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カビちゃった!となる前に知っておきたいカビ対策。カビの部分を取れば食べられる?

今年の梅雨は早々と終わりましたが、これからは暑さと湿気が多い時期になります。そんなときに気になってくるのは「カビ」ではないでしょうか?
浴室や洗面所、キッチンなどの水回りももちろん気になりますが、今回は食べ物の話。楽しみにとっておいたおやつに、いつの間にかカビが生えてしまった!なんていう経験はありませんか?
食品をなるべくカビさせない保存方法のコツとともにお伝えしていきます。


カビは危険なもの?

日本はカビの発育に適した気候条件であることから、昔からカビをうまく利用して、みそやしょうゆ、かつお節などを製造し親しんできた歴史があります。ブルーチーズなどもカビを利用しておいしく食べられる食品の代表ですね。
しかし、そんなおいしい恩恵を受ける一方で、食品にはさまざまなカビが発生します。カビは感染症を発生させるほか、中には人や動物に対して有害な「カビ毒(マイコトキシン)」と呼ばれる毒素を作り、食中毒やがんを発症させるものもあり、注意が必要です。※1)

カビが生えてしまったら・・食べられる?食べられない?

では、カビが生えてしまったものは食べられるのでしょうか?答えはNOです!!
カビの生えているところだけを取り除けば食べられそうな気もしますが、目に見えるカビの部分を取り除いても、目に見えないカビが食品の内部や表面にまだ残っている可能性が十分あります。また、カビ毒は熱に強く、通常の加工・調理をしても完全に分解することはできません。カビが生えてしまった食品は、思い切って処分しましょう。※1)※2)

食品をカビさせない保存方法~5つの条件~


カビが発育するためには5つの条件があります。逆に考えると、その条件を避けることでカビの発生を防ぐことができるのです。

【条件 ①:酸素】
カビは酸素のあるところでしか生きられません。食品を保存する際は、密閉容器や食品保存袋に入れ、余分な空気を出し、すき間なくしっかりと閉めることがポイントです。

【条件②:温度】
カビの発育可能温度は5~45℃で、最適温度は15~30℃。冷蔵庫でも徐々に増殖しますが、ある程度の発育は抑えられます。冷蔵庫の開け閉めは最低限にし、庫内の温度が上がらないように注意しましょう。

【条件③ :水分】
一般に水分を多く含むものほどカビが発生しやすくなります。砂糖漬け、塩漬けやジャムなどの味の濃いものはカビが発生しにくいため、おすすめの保存方法です。

【条件④:pH濃度】
カビは弱酸性(pH4~6)を好みます。酢やレモンなどに漬けることでカビの繁殖の抑制につながります。ピクルスやマリネは手軽な作り置きとしておすすめです。

【条件⑤:栄養】
カビの発育には栄養が必要ですが、食品のカビは食品成分そのものが栄養となるためカビが発育すればするほど食品は劣化します。特にパン、餅、菓子類などのでんぷんや糖分を含んだ食品を好むため、それらの食品の保存には特に注意しましょう。梅雨の時期や湿気の多い夏に買い置きするお菓子は、飴やビスケットなど、カビの発生しにくいものにしておくのが得策です。(条件 ①~⑤ ※3))


一般的にカビが発生しにくいような食品でも、家庭内ではカビの発生を完全に抑制することはできません。冷蔵庫の中でも増殖してしまうカビ。梅雨の時期や湿度が高くなる夏は食品の保存方法を見直して、工夫しながら、おいしいうちに早めに食べきるように心がけましょう。


※1)東京都福祉保健局 食品衛生の窓「カビとカビ毒について」
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/kabi/kabi0.html

※2)農林水産省 食品のカビ毒に関する情報
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/kabidoku/index.html#kabi

※3)諸角 聖、藤川 浩、和宇慶 朝昭、千葉 隆司(2004)「食品のカビ汚染と防止対策」『東京都健康安全研究センター 研究年報』第55号


ライタープロフィール

渥美 まゆ美
【管理栄養士/フードコーディネーター】

保育園栄養士、健保組合、大手料理教室の講師を経てフリーランスで活動後2016年株式会社Smile meal設立。
現在は出版、メディア出演、レシピ開発など体にプラスな料理の提案をすると共に、企業向け健康セミナーの講師や従業員の健康をサポートする料理教室、高齢者向け介護予防教室など健康サポート事業にも携わる。