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最近疲れやすいのは脳のブドウ糖不足が原因??その対策とは?!


特に激しい運動をしている訳ではない、また、睡眠も食事もきちんと取っているのに最近なぜか疲れやすい、そんな経験はないですか?それはもしかするとブドウ糖不足が原因かもしれません。今回は、疲労とブドウ糖不足との関係や対策について見ていきたいと思います。

脳にとってブドウ糖は特に大事!!

ブドウ糖が脳の大事なエネルギー源であることは皆さん知っていることと思います。脳のブドウ糖が不足するとエネルギーが作り出せず、結果として、思考力や集中力が低下してしまいます。わかりやすく表現すると、頭がぼーっとしている状態です。そして、脳のブドウ糖不足は脳への影響だけにとどまらないことが注意点になります。脳は体の中では、いわば中枢であり、他の各組織へと色々な命令を出しています。その命令が正しく出せなくなると、体中の色々な組織に障害が出てくることがあります。ブドウ糖不足が長期にわたって続いてしまうと、肝臓や筋肉に蓄えられているグリコーゲンを使い果たしてしまい、脳のエネルギーがますます減り、他の組織の働きも鈍り、結果として疲労が出てくる訳です。

糖を取る際にも注意が?!

疲労対策として糖分を摂取することが大事となりますが、ただむやみに取ればいいという訳ではもちろんありません。糖が不足した状態で、一度に大量に糖を摂取すると、血糖値が急上昇してしまい、体がこの状態に追いつかず負担となり、逆に疲労感が増してしまうという事態になりかねません。そこで摂取方法のおすすめとしては、フルーツを食べる、ゆっくり食べる、クエン酸と一緒に食べる、などです。フルーツには糖分がもちろんたくさん含まれているものの、食物繊維なども含まれているので血糖値が上がりにくい食品である点と、ビタミンやミネラルも一緒に取れるというメリットもあります。ゆっくりと食べるのはもちろん血糖値を穏やかに上げることができます。できれば固めの食品を選び、ゆっくりと唾液と混ぜながら噛んで食すのが良いでしょう。クエン酸は疲労に効くと言われていますが、体内にあるエネルギー代謝経路であるクエン酸回路を活性化するのがその理由です。クエン酸により、この回路を活性化することで代謝が上がり、効率よくエネルギーを作ることができるようになるので、クエン酸と糖を一緒に取るのはまさに理にかなっている方法であると言えます。

さらに効率よく摂取するには??

もちろん脳はブドウ糖をエネルギー源にしているのは確かですが、疲労という観点では、タンパク質、ビタミン、ミネラルなどの他の栄養素も大事になります。脳内では色々な神経伝達物質が存在し、これらによって脳内での生理機能が担われています。例えば、精神安定作用があるセロトニンや、やる気につながるドーパミンなどです。いくら糖をきちんと摂取してエネルギーは豊富であっても、神経伝達物質のバランスが崩れてしまうと、結果として、疲労が出てきてしまいます。ですので、いくら疲労対策をしたいからとしても、糖分ばかりを取るなどの極端なことは避けて、他の栄養素もバランス良くとることが求められます。

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各々の栄養素の疲労への役割は??

糖以外の栄養素について見ていきたいと思います。まず、タンパク質に関しては、神経伝達物質の材料となるため、疲労対策としては、糖と同じくらい重要なものとなります。ビタミンは神経伝達物質を作る際になくてはならないものです。特にビタミンB6やナイアシンなどはセロトニンやドーパミンを作る際に重要な栄養素なので、意識的に日頃からしっかりと取ると良いです。ミネラルも神経伝達物質を作るのに必要となるものですが、その中でも特に鉄は赤血球の構成要素でもあり、血液循環に関わっているものです。これが不足すると酸素や栄養の、脳や全身組織への運搬が滞ることになり、結果として疲労回復が阻害されてしまうことになるため、不足しないようにすることが重要です。また、コレステロールも疲労という観点では実は無視できないものになります。コレステロールは、抗ストレスホルモンとも呼ばれているステロイドホルモンの材料です。つまり、コレステロールが不足することで、ステロイドホルモンが不足し、結果としてストレスを感じやすくなってしまいます。ストレスは過度にかかることで疲労につながる可能性があるので、コレステロールも侮れない栄養素となります。一応再確認しておくと、これらの栄養素を取る以上に、糖が不足した状態を作らないことが最も大事になりますので、おかずの品数を増やしたとしても、ごはんやパンを抜いた生活を続けてしまうと、結果的には疲労回復にはつながらないということになってしまいます。こういう視点から考えると、具沢山にした丼や麺はどの栄養素も効率良く取れて、かつ、糖もきちんと取ることができるので、疲労回復にはかなり有用なメニューではないかと考えられます。ぜひ糖を上手に活用することで、疲労知らずの毎日を過ごす一助にしてみてください。

【ライター紹介】

宮川 隆 (みやがわ りゅう)

名古屋市立大学薬学部卒業、南カリフォルニア大学(USC)国際薬学臨床研修修了、東京大学大学院理学系研究科修了
薬剤師、理学博士のほか10種類くらいの資格を持つ。
現在は、東京大学医学部附属病院 放射線科 核医学部門  助教&「放射性医薬品の管理責任者」、環境省「原子力災害影響調査等事業」メンバー、日本アイソトープ協会 放射線取扱主任者講習・作業環境測定士講習講師、リクルートメディカルキャリアコラム執筆など本業の合間に、わかりやすくサイエンスを伝える活動に力をいれており、近年は全日本情報学習振興協会にて講師としてYouTube動画の配信も行っている。
【全日本情報学習振興協会YouTube】
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