減少に転じておりますし、キャンディ市場規模を国民総生産で見ても日本市場は世界市場の約6%に留まっています。そこで、20年後の2037年までに、海外売上比率を50%に伸ばすことを目標に掲げました。決して絵空事でなく、実現できる数字だと思っています。

実は、カンロはかつて中国・広東省で香港企業と合弁で事業展開していた実績があります。諸事情で6年ほど前に撤退しましたが、当時、現地製造や販売に携わっていた社員もおります。
難しいのは、大手の製菓卸会社やコンビニエンスストア・スーパーマーケットの流通に乗せやすい日本の流通事情は、世界で見れば特殊だという点です。アジアではほとんどが家族経営の個人商店であり、そこにあまねく商品を流通させるのは至難の技。販路の確保が至上命題となります。

私自身、三菱商事時代に英国や中国での駐在経験を通じ、各地での菓子や加工食品の製造・流通事情を見てきています。
その経験からも、流通チャネルをしっかり構築した上でぜひ、アジアを皮切りに海外展開の再チャレンジをしたいと考えているのです。そのため、7月1日付けで「海外事業室」という組織を発足させています。

販路さえ確保できれば、日本のキャンディは世界に十二分に通用するに違いありません。チョコレートやスナック菓子は、欧米に品質の良い商品やブランドが定着しており、むしろ日本のメーカー品はそれとは違う進化で存在感を示しています。
手で溶けずにお口で溶けるチョコレートなどが一例ですが、伝統的な商品でシェアを取ることは現実的ではないでしょう。しかし、キャンディやグミでは誰にでも愛される商品・ブランドを展開できる余地があり、カンロがこれまで日本国内で生み出してきた商品の味や品質は、海外に流通する商品を大きく上回っているという自負があります。「素材を活かす」と「機能性」にこだわった商品を世界中の人に届け、笑顔にする日も遠くないことでしょう。

(プロフィール)
カンロ株式会社
代表取締役社長
三須 和泰