糖と健康

Category

ストレスコーピングとは? コーピングでストレスを管理しよう

「眠れない」「疲れやすい」「不安を感じる」などの症状が現れた場合、その原因は自分が気付かない間に蓄積されたストレスかもしれません。初期のストレスサインに気が付けずに過ごしていると、突然心身に不調を感じることもあります。私たちは日々、さまざまなストレスに曝されています。いざというときに自分の身を守れるよう、ストレスコーピングについての知識を身に付けておきましょう。

ストレスコーピングとは?


ストレスの原因を「ストレッサー」といいます。コーピングとは「対処する、対応する、切り抜ける」という意味の「cope」という英単語が語源で、ストレスコーピングは「ストレスと向き合い、良い方向へ解決させるために行うもの」。これによって心身への負担が軽くなり、心身に与える悪影響を抑えることができるのです。

ストレスコーピングには大きく分けて「問題焦点コーピング」と「情動焦点コーピング」の2つがあります。問題焦点コーピングは、ストレッサーに働きかけ、それ自体を変化させようとするもの。情動焦点コーピングは、ストレッサーに対する考え方や感じ方を変えようとするものです。

どちらのコーピングが適しているかは、ストレッサーそのものが対処によって変化が可能かどうかによって変わります。ストレッサーを変化させられるものは問題焦点コーピング、変化させられないものは情動焦点コーピングが適しています。※1

ストレスコーピングを行う上でのポイント


ストレスが蓄積され、高いストレス状態に置かれると、正しい判断をすることが難しくなります。できるだけ早めにストレスサインに気付き、コーピングを行うことが大切です。

・現状を把握する
他人に相談をして客観的な意見を聞く。相談していくなかで自分を整理していく。

・問題を自分で解決していく気持ちを持つ
時には誰かの手を借りる場面があっても、自分自身で解決していく意思がなければ事態は改善しません。状況を把握して、問題解決に向かって主体的に取り組みましょう。

・多くのストレスコーピングを身に付ける
日々の生活のなかでストレッサーは1つではありません。どのようなストレスにも対処できるように、コーピングの種類を幅広く身に付けておくと良いでしょう。

ストレスのサインは心に現れるものと体に現れるものの2つの種類があります。心の不調は、急に悲しくなったり、不安や緊張からイライラしたりするもの。体の不調は、肩こりや頭痛などの体の痛み、睡眠障害、下痢や便秘などの消化器系の症状が挙げられます。

日常的に感じるストレスが大きくなると、うつ病や不安障害、統合失調症などの心の病気につながります。ストレスサインは心のSOS。気付いたら適切に休みを取り、ストレスコーピングを行いましょう。早めに対処することが状況の悪化を防ぎます。※2

ストレスと食の関係

 


家に帰ってから疲れて甘いものが食べたくなったり、夜遅くにハイカロリーの夜食をとったりするのもストレスからの行動です。また、月経前に食欲が止まらないのはストレスが原因の場合もあります。そこで、食べ過ぎかもと感じて食べる量をセーブしたりカロリーの低いものを食べたりといった行動をとりますが、今度はそれがかえってストレスを溜める原因になることもあるのです。

このような場合に一番良いのは過食以外に意識を向けること。このケースを情動焦点コーピングといいます。もっと食べたいと感じたときに音楽を聞いたり、ネイルをしたり、散歩をしたりといった行動をとることで、食べること以外に意識を向けられるため、自分の衝動を抑えられるのです。

また反対に、食事をすること自体がコーピングになる場合もあります。例えば、人間関係で悩んでいるときも私たちはストレスを感じています。この場合、ストレッサー自体を変化させる問題焦点コーピングには時間がかかりますが、「自分の好きなものを食べる」「普段食べられないぜいたくな食事をする」などは、情動焦点コーピングとなるのです。

心の病の一つとして摂食障害があります。摂食障害は食事を全く食べられなくなったり、逆にむちゃ食いが続く状態です。これらのきっかけは、ほんの些細なストレスによるもの。食行動の異常はストレスの結果として現れる一方で、食事はストレス回避のコーピング手段にもなります。自分の中で食事をどう位置付けるかを冷静に考えることで、ストレスコーピングを行いやすくなるでしょう。※3

コーピングという手法を知っているか知らないかで、ストレスとの付き合い方は変わります。ストレスは心身の不調につながるため、早めに気付き対処することが大切です。コーピングについての基礎知識を身に付け、日々のストレス対策に活かしていきましょう。
 

※1 e-ヘルスネット ストレスコーピング
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-068.html
※2 知ることからはじめよう みんなのメンタルヘルス こころの病気の初期サインに気付く
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/first/first03_1.html
※3 鈴木亜紀子, 赤松利恵 ストレス対処行動の組み合わせと夕食の食べ過ぎ─満腹感覚尺度を用いた検討─
https://www.jstage.jst.go.jp/article/eiyogakuzashi/73/6/73_221/_pdf/-char/ja