日本ではイベントとしての意味合いが強いクリスマスですが、キリスト教を信仰する人々の間では、イエスの誕生を祝う特別な日です。しかし、キリスト教を信仰する国々で、同じお祝いの方法をとっているわけではありません。
北欧では古代ゲルマン人の冬至祭とクリスマスが結びついて独自の習慣になっているなど、国によってクリスマスの過ごし方や食べるものはさまざまです。世界各国では、どのようなクリスマスのお菓子が食べられているのでしょうか。
日本とは違う!? 日持ちするクリスマスケーキ
クリスマスに日本で食べられているデコレーションケーキは、生クリームを使った日持ちしないお菓子です。日本のクリスマスケーキの原型は、20世紀になってから作られたといわれています。日本のお菓子メーカーが火つけ役となり、クリスマスケーキを食べる習慣が浸透しました。※1
日本とは違い、世界の中でも特にヨーロッパでは、ドライフルーツなどを混ぜ込んだ日持ちする菓子パンをクリスマスケーキとして用意するのが定番です。
ドイツ発祥の「シュトレン」は、ドライフルーツを混ぜ込んだ発酵生地を焼き上げ、外側に粉砂糖をたっぷりと掛けた伝統菓子。クリスマスの4週間ほど前から始まるアドベントの期間(キリスト教西方教会において、イエス・キリストの降誕を待ち望む期間のこと)に用意し、薄くスライスして少しずつ食べながらクリスマス当日まで過ごします。※2
イタリアでは、ドライフルーツが入った、ふわっとした食感の「パネトーネ」が定番です。天然酵母で生地を何日も発酵させると日持ちするようになり、賞味期限は数カ月先のものもあります。アドベントの時期に用意して、クリスマスディナーや新年に掛けて食べる習慣があるそうです。実は、イタリアから遠く離れたブラジルにもパネトーネが伝わり、クリスマスの定番になっています。※2
フランスでは、シナモンやアニスなど数種類のスパイスを使ったパウンドケーキのような「パン・デピス」がお店に並びます。お店によって味や形が違い、種類はさまざまです。ケーキタイプのほかにも、クッキーに近いものもあります。
ドライフルーツやナッツ、スパイスなどを材料にしたイギリスの伝統菓子は、「クリスマスプディング」。アドベントに入るころに作り、クリスマス当日まで1カ月ほど熟成させます。ドライフルーツがぎっしりと詰まっていて、濃厚な味わいです。イギリスの文化が色濃く伝わっているオーストラリアでも、クリスマスプディングを食べる習慣があるそうです。
以上のように、ヨーロッパの各地では日持ちするケーキを用意して、子どもも大人も楽しみながらクリスマスを過ごします。
ケーキのほかにクッキーやパイもクリスマスの定番
クリスマスのお菓子はケーキだけではありません。アメリカやヨーロッパではクッキーをたくさん用意して、家族が集まったときに食べたり、アイシングクッキーなどをツリーの飾りにしたりしています。
北欧のクリスマスクッキーといえば、スパイスの効いた「ジンジャークッキー」。ショウガやクローブ、シナモンなどのスパイスを生地に加えて焼き上げます。1年中お店で見掛けるクッキーですが、ジンジャークッキーの香りを嗅ぐとクリスマスだと実感する人も多いのだそうです。
フランスのアルザス地方では、「ブレデル」と呼ばれるクリスマスクッキーがお店に並びます。レシピに決まりはなく、アイシングしたものやナッツなどが入ったものなどさまざまで、各家庭でも作られているクッキーです。
ギリシャでは、2種類の甘いクリスマスクッキーが欠かせません。ナッツやオレンジの皮、ハチミツ、シナモンなどが入ったしっとりクッキーの「メロマカロナ」や、粉砂糖をたっぷりと掛けたバタークッキーの「クラビエデス」をたくさん用意してクリスマスを過ごします。※2
また、フィンランドでは「クリスマスのパイ」という意味を持つ「ヨウルトルットゥ」を食べています。プルーンジャムを乗せ、パイ生地を星の形に折りたたんだ素朴な味のお菓子です。※3
クリスマスのお菓子は、1種類だけでなくケーキとクッキーを用意するなど、国によってさまざまです。日本でもデコレーションケーキだけでなく、洋菓子店などで「シュトレン」が毎年販売されるなど、各国のクリスマス菓子が伝わっています。
参考
※1 クリスマスケーキの由来や起源を知る~世界と日本のクリスマスケーキの歴史~
https://store.c-c-c.co.jp/column/christmas/origin_of_christmascake/
※2 世界のクリスマスの過ごし方
https://tabisuke.arukikata.co.jp/information/special/xmas.html
※3 世界のクリスマス お菓子を知ろう!
https://www.oyakocan.jp/tokushu/201412_2.html