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マインドフルネスとウェルビーイングの違いと共通点とは

マインドフルネスとウェルビーイングは、どちらも幸福に関わるキーワードです。日本でも耳や目にすることが多くなってきましたが、詳しい意味を知らない人やどのように実践していけば良いのかを知らない人は多いことでしょう。ここではマインドフルネスとウェルビーイングの違いや共通点を解説しています。

幸福を求めるためのマインドフルネスと、幸福な状態を指すウェルビーイングは、似ているようで非なる言葉です。この二つの定義や違いを理解することで、ビジネスシーンや日常生活などさまざまな場面を通して幸福度を高めていくことができるでしょう。

マインドフルネスとウェルビーイングの定義


マインドフルネスは「今ここ」に精神を集中して注意を払い、気付きの状態を得ることです。マインドフルネスは瞑想を行うという点では、スティーブ・ジョブズも影響を受けた「禅」とよく似ています。日本でも多くの企業において、マインドフルネスメソッドが採用されており、自己管理能力や自己認識力を上げるものとして位置づけられているのです。※1

<マインドフルネスの効果>
・痛みのマネジメント
・依存症からの回復
・ストレスの低減
・心理療法のパワーアップ

一方で、ウェルビーイングは身体的・精神的・社会的に良好な状態にあることを意味する概念です。直訳すると健康や幸福に置き換えられ、WHO(世界保健機構)憲章の前文である「健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態(well-being)にあることをいいます。」がよく用いられます。

マインドフルネスとウェルビーイングの違い


マインドフルネスとウェルビーイングの違いは、マインドフルネスが行動を伴う方法(method)のことを指すのに対して、ウェルビーイングは概念(concept)のことを表しています。ウェルビーイングが「幸福」の状態であるのに対し、マインドフルネスは「幸福を目指すために行うもの」といえるでしょう。
例えば、ビジネスにおけるこの二つの違いについてみていきましょう。

まず、マインドフルネスについてです。近年では、社員の健康が経営にとって重要であるとして働き方が見直されてきています。マインドフルネスは、社員のメンタルヘルスの部分で活用されることがあります。仕事にはプレッシャーやストレスがつきものと考えられていましたが、マインドフルネスはこれらを緩和させる効果が期待され、現場で活用されています。

マインドフルネスを行うことによって、作業効率を高めたり、気分をリフレッシュしたりできるので、職場内での生産性が向上し、業績にも良い影響があると考えられているのです。

次に、ウェルビーイングについて見ていきましょう。ウェルビーイングは概念=考え方のことを表す言葉です。実践的なものではありませんが、幸福な状態を目指すために行うものとされています。

例えば、休日数や仕事の楽しさはウェルビーイングをもたらすものです。また、身体的に苦痛を感じていたり、仕事上で不安や悩みがないかをリサーチしたりすることもウェルビーイングにつながります。

育児や介護など仕事以外に社会問題として挙げられるものは多く、幸せの尺度は人によって異なります。会社の規則ももちろん大切ですが、多様化する社会に向けて今後重要とされているのは個人の生活背景に合わせた働き方なのです。この実現こそがウェルビーイングに基づく取り組みであるといえます。※2

マインドフルネスとウェルビーイングの共通点


マインドフルネスとウェルビーイングの共通点は、どちらも「幸福」というキーワードが関わっていることです。

マインドフルネスは、ダイエットの場面でも活用できます。マインドフルネスイーティングは、邪念を払って食事に向き合い、食べ物に意識を向けて一口一口、味を噛み締めながら食事をする方法のことをいいます。

例えばコンビニで必要以上にお菓子を買いそうになったときや外食時にデザートを追加したいとき、今の状況に意識を集中することで、本当に自分にとって必要なのか、お腹がいっぱいの状態なのに無理に食べようとしていないかを冷静に考えられるようになるため、余分なカロリー摂取をしなくて済む場面が増えるかもしれません。

マインドフルネスイーティングによって、体調の改善や生活習慣病などの予防につながれば、健やかな日常生活を送ることができます。これはウェルビーイングにもつながってくる部分です。マインドフルネス自体は幸福という意味ではありませんが、マインドフルネスメソッドをとり入れることで幸福に近づくという捉え方ができるでしょう。※3

一方で、ウェルビーイングは幸福の状態を指しています。健やかな生活を送っていれば幸福へ近づくことができるので、そのために日常的な取り組みが必要となるでしょう。例えば、ボランティアなどの社会活動や、信頼のおける友人関係を築くことは幸福へとつながりウェルビーイングに影響します。心身の充実感や幸福度が何によって高まるのかは人それぞれ違うため、これをすればウェルビーイングな状態になれると確実にいえるものはありませんが、自分のなりたい姿を思い描き、自分自身でそれに向かって努力をしていくことが大切なのです。

マインドフルネスとウェルビーイングは似ているようで非なるものです。混乱してしまうかもしれませんが、違いを理解しビジネスや日常生活のなかで意識を向けていくことが幸福を実現するための第一歩といえるのではないでしょうか。

※1 熊野宏昭 マインドフルネスはなぜ効果をもつのか
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpm/52/11/52_KJ00008274856/_pdf/-char/ja

※2 厚生労働省 雇用政策研究会報告書 概要 
https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/000467968.pdf

※3 糖尿病ネットワーク 食事療法を成功させる「マインドフルネス」 こうすれば食事はうまくいく 
https://dm-net.co.jp/calendar/2016/025849.php