糖と料理

Category

おせち料理を簡単に、美しく盛り付けるには?


気付けば年の瀬。寒さが進むにつれて年末年始のことを考える季節になりました。年末年始はゆっくり過ごしたい!でもいつもおせち作りや帰省などで慌ただしくなってしまう…という方も多いのではないでしょうか?

毎年頭を悩ませがちなおせち作り。お重に詰められた既製品のおせちも数多く出回っており、それを購入する手もありますが、保存性をよくするために味を濃くしたり、甘く仕上げたりしているものも多く、好きな料理と苦手な料理が分かれがちです。

家族の好みに合わせたおせちにするには、手作りすることで一番満足度が高くなりますが、なかなか難しいという方はスーパーなどでパック詰めされたおせち料理を好きなものだけ選んで購入し、お重やお皿に盛り付けるのもオススメです。きれいに盛り付けると一気にお正月らしい雰囲気に…作った方も、食べる方も気分が上がるような、ちょっとしたコツをご紹介します。

おせちに欠かせない料理って?


おせちは地域や家庭によって、入れる料理も詰め方も様々です。その中でも「祝い肴三種」と呼ばれるおせちには欠かせない縁起物があります。この三種も関東と関西で異なり、関東では「数の子、黒豆、田作り」、関西では田作りの代わりに「たたきごぼう」が入ります。
いろんな料理の入ったおせちを買っても食べきれない…家族があまりおせちを好きではない…という方は、「祝い肴三種」だけをお皿に並べ、手軽にお正月気分を味わうのもよいですね。

おせちの中身や意味についてはこちらでご紹介しています。
おせちの中身には全部意味がある! 全部の由来言えますか?
おせち料理! 基本の5種類と定番とは?

お重の盛り付け方


お重を開けた瞬間、美しいとそれだけで心が踊りますね。いくつもの料理をバランス良く詰めるには、完成形をイメージし、盛り付けに使用する小鉢や飾りの配置を決めてから、料理を詰めるようにすると良いです。

お重は上から順に「一の重」、「二の重」、「三の重」と呼ばれ、それぞれの段に詰める料理がおおよそ決められています。日本では古くから奇数は吉、偶数は凶とされてきたため、それぞれの段に詰める品数は奇数、個数も奇数にすると良いです。各段の料理と詰め方のポイントをご紹介します。

【一の重は市松盛りに】
祝い肴三種に加え、伊達巻や栗きんとん、紅白かまぼこなど前菜的な料理を詰めるのが主流な一の重。細々とした料理や品数が多くなるため、お重を9つの四角に分け、市松格子のように盛る「市松盛り」がオススメです。中央の料理をおちょこサイズの小鉢に入れて置き、その周りに他の料理を並べるようにすると詰めやすいです。小鉢を対角線上に3つ並べて、その周りを埋めていく方法もきれいにまとまります。

【二の重は末広がりに】
魚やえび、肉、卵等の焼き物が中心となる二の重。中心にえびなど大きな食材を置き、周囲に扇状に盛り付けていくと豪勢に見えます。外側に向かって末広がりになるイメージです。隙間に酢ばすや紅白なますをゆずの実をくり抜いた器などに入れて詰めると彩りもよくなります。

【三の重は平行またはランダムに】
三の重には煮しめをたっぷりと。根菜やこんにゃく、しいたけなどを詰め込んだ煮しめはおせち料理の中では随一の野菜をたくさんとれる料理です。にんじんを梅形の型で抜いたり、ゆでた絹さやを斜め半分に切って3枚重ねたりし、竹の葉として飾ります。食材を飾り切りにするだけで華やかな印象に。

食材ごとに分けて煮て、各食材を平行に並べ、整然と盛り付ける方法と、全ての食材を一緒に煮て、ランダムに盛り付ける方法があります。ランダムに盛り付ける場合は、にんじんやしいたけなど色の濃い食材をうまく散らすときれいに仕上がります。

おせちをカジュアルに…近年人気のワンプレート盛り


お重に詰めるまで力を入れなくても、1人分ずつをお気に入りのお皿に盛り付けたり、大皿に数人分を少量ずつ盛り付けたりすると、より手軽におせちを楽しむことができます。少人数の家庭が増えたこともあり、近年よく目にするようになってきました。

お皿の対角線上に葉らんを敷き、その上に盛り付けるだけでも雰囲気が出ます。散らばりやすいものや、汁気の多いものはお重同様、小鉢に入れてからのせます。1種類あたりの量は少量ずつにすると、上品に、美しく仕上がります。

見た目のバランスをよくするには、おせちに欠かせない祝い肴三種を手前に盛り、奥に背の高いものを盛り付けるとよいでしょう。

あると便利な飾り


松の葉、南天の葉、裏白、葉らんといった緑色のあしらいの葉はおせちの飾り付けに大活躍。年末になるとスーパーでも売られているので、1種類だけでも用意しておくと重宝します。もし、近くのお店で見つからない場合は大葉を使うのも良いです。

松の葉は黒豆やゆでた銀杏(ぎんなん)をさして飾ると華やかな印象に。南天の葉は葉が小さく使いやすいため、1つ用意する場合は南天の葉がオススメです。裏白(うらじろ)は葉の裏面の白っぽい側が見えるようにして使用します。

おせちはお重にぎゅうぎゅうに詰める地域や余白を残して詰める地域がありますが、お重に隙間があり、底が見える場合は葉らんのような大きな葉を敷き、緑色が見えるようにすると素敵に仕上がります。金色の紙を底に敷いてもいいですね。

おせちの盛り付けはおせち作りの醍醐味でもあります。飾り付けに使用する小物や乾物など日持ちのする食材は早めに揃え、ゆったりとした気分でおせち作りを楽しんでみてください。

 

ライタープロフィール

渥美 まゆ美
【管理栄養士/フードコーディネーター】

保育園栄養士、健保組合、大手料理教室の講師を経てフリーランスで活動後2016年株式会社Smile meal設立。
現在は出版、メディア出演、レシピ開発など体にプラスな料理の提案をすると共に、企業向け健康セミナーの講師や従業員の健康をサポートする料理教室、高齢者向け介護予防教室など健康サポート事業にも携わる。