オンラインカードゲーム『シャドウバース』の2018年世界大会で優勝し1億円の賞金を獲得した、eスポーツプロのふぇぐ選手。前編ではeスポーツを始めたきっかけや練習を支える「金のミルク」について語っていただきました。後編では優勝後の反響や今後の展望をうかがいます。
優勝後も練習あるのみ
Q:プロになった当初の目標が世界大会優勝だったと思います。目標が実現して、優勝前後で変化はありましたか。
ふぇぐさん:友だちが増えたくらいです。覚えていないような昔の知人からも連絡が来ました。
もっと強くなりたいと思っているので、優勝後も変わらず10時間以上は練習しています。練習する日は13時くらいに起きて、翌日の6時に寝ることが多いです。
あとは練習の効率を上げたいと思っています。今は練習時間でカバーしている部分がありますが、もっと早くカードを覚えることができれば余った時間を実践に回すことができるので。デッキは仲間と一緒に考えていますが、プレイは自分でやらなければいけないので、そこを重点的に練習しています。「こういうプレイはだめ」ということを体験して、次からはやらないようにしています。わからないからミスをして負けた、ということを減らすための練習です。
Q:やはり狙っているのは世界大会2連覇でしょうか。
ふぇぐさん:狙っていきたいですね。ですがシード枠がないので、もう一度世界大会に出場するための権利を自力で取らなければいけません。3年連続出場はさすがにきつい、と思っていますが、優勝はしたいので今まで通り練習してがんばります。
ただ、年々プレイヤーのレベルが上がっているだけでなく、シャドウバース自体がどんどん戦略的になってきています。ゲームからeスポーツに変化してきて、難易度が上がってきたと感じています。
Q:世界大会の賞金の使い道はもう決まりましたか。
ふぇぐさん:父親が不動産業界で働いているので、親孝行を兼ねてマンションを買おうか検討しています。
ですが賞金1億円、となると大金すぎて、正直なところ実感がわかなかったです。飲み会のあとにお金をおろそうとして、通帳を一度閉じました。「これを今見られたらマズい」と思ったので。
「金のミルク」は脳のエサ
Q:普段練習するときや試合に向けて、体調面や精神面などで気を使っていることはありますか。
ふぇぐさん:昔はルーティンを作ろうといろいろと考えていたのですが、最近はなにも考えていません。やりたいことをなんでもやって、ストレスをためないようにしています。そもそも普段は練習時間を決めていないので、疲れてきたら休憩する、飽きたらやめるようにしています。結果的に12時間練習していることも多いのですが。
試合前日の練習はしっかりやり、終わったあとは寝たければ寝る、飲みたかったら飲む、風呂に入りたかったら入る、というふうに自由に過ごしています。
Q:ストレスを極力ためないようにしているのですね。ストレス発散に甘いものを食べる、ということもありますか。
ふぇぐさん:ストレス発散のため、というよりも、練習中の集中力を高めるために食べています。味はシンプルであればあるほど好きなので、結局今は「金のミルク」が脳のエサのような状態になっています。
シャドウバースを始める人のきっかけになりたい
Q:次の世界大会も同額の賞金が出るとのことなので、シャドウバースはまた盛り上がりを見せると思います。eスポーツがどんどん発展していくことに対して、どのようなことを感じていますか。
ふぇぐさん:僕をきっかけにして、eスポーツやシャドウバースのことを知ってほしいな、と思っています。そのためにもう1年勝って「ふぇぐといえばシャドウバース」というイメージを定着させたいです。僕のことを知ってシャドウバースを始める人が現れるような、ビッグな人間になりたいです。
Q:最近は「埼玉ゲームシティ」のようにさまざまなイベントに参加して活躍の場を広げていますね。こうした活動は今後も続けていきたいと考えていますか。
ふぇぐさん:ぜひ今後もやっていきたいですね。埼玉ゲームシティは本当に面白かったです。シャドウバースをやっているお子さんとの対戦企画をやりましたが、シャドウバースをやっている親御さんとの交流も生まれて、「すごくいいなあ」と思いました。シャドウバースは初心者向けに説明しようとしてもすごく難しい言葉になってしまいます。最初は僕をきっかけにシャドウバースを知ってもらい、絵柄がかわいいから、などの簡単な理由で始めてくれればいいかな、と思います。理解してから戦略性を楽しむ、というのがおすすめです。
あとはシャドウバースがうまくなる前提で、別のゲームのイベントにカジュアルプレイヤーとして参加してみたいです。結果的に別タイトルとシャドウバースの架け橋になれるといいです。
優勝後も上達に向けて練習を積み重ねているふぇぐ選手。練習中に飴を舐めたり、ストレスをためないようにしたりと、シャドウバースに集中するための環境づくりも徹底していました。今後の活躍や、シャドウバースを広めるための活動にも注目です。