シーズン

Category

はちみつが白く固まるのはなぜ? 固まったときの対処法


調味料棚に置いていたはちみつが、いつの間にか白く固まってしまった経験はありませんか? チューブ入りのはちみつが固まって押し出しにくくなると、最後まで使い切れずに歯がゆい思いをすることもあるかもしれません。今回は、はちみつが白く固まる理由と、固まったときの対処法についてご紹介します。

白く固まったはちみつには何が起こっている?

はちみつはミツバチが集めた花の蜜であり、ミツバチがさまざまな働きをすることによって濃厚な甘味になります。

集められた花の蜜は、巣で働くミツバチによって巣の壁に貼り付けられると、羽ばたきによって風を当て、水分を蒸発させて濃縮します。同時にミツバチが持つ酵素の働きで花の蜜に含まれる糖が分解され、濃厚なはちみつが出来上がるのです。※1

ミツバチによって濃縮されたはちみつに含まれている水分量は、輸入の場合は20%以下、国産の場合は22%以下になります。琥珀色だったはちみつが白くなると、カビが発生したのか心配になる方もいるかもしれませんが、はちみつは微生物が繁殖しにくく、保存性も高いためカビが発生しにくい食品といえるのです。※1※2※3

このはちみつの白く固まった部分の正体は、中に含まれた糖が結晶化したもの。はちみつの中には、ミツバチが花の蜜と一緒に巣に持ち帰った花粉や気泡が含まれており、この花粉や気泡を核にして結晶化が始まることで、白く固まっていくのです。そのため、白く固まったからといって、はちみつの品質が損なわれたわけでは決してないのです。※1※2※3

保存性の高いことで知られるはちみつですが、時間が経つにつれて風味は損なわれていきます。おいしく食べられる目安としては、充填後1~3年の賞味期限が販売者によって決められています。※1※2※3

はちみつが結晶化を始める外的条件


なぜ、はちみつは突然結晶化を始めるのでしょうか。実は、はちみつが結晶化を始める原因には、さまざまな外的条件が関わっていると考えられています。

1つ目は温度です。はちみつを保存している場所の室温が約15℃以下になると、結晶化が起こりやすくなるといわれています。そのため、開封後のはちみつを冷蔵庫へ入れるのは避けましょう。※1※2※3

2つ目は環境です。はちみつの容器を振ると、中にある気泡に振動が伝わり結晶化しやすくなります。また保管場所の日射の関係によっても結晶化が起こりやすくなります。※1※2※3

はちみつは開封後も常温保存が可能です。温度変化が少なく、直射日光の当たらない場所で保存するようにしましょう。※3

含まれている糖の種類も結晶化に影響

ただし、保存場所に気を付けていても、はちみつは結晶化することがあります。これは、はちみつに含まれている糖の種類が結晶化に影響するからです。

はちみつに含まれている糖は、果糖、ブドウ糖、ショ糖、オリゴ糖などで、特に果糖とブドウ糖の割合が高く、果糖は38~45%、ブドウ糖は31~35%ほど含まれています。なかでも果糖が多いはちみつは結晶化しにくく、ブドウ糖が多いはちみつは結晶化しやすいといわれています。※1※2

また花の種類によっても糖の含有率は異なります。例えばアカシアの花から集めたはちみつは、ブドウ糖よりも果糖の含有率が高く、結晶化しにくいことが特徴です。反対に結晶化しやすい花の種類には、菜の花などがあります。※1※3

ミツバチには、行動範囲内で群生する花を見つけると仲間のミツバチに知らせ、集中して訪れる習性があります。同一の花の蜜を主としたはちみつは「単花蜜」と呼び、花の種類によってさまざまな風味や味わいを楽しむことができます。しかし、ミツバチの仲間全てが特定の花に集まるわけではありません。単花蜜であっても、別の花の蜜が混ざっているといわれています。※1

固まったはちみつを元に戻す方法


はちみつが一度結晶化を始めると、容器内の結晶化が進みやすくなります。全てが白く固まってしまう可能性もあるため、早めに対処することがおすすめです。※1※2※3

結晶化して白く固まったはちみつは、温めると元に戻ります。温度を高くすると結晶は溶けやすくなるのですが、高すぎるとはちみつの風味が損なわれてしまうため50~60℃が適温になります。戻すときは、50~60℃の湯を用意して蓋をはずしたはちみつの容器を浸し、温めながら割りばしやマドラーなどで中身をかき混ぜます。こうすると、はちみつの温度が均一になって結晶が溶けやすくなります。※1※2※3

温めたはちみつに結晶が少しでも残っていると、再び結晶化が進む原因になるため、結晶は完全に溶かしきるようにしましょう。溶けるまでの時間は結晶化の程度によって異なり、数時間かかってしまう場合もあります。時間がないときは、使う分だけ別の容器に取り出して溶かすと良いでしょう。※1※2※3

はちみつの結晶化はさまざまな条件で起こります。結晶化が始まるタイミングを見計らうのは難しいですが、白く固まっても元に戻すことが可能です。しかし、結晶化が起こってもはちみつの品質に問題はありません。料理に使うほか、トーストやホットケーキなどにのせ、ジャリジャリとした食感を楽しみながら食べるのもおすすめです。
 

<参考>
※1:一般社団法人日本養蜂協会
http://www.beekeeping.or.jp/

※2:日本蜂蜜株式会社
https://rengejirusi.jp/crystal/

※3:サクラ印ハチミツ
https://www.sakura-honey.co.jp/cafe/faq/index.html