糖と健康

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ハーブ習慣で疲れた心と体にやさしい生活


仕事や人間関係、家事、育児、運動などで疲れがたまっていませんか?
集中できない、頭が働かない、気分が落ち込む、眠れない、体がだるいなどの症状がある時はハーブを使いながら心と体の休息をしましょう。この記事ではハーブの歴史や注目のアダプトゲンについてご紹介していきます。

ハーブとは

ハーブとは、人の生活に役に立つ植物の総称です。「薬草」や「香草」と呼ばれることもあります。料理やキャンディーなどお菓子類や、ハーブティー、アロマオイル、虫よけなど、日常生活のさまざまな部分で活用されています。
ハーブの多くは香りや、植物ごとに特徴のある成分を持ちます。特徴のある成分=植物が作り出す二次代謝産物を健康維持や美容などに使おうとするメディカルハーブという考え方もあります。メディカルハーブは自然療法のひとつで、健康管理や病気の予防・治療を行うときにヒトに備わっている自然治癒力にハーブを使って働きかけることを目的としています。
ハーブには非常に多くの成分が含まれているのが特徴です。多くの成分がバランスよく含まれていることで作用が穏やかで全身に全体的に作用することにつながります。
 


ハーブの歴史

所説ありますが、ハーブと人との歴史は人類の誕生とともに始まったと考えられています。人類の祖先たちは身の回りにある植物を使って経験的にその働きを知っていたことでしょう。
古代エジプト時代の紀元前1700年頃に書かれた文書にアロエなど約700種類のハーブが記録されています。インドでも同様に紀元前1000年頃のアーユルヴェーダ(インド伝統医学)の書物に数百種類のハーブが登場します。古代ギリシア時代になると個々の薬草による治療からより体系だった医学に近い形になります。紀元前400年頃の古代ギリシアの医師ヒポクラテスは400種類以上のハーブの処方をまとめました。
古代ローマ時代になるとさらに進み、1世紀にローマの医師ディオスコリデスが著した「薬物誌」には600種類の薬効のある植物が取り上げられており、16世紀まで薬のバイブル的存在としてヨーロッパで珍重されました。古代ギリシアから古代ローマへの医学の流れはアラビアを経由して中世ヨーロッパへ伝えられます。10世紀ごろのペルシアの医師アビケンナは蒸留法を確立させ、植物から精油を取り出すことに成功し、今のアロマセラピーの基礎となりました。
植物療法は15世紀~17世紀の大航海時代に大きな広がりを見せます。新大陸や東洋から多くのハーブやスパイスがヨーロッパにもたらされました。ハーバリストと呼ばれる植物療法の専門家が活躍したのもこの時代です。
植物療法が医学の中心であった時代は19世紀の初頭まで続きます。この頃にハーブから単一の成分が分離されるようになり、いわゆる「薬」が作られるようになります。19世紀中頃からは植物から成分を分離するだけでなく、成分を化学的に合成できるようになりました。近代医学の医薬品の始まりと言えます。


注目されるアダプトゲンハーブ

ハーブに含まれる成分により働きや効果が異なるため、使われ方もハーブごとに異なります。例えば、よくカフェなどで提供されるハーブティーとしてジャーマンカモミールやローズヒップ、エキナセアなどがあります。ジャーマンカモミールは心身のリラックス作用と消炎作用があるためストレスによる胃炎、胃潰瘍や不眠に使われます。ローズヒップはビタミンCの補給や便秘の改善、感染症予防に、エキナセアは免疫賦活作用があることから風邪の予防・治療に用いられます。
このように、ハーブごとにさまざまな役割を持っています。また、病気の予防や治療、治癒だけでなく、抗ストレス作用を持ち心身のバランスを整えてくれるものが多いのもハーブの特徴の一つです。
近年、欧米を中心に注目を集めているハーブがありますので、ご紹介します。
それは、アダプトゲンと呼ばれるものです。アダプトゲンとはひとつのハーブや植物を指す言葉ではなく、ある働きや特徴をもつハーブの総称です。英語のアダプト(adapt)には適応させる、順応させるという意味があります。
アダプトゲンとは1)ストレスに対する適応力を高める働きがあり、2)さまざまな用途や分野で活用でき、3)通常使用する量で無害、なものを指します。
アダプトゲンは自律神経や免疫、内分泌のバランスを調整する働きを持ちます。医薬品ではこのような作用を持つものがないため、ハーブの持つ特徴的な働きの一つと言えます。

代表的なアダプトゲンとしては次のものが知られています。
アマチャヅル、エゾウコギ、カンゾウ、キバナオウギ(アストラガルス)、コウライニンジン、アメリカニンジン、マイタケ、レイシ、ロディオラロゼア


ライタープロフィール

金田太朗(かなだたろう)

特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会専務理事。東京農業大学農学部農学科卒。大学在学中にハーブの輸入・販売業を始める。監修に『足元にある、大切なもの。石垣島ハーブ暮らし』(ジャパンライフデザインシステムズ)、『きれいになるハーブ おしゃれに暮らす幸せレシピ』(小学館)など。