糖とカンロ

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カンロの「健康経営」と、誰もが働きやすい環境をつくるための取り組みとは

 

創業110年!「カンロ飴」など時代に合わせたヒット商品を手掛ける

カンロは、キャンディやグミを主力商品とするお菓子の製造販売メーカーで、1912年に山口県で「宮本製菓所」という名で創業し、2022年に創業110周年を迎えました。

1950年代にしょうゆを用いた「カンロ飴」が大ヒットしたことをきっかけに順調に事業拡大を進め、国内のキャンディ市場でトップシェアを誇るまでに成長しています。

ヒット商品の「カンロ飴」の他にも菓子食品業界で初となるのど飴「健康のど飴」や「金のミルクキャンディ」、「ピュレグミ」など定番のロングセラー商品から斬新なアイディアが詰まった商品まで、バラエティ豊かなお菓子を世に送り続けています。

創業以来、常に消費者ニーズの変化を読み取りながら、時代に合った商品開発を行っており、数々のロングセラー商品を生み出す秘訣は、時代を読み取る力と、カンロの研究開発力があげられます。
ほかにも、「1つ1つのブランドに愛着を持って大切に育てていく」という企業風土があり、ロングセラー商品を生み出す環境に大きく貢献しています。

▲豊富な商品ラインナップ

人と社会の持続可能な未来に貢献する」パーパスドリブン企業を目指す

カンロは2022年に「"Sweeten the Future" 心がひとつぶ、大きくなる。」というパーパスを新たに策定し、これから会社が進んでいく方向性や方針に加えてクレド(行動指針)を再定義しました。
この背景として、近年、企業における社会的な存在価値や意義を重要視する機運の高まりや、市場のグローバル化を受け、今後カンロとしてどのような未来を創造していくのかを明確する必要がありました。
そこで、変化が激しく不確実性の高い現代社会において、自分たちの進むべき方向や目指すものを言語化するためにパーパスを策定し、同時に企業のロゴもリニューアルしました。

「パーパスドリブンな企業」を目指すことも表明し、「企業価値の向上」と「人と社会の持続的な成長に貢献していこう」という理念のもと、中期経営計画2024を策定し、取り組んでいる最中です。

そんなカンロの「健康経営」と、誰もが働きやすい環境をつくるための取り組みをご紹介いたします。

▲カンロの掲げるパーパスとクレド(公式HPより引用)

健康経営優良法人に認定。社員が安心して働ける環境をつくる

創業以来、お菓子業界を牽引しているカンロは、2020年に「健康経営宣言」を発表しました。これは、誰もが働きやすい環境づくりと、社員と家族の健康づくり支援を積極的に推進する取り組みです。

今回、人事・総務本部 副本部長の西ケ谷宏子さんと、人事部 労政企画チーム・チームリーダーの北島恵美子さんに、カンロの健康経営やダイバーシティ推進への取り組みなどについて伺いました。


Q:2020年7月に「健康経営宣言」を出されましたが、宣言に至った経緯について教えてください。

北島さん:1981年発売の「健康のど飴」をはじめとしたお客様の健康を考えた商品を販売している会社としては、お客様の健康はもちろん、カンロで働く社員の健康も大切にしています。
この姿勢自体は長らく変わっていないのですが、「宣言」以前は社員の健康に寄与すると思われる施策をバラバラに実施していました。そこで、これらをきちんとまとめて体制を整え、実行していくための柱として「健康経営宣言」を発表しました。
体制を整える大きなきっかけとして、経済産業省が健康経営を推進し、社会的にも企業の健康経営度が注目されるようになったことがあげられますが、その結果、経済産業省と日本健康会議が進める「健康経営優良法人」に、2022年・2023年と続けて認定されました。

Q:社員の健康増進のため、具体的にどのような取り組みをされていますか?

