糖と健康

Category

ハーブのある暮らし、心と体がリラックスできる至福のひと時


現代人の多忙な暮らしの中で心地よいハーブの香りに癒されたという経験はどなたにもあるはずです。ハーブの健康増進効果は単に気分がリラックスするだけではなく、私たちをさまざまな病気から守ってくれます。今回はハーブが私たちを守るメカニズムについてご紹介したいと思います。

現代人の多忙な暮らしの中で心地よいハーブの香りに癒されたという経験はどなたにもあるはずです。ハーブの健康増進効果は単に気分がリラックスするだけではなく、私たちをさまざまな病気から守ってくれます。そこで、今回はハーブが私たちを守るメカニズムについてご紹介したいと思います。私たちがストレスを感じると心身が緊張し、体の中に活性酸素が発生します。活性酸素は破壊力に富んでいるため、菌やウイルスを排除する働きがありますが多量に発生すると、私たちの細胞を包んでいる細胞膜にダメージを与えてしまいます。これが進むと血管に障害を与え、動脈硬化などの生活習慣病を招いてしまいます。さて、活性酸素が細胞膜にダメージを与える反応を酸化といいますが、ハーブは酸化を防ぐ働き、すなわち抗酸化作用をもっています。したがって日常的にハーブを摂取していれば、その心地よい香りで気分がリラックスするだけではなく体内の酸化を防ぐことができるのです。ストレスの他に活性酸素を発生させる原因に紫外線があります。紫外線による活性酸素で皮膚の細胞がダメージを受けた例がシミやそばかす、シワなどです。したがってハーブは美容にも役立つことから欧米ではハーブ化粧品が大きな関心を集めています。

次に、私たちの生活に身近な3種のハーブについてその特徴や活用法をご紹介したいと思います。

①ハッカ 
ハッカはシソ科を代表するハーブで、ハッカに含まれるメントールの爽やかな香りは脳を刺激して眠気を吹き飛ばし、脳の働きを活性化してくれます。また、胃腸など消化器系の働きを高めて食欲不振を改善します。メントールには大腸菌や黄色ブドウ球菌に対する抗菌作用も確認されていて消化不良にも用いられます。ハッカのハーブティーは、ティーカップから立ち昇る香りが鼻の通りを良くし、また鼻の粘膜にひんやりとした感じを与えるため花粉症の方や花粉症でくしゃみ、鼻水、鼻詰まりに悩む方には救いのハーブとなります。さらには乗り物酔いや妊婦さんのつわり、薬の副作用の吐き気などに幅広く活用されています。ハッカとのブレンドには私は「ピーターラビットのおはなし」※ に登場するカモミールをお勧めしています。胃腸の調子が悪いときや便秘ぎみのときにハッカとカモミールを等量の比率でブレンドします。夏場にはハッカのハーブティーを冷蔵庫に入れて冷やすか氷で急冷し、生のミントの葉を飾ってアイスミントティーを楽しみましょう。 

②ウイキョウ

ウイキョウ(フェンネル)は同じセリ科のアニスやキャラウェイと外観がよく似たハーブで、料理の分野でも古くから香草として不可欠なハーブです。ウイキョウの作用には呼吸器系への働きと消化器系への作用があります。前者は咳を鎮めたり痰の排泄を促す働きから用いられ ます。後者は胃腸の働きを促したり、お腹にガスが溜まった場合にそれを排出する働きから用いられます。ウイキョウをハーブティーとして楽しむ際には葉でも楽しめますが、種(シード)の方が味も香りもよいのでお勧めです。熱湯抽出する直前にウイキョウをスプーンの裏などで押し潰したり突き砕くと成分の抽出が高まります 。ウイキョウのブレンドとしてお勧めなのは、呼吸器系に用いる場合も消化器系に用いる場合もハッカとのブレンドがお勧めです。ウイキョウとハッカとカモミールを中心とした ブレンドは『ベビーティー』の愛称で親しまれ、欧州では古くから子供の咳や腹痛に用いられます。また、ウイキョウは 妊婦さんや授乳婦さんの母乳の出をよくするハーブとしても知られています。 

③シナモン

シナモンは熱帯産のクスノキ科のスパイスとして知られ、桂皮は漢方で欠かせない生薬であるとともに料理やスイーツにも欠かせない材料となっています。シナモンは消化器系の働きを促し、血液循環を高めたり抗菌作用が強いことでも知られています。さらに、近年では血糖値を調節する働きも報告され、ますます人気が高まっています。シナモンはそのままシナモンティーとしても楽しめますが、コーヒーや紅茶のアレンジメニューにも活躍します。なかでもエスプレッソコーヒーに泡立てたミルクを加え、その上にオレンジピール(オレンジの果皮)やレモンピールを浮かべて、更にシナモンパウダーを軽く振ったカプチーノスタイルは女性に人気のアレンジメニューとなっています。 

以上3種の身近なハーブをご紹介しましたが毎日の暮らしの中で無理なく、そして楽しみながら 健康に役立つハーバルライフをぜひ皆さまにお勧めしたいと思います。

※「ピーターラビットのおはなし」:https://www.peterrabbit-japan.com/books/190201/


ライタープロフィール

林 真一郎

薬剤師 臨床検査技師 グリーンフラスコ研究所代表
東邦大学薬学部客員講師 日本赤十字看護大学大学院非常勤講師 静岡県立大学大学院非常勤講師 日本メディカルハーブ協会理事長 日本アロマセラピー学会理事

医師、薬剤師、看護師やハーバリスト、アロマセラピストなどとチームを組んで統合医療におけるメディカルハーブの実践的な活用に取り組む

著書 臨床で活かせるアロマ&ハーブ療法(南山堂)ファーマシューティカルアロマセラピー&メディカルハーブ(南山堂)メディカルハーブの事典(東京堂出版)高齢者介護に役立つハーブとアロマ(東京堂出版)他多数

監訳 メディカルハーブ安全性ハンドブック第2版(東京堂出版)精油の安全性ガイド第2版(フレグランスジャーナル社)他多数