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かき氷の都市伝説。かき氷は太るのか、痩せるのか

食べ物にまつわる都市伝説は、昔から語られてきました。人から人へ伝わる都市伝説は、真偽のほどが定かではありません。かき氷を食べると「太る」とか「太らない」というのも都市伝説の一つ。実際のところ、かき氷を食べるとどうなるのでしょうか。まったく反対の意味の都市伝説に注目してみましょう。

かき氷の都市伝説とは

かき氷が「太る」「太らない」の都市伝説は、どのような背景で語られるようになったのでしょうか。

かき氷の原材料は、氷とシロップです。氷は水が凍ったものなので、カロリーは0kcal。甘いシロップが掛かっているとはいえ、乳脂肪分が高いアイスクリームと比べるとカロリーが低いイメージがあり、「太らないのではないか」と考えられています。

また、暑い日にかき氷を食べると、体が冷えて涼しさを感じますよね。ヒトの体は体温を一定に保つ働きがあり、「冷えた体を元に戻そうとする分、エネルギーを消費する」とも考えられています。

この2つが「かき氷を食べると太らない」といわれるようになった都市伝説の理由です。

反対に、「かき氷を食べると太る」といわれる理由は、かき氷にのせるトッピングが関係します。

あんこや白玉団子をのせた宇治金時、練乳をたっぷりとかけたイチゴミルク、たっぷりのフルーツソース、ソフトクリーム付きなど、トッピングの種類はさまざま。トッピングがたくさんのった華やかなかき氷は「カロリーが高くなり、食べると太る可能性がある」と考えられているのです。

かき氷のカロリーはどのくらい?

では、かき氷のカロリーはどのくらいあるのでしょうか。

かき氷はお店によって、さまざまな材料が使われています。シロップのみを見ても、砂糖を主原料にして食用の着色料で色付けしたものや、果物をペースト状にしたものなど、いろいろな種類があります。材料によってカロリーに違いがあるため、一般的な色付きかき氷のカロリーを見ていきましょう。

かき氷にかけられているシロップは大きさによって変わり、平均すると約20~40mlです。市販されている色付きシロップ100g当たりのカロリーは約200kcal。かき氷1杯分にすると、約40~80kcalとなります。氷は0kcalですので、シロップ分のカロリーが摂取エネルギーです。

また、トッピングによってもカロリーは変わります。宇治金時のかき氷には、あんこや白玉団子などがのっているものもありますよね。

あんこ20gは約50kcal、白玉団子3個(約60g)は約110kcal、練乳10gは約30kcalです。この3つをのせ、シロップをかけた宇治金時のかき氷のカロリーは、約270kcalとなります。茶碗に盛り付けたごはん150gは約250kcalですから、宇治金時のかき氷の方がカロリーは高いのです。※1

このように、かき氷の種類によってカロリーに幅があります。かき氷を取り扱っているお店によっては、メニューにカロリーが表示されていますので、カロリーが気になる場合は食べる前に確認してみましょう。

かき氷を食べることで消費されるエネルギー

かき氷のカロリーのほかに都市伝説として語られている、「冷えた体を元に戻すためのエネルギー消費」とはどのようなことなのでしょうか。

ヒトの体は体温を一定に保つために、温度調節を行っています。体温調節に使われるのが、食べ物から摂取した栄養素を代謝するときに生まれるエネルギーです。

食べ物から摂取したエネルギーは、体温の調整をするだけでなく、内臓を動かしたり、呼吸をしたりして生命を維持するためにも使われています。このように、活動をしていなくても消費するエネルギーのことを「基礎代謝量」といいます。※2

かき氷を食べることで、体温調節にどのくらいエネルギーを消費するのか定かではありませんが、体温調節でエネルギーを使うことは確かだと言えるでしょう。

また、食べ物の栄養素が吸収されて体で分解されると、代謝量が増えます。これを「食事誘発性熱産生」といいます。

栄養素の種類によって消費エネルギー量は異なり、タンパク質のみでは摂取エネルギーの約30%、糖質のみでは約6%、脂質のみでは約4%となります。※3

例えば、シロップを掛けただけのシンプルなかき氷を食べ、約80kcalを摂取したとします。シロップの原料を糖質のみとすると、摂取エネルギーの約6%は約5kcalです。このカロリーが、かき氷を食べただけで消費されると計算上ではいえるでしょう。

かき氷の都市伝説は個人差あり

基礎代謝量や食事誘発性熱産生は、個人差があるといわれています。加齢や運動不足で筋肉量が少なくなると、基礎代謝量や食事誘発性熱産生は低下するからです。※2※3

また、体に脂肪がついて太る理由は、摂取エネルギーが消費エネルギーよりも増えるためで、食べたもの全てが関わります。

もしも、普段から高カロリーのおやつを食べていたらどうでしょうか。

1個300~380kcalのアイスクリームや1枚40kcalのバタークッキーを数枚食べるなど、カロリーの高いお菓子をおやつに食べる代わりに、夏の間はシロップのみをかけたシンプルなかき氷を食べるとします。シンプルなかき氷1杯は約40~80kcalのため、いつもより摂取エネルギーが減って痩せる可能性もあるのです。

このように、かき氷を食べたときの摂取エネルギーや消費エネルギーには個人差があります。糖分とエネルギー摂取量を上手にコントロールすると、体重が増えることなくかき氷を楽しめますよ。

食べたものによって太る原因は、消費エネルギーよりも摂取エネルギーが多くなったときです。かき氷で「太る」のか「痩せる」のかの都市伝説は、どちらも条件によっては当てはまるでしょう。

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参考

※1 文部科学省 日本食品標準成分表(七訂)
https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/1365419.htm

※2 基礎代謝量
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-019.html

※3 食事誘発性熱産生 / DIT(しょくじゆうはつせいねつさんせい)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-030.html