北島さん:代表的な取り組みとしては、禁煙推進があげられます。
就業規則に就業時間中の禁煙を明記し、それまで各工場に設置されていた喫煙所もすべて廃止しました。
ただし、一方的に禁煙を命じるというのではなく、禁煙補助という形でタバコをやめられるような支援活動を同時に進行しています。
取り組みを始めた2016年頃には社内の喫煙率は30%ぐらいでしたが、現在(2023年4月)は18%台まで下がってきています。
喫煙率の低下は、社員の健康増進効果はもちろん、食品メーカーとしても大きな価値を生みますので、意義のある取り組みと感じています。


「歩幅チェックサイン」など、オフィスにも健康のための工夫あり


Q:他にはどのような取り組みがありますか?

北島さん:カンロ本社オフィスでは、日々の仕事に従事しながら健康増進を図ることができる様々な工夫を取り入れています。
例えば、意識的に歩幅を広くする「歩幅チェックサイン」や、立ちながら会議をする「立ち会議室」、立ったまま仕事ができる「昇降テーブル」、座りながら体幹を鍛える「バランスボール」などです。

▲バランスボールがミーティングチェア代わり

Q:「立ち会議室」では立ちっぱなしで会議をするのですか?

北島さん:そうですね。1日にいくつもの会議に参加する役員ですと、3~4時間立ちっぱなしで会議していることも珍しくありません。
一方で、立って行うからこそ、短く済ませる工夫をするようになり、会議自体の効率や生産性はアップしているかなという印象です。

▲立って会議を行うようになってから、短い時間で効率的な会議進行が実現

もしもの疾病に対する不安を解消するサポート体制

Q:「健康経営宣言」以降、社内の反応はいかがでしょうか?

北島さん:「健康経営宣言」を発表して以降、毎年社内で「健康と仕事」に関するアンケート調査を行っています。
このアンケートの回答では「健康に関する取り組みに比較的興味を持っている社員が多い」という結果が出ており、今後の取り組みに対しても期待値は高いと感じています。

Q:社員の間で評判の良い取り組みはありますか?

北島さん:三大疾病と呼ばれる「がん・心疾患・脳血管疾患」の3つの病気に対し、会社が治療と仕事を両立できるように支援する制度は喜ばれていると思います。
これは、会社が加入している保険を利用しており、例えばがんと診断された社員に対して、条件をクリアすると一時金が支給されるといった取り組みで、年間数名の利用者がいます。

Q:お金の不安をサポートすることで、治療に専念しやすい環境を作れるわけですね。

北島さん:そうですね。以前から制度化していた治療期間中の所得補償に加え、まとまったお金のサポートとして一時金も加えた、という感じです。
所得補償に関しては、健康保険で支給される傷病手当に加え、時効により消滅する有給休暇の積立や病気による欠勤が、一定期間有給になる制度があります。

これらの制度を利用することで、治療でお休みし始めてから2年程度は、何らかの所得補償を受けられる制度設計となっています。

ダイバーシティ推進で女性管理職率が14.5%にまで向上


Q:カンロさんでの女性の活躍状況について教えてください。

西ケ谷さん:カンロは2018年からダイバーシティ推進に力を入れて取り組んでおり、女性管理職率は2023年時点で14.5%を超えるところまで増えています。
現在の男女比はおよそ「男性7割・女性3割」という内訳なので、自然な姿としてゆくゆくは女性管理職率を30%まで持っていきたいというのが目標です。

Q:もともと女性比率は高かったのですか?

西ケ谷さん:取り組みを始めた当初は5%程度しかいませんでした。

Q:そこから5年ほどで、女性の管理職率をおよそ3倍にまで高められた秘訣とは?

西ケ谷さん:先ほどもお話しした通り、カンロでは2018年から本格的なダイバーシティ推進への取り組みを開始しました。
女性活躍はダイバーシティ推進を進める上で重要な取り組みの一つなので、まずそこに力を入れたことが影響していると思います。

また女性活躍だけでなく、様々な取り組みが一気に進んだのにはちょっとした理由があるんです。
当時の社長が「ダイバーシティをスピーディーに進めるためには、人事部主体で進めないほうがいい」という考えを持っていたため、人事ではなく社長直下で進めることになりました。

人事部主体で進めるとなると、どうしても法律や社内規定を確認して整備しながら進めることになります。そこで、ダイバーシティの部分だけを外に出すことで、どんどん進めていくことができたのです。
 


「1年生の壁」での離職を防ぐ時短勤務の活用法

Q:女性が活躍しやすい環境を作るためには何が重要だと思われますか?

