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アーユルヴェーダとは? 体内のバランスを整え美しく健やかな体を作ろう

日本でもアーユルヴェーダという言葉が聞かれるようになってきました。アーユルヴェーダは人に備わっている病気にかからない強い体を作るためのもので、予防医学に役立てることができます。アーユルヴェーダを知り、実践していくことで、心身ともに穏やかで健やかな体を作りましょう。

アーユルヴェーダってどんなもの?


アーユルヴェーダはサンスクリット語の「アーユス=生命」と「ヴェーダ=知識」の複合語で、日本では「生命の科学」という意味があります。アーユルヴェーダはインド・スリランカの伝統的な医学であり、世界保健機構(WHO)からも公式に認められています。病気になってから治療する西洋医学とは考え方が異なっており、病気になりにくい心身をつくるための予防医学に着目しています。

インド・スリランカにおけるアーユルヴェーダは特別な治療ではなく、食事や睡眠など人々の日常生活と密に関わったものとなっています。日本では1970年代からアーユルヴェーダという言葉が聞かれるようになり、人々に知られるようになったのはごく最近のことです。※1

アーユルヴェーダはどんなことをするの?


アーユルヴェーダの教えは心身ともに幸せで健康に生きることです。日本で普通に生活をしていると出会うことは中々ないかもしれませんが、そんな日本でも最近ではアーユルヴェーダが身近に感じられるようになりつつあります。

代表的なものとしてはエステサロンがあり、体質に合った薬草オイルを用いたマッサージが行われます。中でも、「シロダーラ」というマッサージは、別名「脳内マッサージ」として知られていて人気があります。シロダーラは、眉間にあるマルマと呼ばれるツボに、一定の時間温めたオイルを流す施術です。脳を瞑想状態に導き、リラックスさせることで、ストレスを解消する効果があるといわれています。
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また、アーユルヴェーダに基づく食事も要注目。アーユルヴェーダでは、食事は体を作るものと考えられています。食べ物が体を作っているという意識が高いからこそ、1回ごとの食事が大切という考え方になります。しかし、アーユルヴェーダの食事には、これという定番が存在しません。アーユルヴェーダでは古くから体質に合った食事が重要視されており、その日の体調に応じて内容を変えていく方法が取られています。

「ドーシャ」を知って体質に合った食事を摂取


ドーシャとは3つのエネルギーのバランスを指し、環境やライフスタイルの影響によって日々変わっていきます。ドーシャをわかりやすく説明するなら、体質や体調ということになるでしょう。

ここでいう3つのエネルギーとは、ヴァータ(風)、ピッタ(火)、カパ(地) のことです。この3つはそれぞれにバランスが異なり、その日によって変わっていくため、食事の内容もドーシャに合わせるのが良いと考えられています。それでは、3つのパターンに合った食事内容を個々に紹介していきます。

ヴァータは風のエネルギーで、冷性・乾性という特徴を持っています。ヴァータが増えると疲労感や寝付きの悪さ、不安を感じやすくなり、便秘や肩こり、生理不順の原因にもなります。多動性のある軽いエネルギーであるヴァータの体質には、温かい食事や重みのある食事が良いとされています。また、この体質は食欲にムラが出てしまうため、食事は決まった時間にとることを心がける必要があります。

ピッタは火のエネルギーであり、火のような鋭さを持ちます。ピッタのエネルギーが増えている時は、強い空腹感や空虚感を感じたり、批判的で攻撃的になったりします。ピッタは炎症と密接に関わっており、胃炎や湿疹などを起こしやすくします。ピッタの体質には牛乳が合うとされ、食事は冷たいものやマイルドなものがおすすめです。甘味、渋み、苦味が推奨されているので、果物や色の濃い野菜を積極的にとるようにしましょう。

カパは水のエネルギーで、油性、湿性を持ちます。カパのエネルギーが増えている時は、体が重く感じたり強い眠気に襲われたりと、負の感情が表れてきます。カパの体質には少量で軽く、油分を抑えた食事が適しています。また、甘味や塩味はカパを増大させてしまうため、味付けにも気をつけましょう。断食でデトックスしたいならカパのエネルギーが増えている時がおすすめです。
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エネルギーという考え方は日本であまり浸透していませんが、個人でもその日の体調や体質で合う食事が異なるというのは新鮮な発想といえるでしょう。病気の治療と違って予防に重点をおいたアーユルヴェーダは、私たちの日常生活で活かしていける部分が多そうです。

※1 リラ ホリスティックカレッジ アーユルヴェーダとは?
https://lilaholisticcollege.jp/aboutayurveda

※2 ヨガジャーナル 脳のトリートメント「シロダーラ」とは【スリランカ「パンチャカルマ」体験レポート ♯7】
https://yogajournal.jp/3436

※3 アーユルヴェーダライフデザインスクール 暮らしに活かすアーユルヴェーダ
https://www.jnhc.co.jp/second/entry/post-16/


ライタープロフィール

佐々木優美(管理栄養士)

病院にて給食管理や栄養指導に従事しフリーランスとして独立。webメディアでは健康・栄養系のライターとして記事を執筆しています。その他、食育教室や自治体主催の料理教室、短期大学の非常勤講師などの仕事を通じて、食の大切さを伝える活動をしています。