糖と健康

Category

イライラする、疲れやすい、その原因は○○かも!?


ストレスは心だけではなく体にも悪影響を与え、重大な疾患の引き金となってしまうこともあります。また、イライラする、疲れやすいといった症状の裏側には、ストレスだけではなく更年期障害が隠れているかもしれません。更年期障害とはどのような病気なのか、症状や対策について解説しています。

心と体は密接につながっており、その不調は相互に連携しているものです。体調が悪いと精神状態にも影響しますし、抑うつや意欲の低下など精神状態がよくない場合には体の不調につながります。そのため、私たちはどちらか一方を健やかな状態に保てばよいというわけではなく、両方がバランスの取れた健康状態を目指すべきだといえます。

ストレス社会と負の感情

ひと口に負の感情といっても、さまざまな状態があります。怒り、妬み、悲しみ、焦り、不安などの感情が挙げられ、心が負の感情に支配されると本人は苦しみ、自分に対して批判的な状態になります。

現代はストレス社会にあり、日々の生活の中では人には話せない悩みや不安を抱えている人も多いでしょう。ストレスとは、外部から刺激を受けたときに生じる緊張状態のことです。ストレスの原因は環境によるもの、病気などの身体的要因、人間関係や仕事などの社会的要因などがあります。

ストレスを感じていると、何かしら体にサインが出ています。自分で気づくことができればよいのですが、ストレスを上手く発散できずイライラや怒りを他人に対してぶつけてしまうこともあると思います。そして、上手く感情コントロールができないことで、そんな自分を嫌悪してしまう…こうして人は負のループに陥ってしまうのです。

近年ではストレス対策がすすみ、ストレスチェック制度やハラスメント対策などに関する法が整えられてきています。しかし、これらは主に労働に関わるものばかりなので、その他の社会環境に対しては自分の身を自分で守らなければなりません。ストレスを感じたときは早めに休んだり、気分転換をしたりするなどのセルフマネジメントが求められます。※1

疲れやイライラは更年期障害の症状の一つ


メンタルが不調だと感じたりイライラしたりすることの原因は、日々の生活の積み重ねによって起こるものなので特定するのは難しいと思います。また、育ってきた環境なども影響しますので、過去の体験が関わることも。さらに、日照時間や栄養状態が影響する場合もあるので、端的に原因はコレだと断言するのは難しいのです。

男女ともに更年期という期間があります。女性の更年期は閉経する前後の10年間と考えられており、40代後半から50代前半までを指す場合が多いです。更年期はホルモン分泌が大きく減る時期であり、この変化によって体のさまざまな機能が上手く働かなくなってきます。男性は女性と比べホルモンの分泌量の変化が緩やかなため老化現象の一部と認識されて気付かれないことが多いと見られます。

ホルモンの変化は感情の起伏と大きく関係しています。この時期の女性は、ちょっとしたことで不安になったりイライラしたりと、負の感情に揺さぶられがちです。また、疲れやすい、何もする気が起こらないというのも更年期障害特有の症状となっています。

婦人科では、更年期障害の治療法として、女性ホルモンのエストロゲンを補うホルモン補充療法が行われます。エストロゲンは飲み薬、貼り薬、塗り薬などのさまざまな投与方法があり自分に合った方法が選択されます。その他にも、漢方薬や向精神薬などによる治療が選択されることもありますので、苦しいと思ったら無理をせず病院にかかりましょう。 ※2

更年期は今まで以上に食事に意識を向けて



イライラや不安をはじめとする心の不調を放置するとうつ病などの心の病にまで進行することがあります。調子が悪いと感じた時には、なるべく早めのメンタルケアが必要です。 原因の一つとして更年期障害の可能性がありますので、思い当たる節がないか、気になる人はチェックしてみましょう。

<更年期障害のセルフチェック>
・のぼせ、ほてり
・動悸
・寝つきが悪い、眠りが浅い
・汗をかきやすい
・腰回りが冷える
・怒りやすくイライラする

女性ホルモンは多様な働きがあるため、分泌の減る更年期にはこれまで気にかけていなかった部分に一気に症状が現れる場合もあります。例えば、コレステロール値が上昇したり、骨密度が急に減少したりする症状にも女性ホルモンが関わっていることも。更年期を迎えてからは、女性ホルモンで守られていた部分の健康が維持しづらくなるので、今まで以上に食生活に意識を向ける必要があります。※3

<食生活のチェックポイント>
・エネルギー量は適正範囲で
・脂質に偏った食事をしない
・カルシウムを補給する
・野菜、海藻、きのこ類をしっかり摂る
・味付けは薄めに

イライラの原因のひとつ、低血糖による食生活について詳しくはこちらをご覧ください。
疲れた、イライラする、が引き金に? 低血糖にならない食生活とは
【イライラ対策レシピ】オーバーナイトオートミールの作り方 適糖おすすめ献立New レシピ

女性ホルモンが急に減少する更年期は、体や心に不調が現れやすくなります。ホルモン補充療法ではある程度の症状を緩和させることができますが、基本的には毎日の生活を正し、健やかな習慣を心がけることが大切です。食生活を見直し、より心身の健康に意識を向けていきましょう。

※1  厚生労働省 知ることからはじめよう みんなのメンタルヘルス ストレスって何? 
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/first/first02_1.html

※2日本産科婦人科学会 更年期障害
 https://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=14

※3 大塚製薬 更年期以降
https://www.otsuka.co.jp/nutraceutical/about/nutrition/womens-health-and-nutrition/menopause/


ライタープロフィール

佐々木優美(管理栄養士)

病院にて給食管理や栄養指導に従事しフリーランスとして独立。webメディアでは健康・栄養系のライターとして記事を執筆しています。その他、食育教室や自治体主催の料理教室、短期大学の非常勤講師などの仕事を通じて、食の大切さを伝える活動をしています。