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【nendo×カンロコラボレーション『カンロ ○△□グミ』】 世界的デザイナー佐藤オオキ氏が感じたグミの可能性

「○」「△」「□」の3つの形状のグミを一つのパッケージに入れた『カンロ ○△□(マルサンカクシカク)グミ』が、2020年12月1日にカンロより発売されます。
○は新開発の「エアイングミ」によるふんわり食感、
△は「ソフトタイプグミ」のさくもち食感、
□は「ハードタイプグミ」のかちっと食感、
1袋で『ふわ もち かち』という3つの食感が一度に楽しめるグミとなっています。

実はこの『カンロ ○△□グミ』という商品は、グミの形状からパッケージデザインまで、世界的デザイナー・佐藤オオキさん率いるデザインオフィスnendoとコラボレーションすることで誕生しました。そこで今回は、建築やインテリアの内装設計に加え、海外ブランドや日本の大手企業の商品デザインを多数手がけている佐藤オオキさんに、『カンロ ○△□グミ』をデザインした時の経緯や斬新なパッケージについて話をお聞きしました。

熱烈なラブコールで実現したコラボレーション

Q:もともとグミがお好きと伺っていますが、カンロとのコラボレーションが決まった時、どのように感じられましたか。

佐藤さん:カンロの方とお話する機会があって、かねてから「何かプロジェクトに参加させてください」と私の方からラブコールを送っていました。

カンロという企業は以前から知っていましたが、特に「ヒトツブカンロ」は飴一粒を丁寧にデザインしてお菓子の魅力を伝えようとしているのが印象的でした。また、以前は作り方や味の出し方に様々な技術が込められていると知りませんでしたが、お話をさせていただくなかで、グミの奥深さを知り、情熱を持って作っていると感じたこともコラボレーションしたいと思った理由です。

Q:今回のコラボレーションでは、カンロからどういった要望があったのでしょうか。

佐藤さん:2019年の6月に気泡を含んで成形した「エアイングミ」を開発したので、この技術を使った新しい商品をデザインして欲しいという依頼を受けました。「エアイングミ」の魅力を引き出す商品を自由に考えてくださいというお話でした。

3つの形状と食感を生んだのは、食べ比べと3Dプリンターの試作

Q:『カンロ ○△□グミ』は3種類の形・食感のグミを1パックにするという斬新なものですが、どういった経緯から発想されたのでしょうか。

佐藤さん:まずは2週間、世の中にあるグミを食べまくり、自分の中のグミ像をリセットしました。そこで気づいたのは、形状によって食感が異なり、味そのものにも影響があるということです。また、「エアイングミ」は単独で食べ続けているより他のものと交互に食べた方がふんわりとした魅力的な食感を楽しめました。

一方で、市販のグミを見ると、味の違うものがミックスされている商品はたくさんありますが、同じ味で食感だけが異なる商品は見当たりませんでした。そこで、食べ比べした時の楽しい感覚を活かした商品を作ろうと考えました。

Q:「○△□」の形状はそこからどのようにして生まれたのでしょうか。

佐藤さん:社内の3Dプリンターでシリコンを成型して様々な形を試作しました。完全にグミの食感を再現することはできませんが、実際に口の中に入れて噛んで確かめたりもしました。
その結果、最初に奥歯同士がグミに触れた時の表面積が、噛み心地や歯切れの良さや弾力に影響すると感じました。そこで、グミの形でグミの魅力を引き出すことができるのではないかと考えました。

Q:実際に3Dプリンターで製作したものを口に入れて試されたのですね。「ふわ もち かち」と、3つの弾力が楽しめる異食感アソートグミとなっていますが、なぜ1つの袋に3つの食感を入れようと思ったのでしょうか。

佐藤さん:グミの食べ比べや3Dプリンターでの試作品を噛んでみた結果、「エアイングミ」の魅力を伝えるためには、より硬いグミともちもちしているグミも入れるのが良いのではと考えました。そこで、3種類の食感を強調するグミの形を模索していった結果、「○△□」という形が導き出されました。

「何だろう」と思ってもらうことと、生活に溶け込みやすいパッケージデザイン

Q:文字情報を省いた斬新なパッケージも特徴的です。どういった理由から、これまでのグミと一線を画すものになったのでしょうか。

佐藤さん:新しいコンセプトのグミなので、パッケージも新しい取り組みをしたらよいのではないかと考えました。そこで提案させていただいたのが、売っている時と食べる時でスタイルの変わるパッケージです。

店頭で目にする時はフックに吊られた「縦置き」のデザインですが、購入後は利便性を考慮した「横置き」にすることができます。横置きで自立するようにパッケージをデザインし、縦方向にジッパーをつけて間口を広げることにより、中のグミを取り出しやすくしています。