西ケ谷さん:出産や育児といったライフイベントには、女性だけでなく男性も関わってきます。そこで、会社としては性別にかかわらず、働きやすく、また戻ってきやすい職場づくりを目指して取り組んでおります。

カンロでは出産をきっかけに退職する社員はほとんどいませんし、男女問わず産休・育休を取得しやすい雰囲気があります。
また、産休・育休を終えて戻ってきても活躍しやすい風土も整ってきているなと感じています。

Q:具体的にどんな取り組みを導入されていますか?

北島さん:制度として、お子様が小学4年生になるまでは時短勤務可能と定めています。
また2歳になる前に復帰した場合は、時短勤務であっても通常通りのお給料を支給しています。産休によるブランク期間を短くすることで仕事と離れている時間が少なくなり、モチベーション低下防止につながると考えています。

お子様がある程度、自分のことができる小学4年生までは柔軟な働き方ができるようにすることで、いわゆる「小学1年生の壁」という事情で離職されることを防ぐことができます。

このような制度設計には、社員一人ひとりが自分の状況に応じて、時短をうまく活用しながらもしっかり活躍してほしいという、会社側からの想いが込められています。

Q:有給休暇を時間で取得する、なども可能ですか?

北島さん:お子様の看護休暇に関しては、時間単位で有給休暇を使えるようにしています。

男性社員の育児休業取得について

Q:男性社員の育児休業の取得について教えてください。

北島さん:以前は男性の育児休業の取得者はいませんでしたが、短期間の育児休業者を複数名出すことにより「男性であっても育児休業を取得して良いんだ!」との意識醸成ができると考え、育児休業2日間を有給とする提案をし、制度を導入しました。

その結果、2016年に初めて男性の育児休業の取得者が出て、その後、取得者は増加をしていき、2022年には取得率100%となりました。

また、取得率だけでなくこの数年は1ヶ月以上の育児休業取得者も毎年数名出るようになり、誰もが育児休業を取得できる環境が整ってきていると感じています。

求めるのは「自社商品に愛着と誇りを持って仕事ができる人」

Q:社内で活躍している社員の特徴について教えてください。

北島さん:「(自分が)こうやりたい」「こうやればきっと達成できる」という強い意志を持って、未来を考えながら着実に行動に起こしていくような人、というのが特徴かなと思います。

自分たちの創意工夫で、市場に新しい価値を提供することを大切にしている会社ですので、前例がない中でも、広い視野で多角的に物事を捉え、どんどんチャレンジしていく情熱のある人が多いですね。

▲カンロでは「K・A・N・R・O」の頭文字を用いて、目指す姿・求める人物像を定義している(公式HPより引用)

Q:ホームページに掲載されている要素に集約されていますね。

西ケ谷さん:そうですね。補足するなら、自分たちの商品に対して愛着や誇りを持った方と一緒に働きたいなという想いがあります。

昨今は、経理なら経理、営業なら営業という感じで、職種を軸に仕事を選ぶ傾向が強いと感じていますが、弊社は飴やグミといった、とても夢のある商品を作る会社ですので、そこに価値を見出してくれる方が好ましいと思います。
そういう会社で仕事をしていることに誇りを持ちコミットする中で、自分も会社も成長していく、という関係が理想ですね。

▲社内には、キャンディボックスが設置されており、誰でも自由に食べることができる。フードロス削減の一環にも。

100年企業となっても、最新のニーズを敏感に取り入れることで挑戦を続けていくカンロ。
健康経営やダイバーシティ推進には、ハードとソフト両面での整備が重要であることがよく分かりました。

企業の社会的意義を軸としたパーパスドリブンこそ、消費者に支持され続ける秘訣なのかもしれません。
西ケ谷さん、北島さん、ありがとうございました。


■取材協力
採用ページ:https://www.kanro.co.jp/recruit/

転載元取材記事|ミライのお仕事 - ミライの天職を見つける転職・お仕事メディア
https://jobseek.ne.jp/corporate-data/kanro/