昔から「早起きは三文の徳」といわれ、早起きして朝から体を動かすことや朝からしっかり食べることは体にとって良いイメージがあります。近年では「朝活」という言葉も飛び交い、早起きをして一日を有意義に過ごそうとしている方も多いのではないでしょうか? 朝活には欠かせない朝食。朝食を食べるとどんな良いことがあるのかについて解説します。
朝食を食べる4つのメリット
①朝のエネルギーチャージ
ヒトは寝ている間も代謝は行われ、エネルギーを使っています。例えば夕食を19時頃に、朝食を7時頃に食べると仮定した場合、食事と食事の間が12時間程度空き、私たちの体は起きた時からエネルギー切れ状態なのです。※1
朝食で糖質、脂質、たんぱく質といったエネルギー源となる栄養素をとることで、脳や内臓など全身の器官にエネルギーを補給し、朝から活動的に動くことができます。
②体内時計を調整し、良質な睡眠に
私たちの体には体内時計が備わっており、その周期は個人差はあるものの24時間よりも少し長いといわれています。体内時計を24時間に合わせることで睡眠と覚醒のリズムを整え、速やかな入眠や睡眠の質を良くすることが期待できます。
朝起きて日光を浴びることに加え、朝食を食べることで体内時計の調整ができるといわれています。また、睡眠前の夜食や間食は体内時計を遅らせ、睡眠の質を低下させ、翌朝の睡眠不足感を引き起こすため、控えるようにしましょう。※2
③セカンドミール効果で昼食後の血糖値の上昇を緩やかに
朝食を欠食すると、昼食後の血糖値の上昇が、朝食を食べた場合よりも急激に上昇することがわかっています。※3
血糖値が急上昇すると、それを下げるためにインスリンというホルモンが大量に分泌されます。そうすると今度は急激に血糖値が下がり、この血糖値の乱高下は血管にダメージを与えてしまい、動脈効果の要因の一つとなります。
朝食を食べることで1日を通して血糖値の変化を緩やかにすることができます。
血糖値についてはこちらで詳しく紹介しています。
・あなたは大丈夫??健康診断でも気づけない血糖値スパイク!!
・血糖値スパイクって何? 食後血糖値で何がわかるのか
・低GI食品とは? 食後血糖値について考える
④野菜不足の解消に
朝食欠食により1日2食になると、栄養をとるチャンスを1回逃してしまうことになります。普段の食生活の中で不足しがちな野菜。「1日350gの野菜を食べましょう」とよくいわれますが、350gは小皿に入れると5皿分程度。これを2食で補うのは、準備するのも、食べるのも大変です。1日に必要な野菜をしっかり補うには1日3回の食事が必要なのです。
ダイエットのために朝食抜き、実は逆効果?
ダイエット中、無駄なエネルギーをとらないようにするため、食欲のない朝は食事を抜き、摂取エネルギーを減らすことで減量効果を期待している方が多くいるかもしれません。しかし、これは逆効果。朝食をとることにより午前中だけでなく、午後のエネルギー消費量(代謝)を上げることができるといわれています。※4
また、朝食を抜くことにより昼食後の血糖値が急上昇し、過剰に分泌されたインスリンは脂肪として蓄積されるため太りやすくなります。朝食を抜くとつい昼食にドカ食いしてしまうという方は特に注意が必要です。
朝食べたほうが良いおすすめの食べ物
朝からバランスよく、主食、主菜、副菜、果物、乳製品を食ベることはとても理想的です。ただ、現状朝食を食べる習慣のない方や、朝はあまり食欲がないという方に、いきなり全て食べましょうというのは難しいですよね。まずは糖質のとれるご飯やパンといった主食、そしてたんぱく質のとれる肉、魚、卵、大豆製品といった主菜を何か一つずつ食べられるようになると良いでしょう。糖質はエネルギーとして利用されやすく、たんぱく質は体温を上げる働きがあるため、朝の体のスイッチをオンにすることができます。
ブドウ糖についてはこちらで詳しく紹介しています。
・朝の倦怠感を解消!自律神経を整える朝ごはんとは?
