糖と料理

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甜菜が原料の甜菜糖とは 健康によい?

 

甜菜糖について名前を聞いたことはあるけれど、どんなものなのか知らない方も多いのではないでしょうか?甜菜糖は何となく身体によいもののような印象もありますが、味や栄養成分など特徴をご紹介します。

甜菜が原料の甜菜糖って何?


砂糖の原料は大きく2つあり、世界で流通する砂糖の7~8割はさとうきびから作られており、残りの2~3割が甜菜から作られています。日本では北海道で生産されている甜菜は別名「さとう大根」や「ビート」とも言い、見た目は大根やかぶのような植物です。甜菜(ビート)についてはこちらでも詳しく紹介しています。
ビートってどんな野菜? 砂糖の原料にもなる「甜菜」という植物

さとうきびや甜菜の絞り汁から糖蜜を分離し、結晶を取り出して作ったものは「分蜜糖」と呼ばれ、上白糖やグラニュー糖などがこれに当たります。※1
普段口にしている上白糖やグラニュー糖はパッケージをよく見ると、使用している原料として、さとうきびまたは甜菜と記載があるので、ぜひ購入時にチェックしてみてください。

一方で、絞り汁から糖蜜を分離せずに作ったものを「含蜜糖」と呼び、一般的には「甜菜含蜜糖」が「甜菜糖」として売られています(以後、甜菜含蜜糖を甜菜糖とする)。さとうきび由来の含蜜糖は黒砂糖、和三盆などがあります。※1
含蜜糖は精製されていないため、原料の持つ香りやコク、自然の甘さがあるのが特徴です。
分蜜糖と含蜜糖についてはこちらもあわせてご覧ください。
砂糖の種類は大きく2つ! 含蜜糖と分蜜糖の違いを健康視点で考える

甜菜糖と上白糖、栄養成分の違いは?

 

甜菜糖をはじめ、含蜜糖は原料のもつミネラル成分が残っています。茶色い見た目からして、上白糖よりも栄養成分が多いようにも見えますね。含蜜糖の中でも、黒砂糖にはカルシウム、鉄などのミネラルが多く含まれています。ただ、甜菜糖にはミネラルはあまり多くは含まれていません。
エネルギー量は、甜菜糖は1gあたり3.6kcal、上白糖は1gあたり3.9kcalであり、若干、甜菜糖のほうが少ないものの、大きな差はありません。※2

GI値という食べた後にどれだけ血糖値が上昇するかを食品毎に示した指標については、上白糖よりも甜菜糖のほうが低いとも言われていますが、近年では同程度とも言われています。※3
いずれにしても、身体に良さそうだからと言って、たくさんとり過ぎては量に伴って血糖値は上昇するため、摂取量には注意しましょう。

どんな料理に使うとよい?

 

甜菜糖は料理に香りとコクをプラスし、味の複雑さを増すため、煮物や甘辛く味付けするような炒め物などに向いています。和食や中華の炒め物にはピッタリですね。また、香ばしく焼き上げる焼き菓子にもオススメです。

ケーキやゼリーなど単純に甘味を付けたい場合や、コーヒーや紅茶など繊細な香りを楽しむ飲み物の場合は上白糖やグラニュー糖がオススメです。彩りを重視する料理、菓子の場合も然りです。上白糖やグラニュー糖は白い見た目から、漂白しているという誤った認識もありますが、不純物を沈殿、濾過して製造しています。
ひとくくりに砂糖といっても、原料や製造方法によって特徴が異なるので、それぞれの良さを活かして料理に活用できると良いですね。

【参考資料】
※1 農林水産省:砂糖の種類
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2111/spe1_01.html
※2 文部科学省:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
※3 月刊フードケミカル 2020-6,P87-89,精糖工業会「砂糖と健康」研究プロジェクト
https://seitokogyokai.com/suger-health/pdf/evidence.pdf
ホクレンHP:てんさい糖
https://www.tensaito.com/lineup/

 


ライタープロフィール

渥美 まゆ美
【管理栄養士/フードコーディネーター】

保育園栄養士、健保組合、大手料理教室の講師を経てフリーランスで活動後2016年株式会社Smile meal設立。
現在は出版、メディア出演、レシピ開発など体にプラスな料理の提案をすると共に、企業向け健康セミナーの講師や従業員の健康をサポートする料理教室、高齢者向け介護予防教室など健康サポート事業にも携わる。