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血糖値スパイクって何? 食後血糖値で何がわかるのか

「血糖値スパイク」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。この状態を放置してしまうと糖尿病だけではなく心臓病やがん、認知症などさまざまな疾患の原因となる可能性があります。血糖値スパイクとはどのようなものなのか詳しく見ていきましょう。

血糖値スパイクとは?

血糖値スパイクは、食後に急激に血糖値が上昇する状態のことをいいます。血糖値が常に高い状態は糖尿病の主症状ですが、血糖値スパイクだからといって糖尿病なのではなく、あくまでも「予備軍」の状態です。それゆえに年齢関係なく若い人でも起こり得るものですし、必ずしも肥満の人がなりやすいというわけでもありません。

血糖値スパイクによる血糖値の上昇は一時的なものであり、すぐに正常にまで戻ります。そのため自分でも気付きづらく、朝食をとらずに行う健康診断では発見されることが少ないのです。
「すぐに正常に戻るなら良いのでは」と思う方もいるかもしれませんが、極端な血糖値の変動は血管を傷つけやすかったり大量のインスリンを放出させたりと、身体には大きな負担がかかっています。

また症状としては、食後の急激な眠気や疲労感が挙げられます。このような症状が現れても正常な場合もありますが、頻度が多かったり眠気が強かったりする場合は要注意です。

血糖値スパイクになりやすい人と関連深い疾患

血糖値スパイクになりやすい人の特徴としては、親族に糖尿病の人がいる、食事が炭水化物中心、朝食を抜いている、運動不足、お腹いっぱいまで食べるなどが挙げられます。

「糖尿病予備軍」とまで言われる血糖値スパイクですから、やはり糖尿病のリスクが高くなることは間違いないでしょう。また糖尿病や予備軍の患者は、認知症の原因となるアミロイドベータと呼ばれるたんぱく質が血管のなかに溜まりやすく、アルツハイマー型認知症の発症リスクが高まるとされています。

そのほか、動脈硬化を発症させたり、さらに進行して脳卒中や心筋梗塞など命に関わる大きな疾患を引き起こしたりするケースもあります。実際に血糖値スパイクは心血管疾患のリスクや網膜症発症のリスク上昇と関連するとの報告もあるのです。

糖尿病予備軍の数は年々上昇しており、自覚症状が少ないことからも早急な対策が必要で、血糖値スパイクであるかどうかを知ることはその1つの手段にもなります。※1
気になる方は病院でブドウ糖負荷試験を受けてみて、食後の血糖値の変化を測定してみてもいいかもしれません。

血糖値スパイクを予防するためには

血糖値スパイクや糖尿病は、次のような食事をすることで予防効果が高まります。

・食べる順番に気を付ける
食事の順番を最初は野菜から、そして最後に炭水化物を食べるようにすることで血糖値の上昇を抑えられるとされています。これは野菜に含まれる水溶性食物繊維が糖質の吸収を遅らせることと、ホルモンの働きにより胃から小腸への食べ物の移動がゆっくりになることが理由として考えられています。また肥満対策としても血糖値の急上昇が起こりづらい低GI値食品の野菜を最初に食べることが推奨されています。※1

・夕食を摂る時間が遅くなりすぎないようにする
夕食時間が遅くなると、空腹時間が長くなることが多くなります。そのような時間が続くと血中の遊離脂肪酸が上昇してインスリン抵抗性が増大し、血糖値が下がりにくくなります。また、食事をすることによって産生される熱(食事誘発産生熱)は昼よりも夜間のほうが50%低下するので、エネルギーが蓄積されやすく血糖値も上がりやすいようです。

しかし残業が長くなりやすい方や夜勤のある仕事に就いている方の場合、どうしても夕食が遅くなってしまうことがあります。そのようなときにおすすめしたいのが分食。例えば夕方に主食になるおにぎりを食べておき、帰宅後におかずを食べるなど分けて食事をすることで、血糖値の急激な上昇を抑えることができます。※2

・朝食を食べる
空腹時間が長いと、次の食事を摂るときに血糖値スパイクが起こりやすくなります。そのため空腹時間を長くしすぎないよう心掛けることはもちろん、3食規則正しいリズムで食べることも生活習慣を整えるという意味でとても大切です。

また、朝は忙しくておにぎりやパンのみなど、糖質が多いものに偏りがちな人も要注意です。朝食は糖質が含まれる炭水化物のエネルギー比率を50%以下にし、野菜のおかずやたんぱく質が摂れるおかずなどを揃えてバランスよく摂ることが血糖値の急上昇を予防すると考えられています。※3

自分では気付いていなくても、知らぬ間に起こっているかもしれない血糖値スパイク。糖尿病だけではなく動脈硬化や認知症などさまざまな疾患と関連があると報告されているため、放っておくのは大変危険です。普段の食事内容や食べる順番、食事のリズムを整えることで血糖値スパイクを予防していきましょう。


参考

※1 食品の摂取順序による血糖値上昇の抑制効果 ―健常者における、ほうれん草、鶏卵、鶏肉での検討―
http://54.199.144.1/dspace/bitstream/11334/1508/1/kiyo_n022_03.pdf

※2 食べ方と食べる時間が血糖変動に影響を与える 夕食は2回に分けて食べると糖尿病やメタボリックシンドロームの発症予防が期待できる
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu/56/7/56_560708/_pdf/-char/ja

※3 糖尿病ネットワーク 血糖値スパイクは「隠れ糖尿病」 朝食を工夫して食後に血糖値を上げない
https://dm-net.co.jp/calendar/2019/029184.php


ライタープロフィール

片村優美(管理栄養士)

病院にて給食管理や栄養指導に従事しフリーランスとして独立。webメディアでは健康・栄養系のライターとして記事を執筆しています。その他、食育教室や自治体主催の料理教室、短期大学の非常勤講師などの仕事を通じて、食の大切さを伝える活動をしています。