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さくらんぼの季節到来! そのままでもスイーツでも美味しい、その種類と魅力に迫る

春が終わって気温が高くなり始めると、スーパーの店頭にさくらんぼが並び始めます。初夏が収穫の最盛期となるさくらんぼは、つややかで美しく「食べる宝石」とも呼ばれます。そんなさくらんぼには、どのくらいの種類があるのでしょうか。今回は、さくらんぼの種類と魅力に迫ります。

日本でさくらんぼ栽培が始まった背景

さくらんぼは古くから食べられており、生食以外に加工品としても世界中で親しまれている果物です。世界では1,300品種以上のさくらんぼが栽培されていると言われています。一方、日本で栽培されているさくらんぼの品種は25種類ほどです。※1

日本にさくらんぼが伝わったのは1868年のことで、ドイツ人が北海道に6本のさくらんぼの木を植えたのが始まりとされています。天候によって生産量が左右されるさくらんぼは、果実のつき方や味にも影響があるため、栽培の難しい果物だと伝えられていました。その後、全国各地で栽培が試みられましたが、雨の影響で果実が割れてしまうなどして生育に成功した地域はわずかだったと言われています。※1

栽培に成功した地域の一つが山形県です。山形県にさくらんぼが伝わったのは1875年のこと。試行錯誤しながらも品質の良いものを作るために努力を重ね、2018年には全国のさくらんぼ収穫量の約8割を占めるほどの産地になっています。※1※2

また日本におけるさくらんぼの生産は、山形県のさくらんぼ農家の方々の努力と知恵によって安定したとも言われています。果実のつき方を良くするために受粉を助けるマメコバチを畑に放すことを始めたほか、果実の痛みを防ぐために雨を除けるハウス栽培が導入されるなど、技術を更新しながら栽培が続けられているのです。※3

日本で栽培されているさくらんぼの品種

生食用のさくらんぼには、果実をそのまま楽しむ「甘果おうとう」と、酸味が強くジャムやソース、果実酒などに加工される「酸果おうとう(別名サワーチェリー)」があります。日本で栽培されているさくらんぼは、ほとんどが甘果おうとうです。※1

日本で栽培されているさくらんぼの代表的な品種に、甘味と酸味のバランスが良い「佐藤錦」があります。佐藤錦が生まれたのは、大正時代の1928年。傷みやすくて流通に向かなかったさくらんぼを全国で食べてもらうために、「ナポレオン」と「黄玉」という品種を掛け合わせて作られました。※4※6

「佐藤錦」と名付けられた由来は、山形県の佐藤栄助氏が育成を成功させたこと、砂糖のように甘いことからだと言われています。現在では、山形県のさくらんぼ栽培面積の7割以上が佐藤錦であり、日本で一番収穫されている品種となっています。※4※5

山形県で佐藤錦の次に多く栽培されている品種が、大玉で鮮やかな色合いの「紅秀峰(べにしゅうほう)」です。県内で作られている品種の割合を見てみると、佐藤錦と紅秀峰で85%以上を占めていることがわかります。そのほか、甘味と酸味のバランスの良い「紅さやか」、甘味が強くて大玉の「紅てまり」などの品種もあります。この3種はいずれも佐藤錦と他の品種を掛け合わせたもので、それぞれ味の違いを食べ比べてみるのもおすすめです。
※5※6

輸入品のアメリカンチェリーとは

日本産のさくらんぼが出回るよりも少し前にスーパーで並び始めるのが、アメリカンチェリー。アメリカンチェリーとは、アメリカから輸入されたさくらんぼの総称で品種名ではありません。では、いったいどのような品種があるのでしょうか。

最もよく見かけるアメリカンチェリーは、果肉が赤紫色の「ビング(Bing)」です。日本に輸入されるアメリカンチェリーの約9割を占めていると言われるビングは、果肉が固めで長距離輸送に向くため日本にも定着したと考えられています。※7

そのほか日本産のさくらんぼに近い色合いをしている「レーニア(Rainier)」、ビングとレーニアを掛け合わせた赤紫色の「ブルックス(Brooks)」も日本で食べられる品種となっています。※7

アメリカンチェリーは日本の品種より日持ちがするとはいえ、傷みやすいことに変わりはありません。収穫後、アメリカから航空便を使って日本に運ばれ、大体2~3日ほどで到着すると言われています。※7

生食とは違うさくらんぼスイーツの魅力

フォルムがかわいらしいさくらんぼは、パフェやショートケーキなどスイーツの飾りに欠かせません。シロップ漬けのさくらんぼが使われることもありますが、旬の時期には生の果実を使ったスイーツも楽しめます。

国産のさくらんぼを使ったスイーツで注目したいのは、さくらんぼのヘタまで活かした「さくらんぼ大福」です。いちご大福のようにさくらんぼの果実が大福に丸ごと入っていて、見た目のかわいらしさと甘酸っぱい味わいを楽しめます。

一方、パイやタルトなどの焼菓子や海外で定番のさくらんぼのお菓子には、サワーチェリーを加工したジャムやソースなどがよく使われていて、生のさくらんぼの果実とはまた違った味わいが魅力です。

サワーチェリーを使ったお菓子で有名なのはドイツ発祥の「シュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテ(Schwarzwälder Kirschtorte)」で、日本語で「黒い森のさくらんぼケーキ」を意味します。ドイツに広がる「黒い森」をイメージして、ココアの入った黒いスポンジケーキにたっぷりさくらんぼの蒸留酒をしみ込ませ、砂糖で煮詰めたサワーチェリーを添えた大人な味わいのケーキです。日本ではドイツ菓子を取り扱っている洋菓子店で見かけることができます。※8

さくらんぼは、そのまま生で食べられる期間が限られる特別感のある果物です。品種ごとに食べ比べをしたり、さくらんぼを使ったスイーツを買ってみたりして、旬の時期を満喫してみてはいかがでしょうか。
 

<参考>
※1:さくらんぼの話のタネ
https://www.pref.yamagata.jp/140032/sangyo/nourinsuisangyou/nogyo/nousambutsu/sakurambo/tane.html

※2:令和2年産びわ、おうとう、うめの結果樹面積、収穫量及び出荷量
https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/sakumotu/sakkyou_kazyu/attach/pdf/index-2.pdf

※3:さくらんぼの生産が安定した秘密(ひみつ)をおしえてください。
https://www.maff.go.jp/j/heya/kodomo_sodan/0005/14.html

※4:さくらんぼコラム
https://www.rakuten.ne.jp/gold/sakuranbo/tokusyu/cherry-column.html

※5:収穫時期別の主なさくらんぼ品種の栽培面積割合
https://www.pref.yamagata.jp/140032/sangyo/nourinsuisangyou/nogyo/nousambutsu/sakurambo/sakuranbo_data/hinnsyu.html

※6:さくらんぼ品種紹介
https://www.pref.yamagata.jp/140032/sangyo/nourinsuisangyou/nogyo/nousambutsu/sakurambo/sakuranbohinsyu.html

※7:果実の知識
http://www.maruka-ishikawa.co.jp/fruits/items005/americancherry.htm

※8:シュヴァルツベルダーキルシュトルテ
https://tomiz.com/recipe/pro/detail/4196