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マインドフルネスの定番。「食事瞑想」で生活と向き合おう


2019年の国民生活基礎調査によると、日頃からストレスを感じている人は半数近くいることがわかっています。「ストレス社会」とも例えられる現代日本ですが、このような背景を受けてマインドフルネスという言葉が注目されています。ここではマインドフルネスの考えを利用した「食事瞑想」に焦点を当て、その意味や実践方法について紹介していきます。

マインドフルネスを応用した食事瞑想とは

マインドフルネスという言葉は日本語に訳すると「気付くこと」や「意識すること」という意味で、日本の禅などの考え方や瞑想をベースとしています。主に呼吸を意識して自分自身の今を見つめる瞑想を毎日継続することで、ストレスを感じやすいときでも否定的な感情にとらわれづらくなる効果があるとされており、うつ病や認知症の症状改善効果が期待されています。

このマインドフルネスを応用したのが、マインドフルイーティングです。食事瞑想とも呼ばれるこの考え方では、食事だけに集中することで、満足感を得られる自分に合った食事量を知ることができるとされています。わかりやすくいうと、ダラダラと食事をとるのではなく、自分の身体の状態に合わせて適切な量の食事をとることが大切になるということです。※1

食事瞑想にはどのような効果があるの?


食事瞑想には、食事量のコントロールがしやすくなるという効果があります。なぜ食べるのか? どのように食事をしようか?と自分自身に問いかけることで、食事のペースがゆっくりになり、食事量の調整がしやすくなるのです。流行りのダイエットは我慢をしたり苦痛を感じたりしながら行うものが多いですが、食事瞑想は幸福感を感じながら行うことができます。

また、流行のダイエットでは栄養バランスの偏った単品食いや極端なカロリー制限を推奨されることがよくあります。しかし、食事瞑想では食事と向き合い、よく噛んで味わって食事をとることが最も重要だとされています。つまり、必要なものを必要な分だけ摂取することで食べ過ぎが起こりにくく、肥満や生活習慣病予防にも役立てられるのです。

肥満は、食事からエネルギーをとり過ぎたり栄養バランスが乱れたりすることで起こりやすくなります。また生活習慣病は、食事のほかに運動、喫煙、ストレスなどの基本的な生活習慣が関与している疾患で、糖尿病や脂質異常症などがよく知られており、進行すると心疾患・脳血管疾患などの重篤な疾患の要因となります。※2

実際に食事瞑想は、糖尿病の食事療法として応用が可能です。ある調査では、食事瞑想を実践することで血糖値が正常域にコントロールしやすくなるという結果が出ています。また、マインドフルネスの実践度が高い人は、医師が推奨する食事療法や運動療法に意欲的な傾向が見られるという報告から、継続的な瞑想によって否定的な感情が起こりにくくなることが推測されます。※1

食事瞑想のポイント


それでは、具体的な食事瞑想の方法を紹介していきます。米国の心理学者によると、ポイントは次の3つです。

(1) 食事時にはまず深呼吸をして自分の空腹感を意識します。自分がどれだけ空腹なのかを感じ、身体の内側から発せられる声に耳を傾けます。

(2) 食事はしっかりと噛んでよく味わいます。食べ物の味や匂い、色にも注意を向けてゆっくり食べます。栄養が自分の身体に吸収されることを実感して、食べ物を飲み込んだあとに一呼吸おいて食べていくことを実践します。

(3) 食事が半分ほど済んでから満腹感を得られているか確認をします。惰性で食べていないかをチェックするのがポイントです。満足感が得られていれば食事を残すことも考えてみましょう。

食事瞑想の基本は食事と向き合うこと。テレビやスマートフォンなど集中の妨げになるものの使用は避けましょう。また、ゆっくり噛んでゆっくり食べることも食事瞑想のベースとなるものです。一つひとつの味を確認しながら食事に集中しましょう。※1

これまでも食事をゆっくりとることは、満腹中枢を刺激し食べ過ぎを防ぐという面で勧められてきました。こうした食事のとり方はダイエットや健康管理に役立つ食べ方の基本でもあり、マインドフルネスの観点から見れば幸福度を高める食事ということができます。

食事瞑想は、満足感を意識しながら食事をとることで必要以上のエネルギー摂取を防ぎ、肥満や生活習慣病を予防することが期待できます。心と向き合い否定的な感情を抑えるマインドフルネス。気になる方はぜひ取り入れてみてくださいね。
 

※1 糖尿病ネットワーク 食事療法を成功させる「マインドフルネス」 こうすれば食事はうまくいく
https://dm-net.co.jp/calendar/2016/025849.php

※2 e-ヘルスネット 生活習慣病
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-040.html


ライタープロフィール

片村優美(管理栄養士)

病院にて給食管理や栄養指導に従事しフリーランスとして独立。webメディアでは健康・栄養系のライターとして記事を執筆しています。その他、食育教室や自治体主催の料理教室、短期大学の非常勤講師などの仕事を通じて、食の大切さを伝える活動をしています。