朝、ブドウ糖がチャージされないと午前中は頭がボンヤリしたまま。 ご飯やパンなどの炭水化物はゆっくりとブドウ糖にまで分解され、脳に栄養として届きます。
朝食の準備を手軽にするコツ
朝から食事作りに追われてしまうとそれだけで疲れてしまい、せっかくの朝活が台無しです。何かと時間が限られている朝に、パパッと朝食を準備するコツをご紹介します。
①まとめて切りおき、ゆでおき、焼きおき
作りおきをしておくと忙しい時にも便利と知ながら、なかなか続かないという方は多いのではないでしょうか? そんな方におすすめしたいのが「切りおき、ゆでおき、焼きおき」です。夕食の添え野菜を切るときにまとめてたくさんキャベツをせん切りにしておく、ブロッコリーを1株全部ゆでておく、ゆでものをした後のお湯でゆで卵をゆでておく、鮭はまとめて焼き、冷凍しておくなどちょっとしたことで、朝の作業がグンと楽になります。
②市販品を活用
ハムやウインナー、納豆、ツナなど調理のいらないたんぱく質源に、冷凍野菜やカット野菜を組み合わせるだけで、包丁なしでも立派なおかずになります。食パンにハムと解凍した冷凍ブロッコリー、スライスチーズをのせて焼くだけでバランスバッチリの一品になります。普段の納豆に解凍した冷凍ほうれん草や焼きのりを混ぜるだけでもいいですね。市販品を使うとラクして美味しく、栄養補給ができます。
朝ごはんにおすすめの食べ物やレシピはこちらをご参照ください。
・【フルーツサンドレシピ】必須アミノ酸トリプトファンが豊富! キウイとバナナのヨーグルトクリームサンドの作り方 適糖おすすめレシピ
③電子レンジを活用
朝から洗い物がたくさん…というのは辛いですね。フライパンや鍋などの調理器具を減らすためにおすすめなのが電子レンジ調理です。通常は鍋でゆでる野菜も、カットした後、濡らしたペーパータオルをかけ、ラップをして電子レンジで加熱するだけで簡単に蒸し野菜にできます。ウインナーや溶いた卵を調理する場合にも電子レンジは便利です。
電子レンジを使ったお手軽レシピはこちらをご参照ください。
・【ライ麦パンのレシピ】ツナときのこのクリーミィトーストの作り方
1日を元気に過ごす源となる朝食。1日3食食べることは、想像以上にエネルギー補給だけではない体への良い影響を多くもたらします。食べる習慣がない人はずは何かを口に入れるところからスタートし、朝食から体を整えてみてはいかがでしょうか。
朝食におすすめの「アサイーボウル」はこちらをご覧ください
・アサイーボウルで貧血対策 再注目のスーパーフード「アサイー」をおさらい
<参考>
※1「早寝早起き朝ごはん」全国協議会HP、朝食の効果https://www.hayanehayaoki.jp/about.html
※2 厚生労働省:健康づくりのための睡眠ガイド2023、P22-28 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001181265.pdf
※3 佐々木 敏:糖尿病の食事療法、内科121(1):39-42、2018
http://.nutrepi.m.u-tokyo.ac.jp/publication/ja/3996.pdf
※4 永井、坂根、森谷:朝食欠食、マクロニュートリエントバランスが若年健常者の食後血糖値、満腹感、エネルギー消費量、および自律神経活動へ及ぼす影響、糖尿病48(11):761-770、2005
https://www.jstage.jst.go.jp/article/tonyobyo/48/11/48_11_761/_pdf/-char/ja
ライタープロフィール
渥美 まゆ美
【管理栄養士/フードコーディネーター】
保育園栄養士、健保組合、大手料理教室の講師を経てフリーランスで活動後2016年株式会社Smile meal設立。
現在は出版、メディア出演、レシピ開発など体にプラスな料理の提案をすると共に、企業向け健康セミナーの講師や従業員の健康をサポートする料理教室、高齢者向け介護予防教室など健康サポート事業にも携わる。