Q:パッケージから文字を省いたことには、どのような意図があるのでしょうか。

佐藤さん:文字情報を省いた理由は2つあります。
1つは、店頭で見た時に「これ何だろうね感」を出すデザインを意識しました。スーパーやコンビニ、ドラッグストアなどのグミ売り場にはパッケージで「こういうグミです!」と大声で叫んでいるような商品が集まっています。その中で、より大きな声で叫ぶデザインよりも、囁いているようなシンプルなデザインが、消費者の気を引くのではと考えました。

それから、「安い」「美味しい」と聞いて購入される層ももちろんいますが、これからは自分で情報を取りにいく能動的な消費者が増えていくことが想定されます。そこで、「あれは何だろうな」と中身に興味を持ってもらい、商品のコンセプトを知って「なるほど」と納得する、そういったコミュニケーションのできる商品があったら面白いのではと考えました。自分で調べたり、SNSで食べた方のコメントを見たりして、答え合わせをしていただけたるとうれしいです。

また、2つ目として、オフィスのデスクや自宅のテーブルに置いた時、「生活に溶け込みやすいデザイン」を意識しました。雑貨のような感覚でどこにでも気軽に置けるデザインに仕上がっていると思います。
グミ好きな方はもちろん、今まであまりグミを食べてこなかった方にもこの商品がきっかけでグミに興味をもっていただけたら、とてもうれしいですね。

Q:完成した商品を見た感想を教えてください。

佐藤さん:完成品を見てみると、パッケージが光を通しやすいのか、開いたときに中がすごく明るく見えるんですね。それぞれのグミで色の濃さが違うのでグラデーション効果でとてもきれいに見えます。グミ自体も3種類で驚くぐらい特徴がはっきり出ていて美味しいので、ぜひ多くの人に体感してもらいたいです。
これ、絶対立て続けに3種類食べたくなりますよね。一通り食べてみた後、次にどれを食べるか迷うのもまた楽しいです。

これから実際に皆さんがパッケージを目にした時の反応や、3つの食感をどのように解釈されるのかが楽しみです。その結果を次の商品にフィードバックしていただければと思います。また、店頭でのディスプレイもシミュレーションでは見ていますが、店舗によって状況が違うので、実際にお店に並ぶと、どういった見え方になるのかも楽しみにしています。

多くの可能性を秘めているグミ 

Q:今後、グミやカンロに期待することをお教えください。

佐藤さん:グミの可能性はそれこそ無限大にあると思います。
今後、食はデザインのトレンド、メインストリームになっていくと考えています。近年注目されているSDGsにも、食に関するキーワードが多く、食の問題を解決することで様々な社会課題の解決につながっていくと思います。
食とデザインがコラボレーションすることで、今後も新しい食の形、ライフスタイル、新しい食べ物が生まれることでしょう。自然界から持ってきたものを切って食べるだけではなく、人の手で生み出す食の形がますます増えてきます。

グミはそのど真ん中ともいえるものです。
食感や味、香り、加工、形状、素材、中に入れるものなど、これだけ自由に選択できる食べ物はあまりないのではないでしょうか。グミだけでも新しい食の形を提案していけると思います。
グミを見つめていくことで、社会の未来も見えてくる。言い方は大げさかもしれませんが、それぐらい面白いものだと感じています。その可能性に満ちたグミに対して真剣に取り組んでいるカンロの今後にも大いに期待しています。

 

<プロフィール>

佐藤オオキ

デザインオフィスnendo代表
建築、インテリア、プロダクト、グラフィックと幅広くデザインを手掛けるデザイナー。
1977年カナダ生まれ。
2002年早稲田大学大学院建築学専攻修了、同年、デザインオフィスnendo設立。
Newsweek誌「世界が尊敬する日本人100人」に選出され、世界的なデザイン賞で数々の「Designer of the Year」を受賞。代表的な作品は、ニューヨーク近代美術館(米)など世界中の美術館に収蔵されている。
2024年に稼働予定の、フランスの高速鉄道TGV新型車両の内外装デザインを手掛ける。
これまで出演したテレビ番組は、「プロフェッショナル 仕事の流儀(NHK)」、「アナザースカイ」(日本テレビ系)など。
主な著書に「問題解決ラボ」(ダイヤモンド社)、「佐藤オオキのスピード仕事術」(幻冬舎)、「佐藤オオキのボツ本」(日経BP)、「コップってなんだっけ?」(ダイヤモンド社)、ネンドノオンド」(日経BP)などがある。

【デザインオフィスnendo】
http://www.nendo.jp/