あっという間に師走となり、もうすぐクリスマス、そして年末ですね。
美味しいごはんにあわせてワインなどお酒を楽しむ人も多いのではないでしょうか。
とはいっても、美容や健康診断の数値などいろいろ気になるのも事実。。。少しでも体に負担をかけずにお酒を楽しむ方法はないものか。と考えたりしませんか?
今回は、ワインを思いっきり楽しむための体に良いお酒の飲み方を伝授します!
赤ワインは体に良い?YESorNO?
「赤ワインは体に良い」という通説。みなさんも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?そう言われる理由の一つに「フレンチ・パラドックス」があります。
「フレンチ・パラドックス」とは、「フランス人が他のヨーロッパ諸国に比べ乳製品や動物性脂肪の摂取量が多いにも関わらず、動脈硬化の患者が少なく心臓病の死亡率が低い」というもの。※1)フランスでは赤ワインの消費量が多いことから、赤ワインに含まれる「ポリフェノール」の抗酸化作用が動脈硬化や心筋梗塞に効果があったのではないかと注目され、研究が進められたようです。しかし、その後の研究では、ワインであろうがビールであろうが、お酒の種類は健康に関係しないことがわかりました。さらに最近では飲酒しないことが一番健康であるという新事実も報告もされており※2)、肝心のワインに含まれるポリフェノールも現時点では心疾患予防の効果は根拠不十分とされています。
では、何をもって「赤ワインは身体に良い」と言わしめたのか・・・?
それはワインを含む食事や生活習慣が関係していると考えられています!ある研究結果によると、ワイン派の人はビールや蒸留酒派の人よりも野菜や果物の摂取が多く、心筋梗塞の原因の一つとされる赤身肉や油で揚げた肉などの飽和脂肪酸の摂取が少ないのだとか。ワインに欠かせないチーズも、低脂肪チーズを好んで選ぶなど、どうやらワイン派の人の食の好みが、心筋梗塞に予防的な食品を選ぶ傾向にあることが理由ではないかと解釈されているようです。※3)赤ワイン自体が健康に良いわけではないことから、「赤ワインは体に良い?」の答えはNO!
お酒を飲む時に必要な栄養とは?
お酒の種類よりも「何を一緒に食べるか?」が、体に影響がありそうですが、栄養学的視点からみると、飲酒の際にぜひ意識してとってもらいたい必要な栄養素があります。
【お酒と一緒にとりたい栄養素】
■ビタミンB群
体内でアルコールを代謝する際に多量に消費される栄養素です。
■カリウム
アルコールの利尿作用により多量に排出され、体内で不足する栄養素です。
■たんぱく質
アルコールを分解する酵素は、たんぱく質でできています。たんぱく質をしっかりととることで、肝臓の代謝機能が促進され、アルコール代謝も促されます。
これで安心?ワインのお供におすすめのおつまみ3選
お酒を飲むときに意識してとりたい栄養素、せっかくならおいしく摂取したいですよね。ここで、必要な栄養素がとれるおすすめのおつまみを3つご紹介します。
【煮込み野菜料理】
野菜にはアルコールの利尿作用により排出されてしまうカリウムが多く含まれます。これから本格的に寒くなる季節には、サラダなどの冷菜だけでなく冬野菜を使った蒸し野菜や煮込み料理がおすすめです。
おすすめ料理・・・柚子味噌のふろふき大根、根菜と魚介のアヒージョ
【お刺身】
おつまみとして定番の刺し身。良質なたんぱく質源であるのはもちろんですが、飲酒で失われるビタミンB群をバランスよく補給できます。
おすすめ料理・・・マグロとアボカドのタルタル、ブリのカルパッチョ
【ドライフルーツやナッツ】
こちらも定番のおつまみ。ナッツは常にストックしている方もいらっしゃるかもしれませんね。ドライフルーツはミネラルが豊富で、意外とワインとの相性が抜群です。お酒は食事と一緒に飲むことでアルコールの吸収が穏やかになり悪酔いを防止してくれます。ドライフルーツやナッツに豊富に含まれる食物繊維がその効果を果たしアルコールの吸収を穏やかにしてくれます。※4)
おすすめ料理・・・ブリスボール、ドライフルーツとナッツのクリームチーズボール
お酒は、体のことを考えると、飲まないに越したことはないものの、適量さえ守れば健康を損なうどころか、ストレス解消につながったり会話がはずんだりと楽しい時間を作ってくれますよね。「何のお酒を飲もうかな?」と考えるのも楽しみの一つですが、「今日はこのお酒に何を合わせて食べようかな?」という視点で、おつまみや食事に少し気を配りながら、クリスマスや年末年始を思い切り楽しむのが一番の健康法かもしれませんね。
※1)若林一郎.飲酒と動脈硬化性疾患.生活衛生 Vol. 48 No. 1 387-395(2004)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/seikatsueisei/48/1/48_1_387/_pdf
※2)Alcohol use and burden for 195 countries and territories, 1990–2016: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2016.Lancet 2018;392(10152):1015-35
※3)Johansen D,et al.Food buying habits of people who buy wine or beer: cross sectional study.BMJ 2006;332:519-22.
※4)e-ヘルスネット「アルコールの吸収と分解」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-02-002.html
ライタープロフィール
渥美 まゆ美
【管理栄養士/フードコーディネーター】
保育園栄養士、健保組合、大手料理教室の講師を経てフリーランスで活動後2016年株式会社Smile meal設立。
現在は出版、メディア出演、レシピ開発など体にプラスな料理の提案をすると共に、企業向け健康セミナーの講師や従業員の健康をサポートする料理教室、高齢者向け介護予防教室など健康サポート事業にも携わる。