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スイーツの定番! シャインマスカットはどこで生まれた?


皮ごと食べられるシャインマスカットは、パフェやゼリー、大福などのさまざまなスイーツにも使われ、今や夏から秋の定番果物と言ってもよいほどの人気があります。そんなシャインマスカットはどこで生まれた果物なのでしょうか? シャインマスカットが誕生した背景と魅力に迫ります。

シャインマスカット誕生の地は?

噛んだ瞬間にパリッとはじける薄皮、シャリッとしつつも弾力のある歯ごたえ、爽やかな香りと甘い味わいが口いっぱいに広がるシャインマスカット。その生まれ故郷は何と日本で、2006年に品種登録されています。※1※2

ブドウは明治以前に、中国から日本に伝わりました。当時の日本に伝わったのは、ヨーロッパで主に栽培されていた品種だったといわれています。しかし、雨が多い日本の気候では育てるのが難しく、ほとんど栽培されませんでした。※1※2

明治になると日本の気候でも栽培しやすい品種が伝わります。品種改良も進み、さまざまな品種が日本で誕生しました。1960年代からは日本で生まれた巨峰やピオーネの生産が拡大します。※2

近年の日本では、果物の摂取量が減少傾向にあり、消費拡大が課題になっているといわれています。美味しくて食べやすいシャインマスカットが誕生したのは、日本におけるブドウ生産の維持と拡大のためでした。※2※3

ブドウの品種はヨーロッパブドウとアメリカブドウに大別できます。アメリカブドウは病気と寒さに強く、雨がよく降る日本で栽培しやすい品種も多く見受けられます。フォクシー香と呼ばれるグレープジュースのような甘い特徴的な特有の香りがあり、果肉は噛み切りにくい特徴があります。日本でもよく知られたデラウェアやナイアガラはアメリカブドウです。※1※2

ヨーロッパブドウは、果肉がシャリッとしていて噛み切りやすく、マスカット香を放つ品種や皮ごと食べられる品種があります。しかし、日本のような気候の下では病気にかかりやすく、生育中に皮が裂ける品種もあって栽培が難しいブドウでした。※1※2

シャインマスカットは、ヨーロッパブドウとアメリカブドウの世代を重ねた交配を行った結果、両者の良い特徴を引き継いだ品種となっています。日本の気候でも栽培しやすいことから、ブドウの産地である山梨県や長野県、岡山県など、各地で栽培されています。※1※2※4

魅力たっぷりのシャインマスカット


シャインマスカットは日本で栽培しやすいだけでなく、味わいもヨーロッパブドウとアメリカブドウの良いところを併せ持っています。酸味が少なく甘味があり、糖度は18~19%。また、1粒の大きさが約13gと大粒なので食べ応えもあります。※1

ジベレリン処理(種をなくすための処置)によって種がなく、薄皮で皮ごと食べられるのも魅力。また、爽やかなマスカット香があり、果肉が噛み切りやすいのも特徴です。光沢がある黄緑色の果実は宝石のようだといわれ、贈答用としても人気があります。※1※2※6

2018年の日本におけるブドウ栽培面積の1位は巨峰、2位がピオーネ、3位はデラウェアであり、シャインマスカットは第4位です。シャインマスカットは1~3位のブドウと比べると誕生してからの歴史は浅いものの、栽培面積は少しずつ拡大しています。※5

スイーツの材料としても使いやすい


夏になると、シャインマスカットを使った洋菓子や和菓子、フルーツサンドなどをよく見かけます。そのまま食べてももちろん美味しいですが、シャインマスカットはスイーツなどの材料にも適した果物なのです。

ブドウの中でも皮をむいて食べるものは、皮ごとスイーツに使うと渋みを感じることがあります。しかし、シャインマスカットは皮の渋みがほとんどないため、スイーツの甘味や風味を邪魔することが少ないのです。※6

また、皮ごと食べられるため、皮をむく手間がないこともスイーツの材料として使いやすい理由の一つ。シャインマスカットは皮が口の中に残りにくく、フルーツ大福やサンドイッチなどに丸ごと使うこともできます。※6

粒が大きなシャインマスカットは、色合いも爽やかです。さらに、カットすると透明感のある断面が現れ、涼し気な雰囲気を与えてくれます。以上のように、シャインマスカットは味わい、食べやすさ、使いやすさ、見た目などの点で、スイーツの材料にも使いやすい果物なのです。※6

シャインマスカットを購入する時のポイント


果物を選ぶ際は「できるだけ新鮮なものを」と感じている方もいるのではないでしょうか。シャインマスカットの鮮度は軸と皮で見分け、新鮮なものは軸が緑色で皮に張りがあります。※7

また、店頭に並ぶシャインマスカットを見比べてみると、皮の色合いが違っている点に気が付く方もいるかもしれません。シャインマスカットの成熟度は皮の色でも分かり、緑色に近いほど果実が未熟で、黄色に近いほど熟しています。※7

緑色に近い色の果実はマスカット香が強く、黄色に近いものは甘味が強いといわれています。皮の色合いを見分けて、お好みのシャインマスカットを選んでみてはいかがでしょうか。※7

冷蔵技術の発達でシャインマスカットを長く楽しめる

露地栽培のシャインマスカットは8~10月ごろまでが収穫時期です。収穫したシャインマスカットは日ごとに鮮度が落ちていきますが、氷温域で保存することによって鮮度が保たれ、12月ごろまで楽しむことができます。※6※8

氷温域とは0℃から食品が凍り始める温度までのことです。シャインマスカットが凍り始める温度は水が氷になる0℃よりも低いため、収穫したシャインマスカットを氷温域で貯蔵すると、鮮度を保つことができるのです。※8

氷温域で保存したシャインマスカットの出荷数はまだ多くないようですが、12月ごろにもシャインマスカットを食べたいという願いを叶えてくれる技術には注目したいものです。

そのまま食べるだけでなく、スイーツの材料にもよく使われているシャインマスカット。シャインマスカットの特徴を知ると、スイーツにぴったりの果物だと感じるのではないでしょうか。艶やかで色鮮やかな果実は、自家製のスイーツも彩ってくれます。
 

<参考>
※1:「シャインマスカット」ってどんなブドウ?
https://www.naro.affrc.go.jp/archive/fruit/shine-muscat/about.html

※2:ブドウ新品種 ‘ シャインマスカット ’
https://www.naro.go.jp/publicity_report/publication/files/naro-se/fruit7_03.pdf

※3:果実の摂取量は減少傾向
https://www.maff.go.jp/j/wpaper/w_maff/h25/h25_h/trend/part1/chap2/c2_4_05.html

※4:シャインマスカットの産地
https://www.naro.affrc.go.jp/archive/fruit/shine-muscat/producing-area.html#:~:text=%E3%80%8C%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%9E%E3%82%B9%E3%82%AB%E3%83%83%E3%83%88%E3%80%8D%E3%81%AE%E7%94%A3%E5%9C%B0%E3%81%AF,%E3%81%8C%E5%A2%97%E5%8A%A0%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

※5:ブドウ品種別栽培面積
https://www.naro.go.jp/laboratory/nifts/kih/area/grape/index.html

※6:シャインマスカット
https://www.ja-hareoka.or.jp/specialty/shine_muscat.php

※7:シャインマスカットの選び方
https://www.ajfarm.com/25044/

※8:氷温ってなに?
http://www.hyo-on.or.jp/index.php?view=8928