砂糖には白砂糖、黒砂糖、きび砂糖、甜菜糖など様々な種類があります。種類によって含まれるミネラルは大きく異なります。白砂糖にミネラルはほとんど含まれておらず、きび砂糖や甜菜糖にはカリウム、鉄といったミネラルが含まれていますが、量としてはさほど多くありません。ミネラルの含有量がダントツに多いのが黒砂糖。今回は黒砂糖に多く含まれているミネラルの働きについて解説します。
黒砂糖に特に多く含まれている鉄
身体を構成している主なミネラルとして「日本人の食事摂取基準(2020年版)」で示されているものは13種類あります。その中で黒砂糖に特に多く含まれているのが鉄です。鉄といえば「貧血予防」というイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。鉄は血液中の赤血球の成分となり、全身に酸素を運ぶ働きがあります。
そのため、鉄不足では体内が酸欠状態となり、疲れやすい、頭痛、息切れなどの症状を引き起こすことがあります。黒砂糖大さじ2(約20g)で、成人女性が1日に必要な鉄の約1/6量(約1mg)をとることができます。※1
日本人の食事で不足しやすいといわれているミネラルの一つが鉄。成長期や激しい運動をする方、月経中の女性は特に不足しやすいので注意が必要です。鉄の多い赤身の肉や魚、レバー、大豆製品、緑黄色野菜を積極的にとるようにしましょう。
骨の健康に欠かせないカルシウム
「カルシウム」といえば、牛乳などの乳製品や小魚に多いイメージですが、黒砂糖にもカルシウムが含まれています。カルシウムは骨や歯を作る材料となり、不足すると骨がもろくなる骨粗しょう症の原因となります。
黒砂糖大さじ2(約20g)で、成人女性が1日に必要なカルシウムの約1/13量(約50mg)をとることができます。※1
カルシウムを効率よく吸収するには魚類やきのこ類に多く含まれているビタミンDも必要です。ビタミンD不足ではカルシウムをせっかくとっていても骨にうまく取り込むことができません。ビタミンDは日光に当たることによって皮膚でも合成されるため、日常的に日光に当たることも心掛けましょう。※2
骨の強度を示す骨密度はなんと20歳頃がピークで、以後徐々に減少するといわれています。若いうちから骨の健康には気を付けたいものです。※3
心の健康にも関わるマグネシウム
鉄やカルシウムほど知られてはいませんが、体内で多くの働きをしているのがマグネシウム。カルシウムとともに骨の健康にも関わる他、エネルギー代謝や筋肉の収縮、体温や血圧の調整にも関与しています。また、不足すると抑うつ感が生じることもあり、心の健康とも結びついています。※4
普段の食事では抜けてしまいがちなナッツ類や玄米、大豆製品などに多く含まれているため、意識して食生活に取り入れる必要があります。
他にも黒砂糖にはカリウムや亜鉛、銅、マンガンなど様々なミネラルが含まれています。かといっていずれのミネラルも黒砂糖だけで1日の必要量を満たそうとすると、糖質のとり過ぎにつながってしまうので、ミネラル補給の補助的なものとして使用すると良いでしょう。
<参考>
※1 文部科学省:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
厚生労働省:日本人の食事摂取基準(2020年版)
※2 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所:「健康食品」の安全性・有効性情報、ビタミンDを含むサプリメントについて
https://hfnet.nibiohn.go.jp/column/detail4973/
※3 厚生労働省:e-ヘルスネット、骨粗鬆症の予防のための食生活
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-02-007.html
※4 厚生労働省:e-ヘルスネット、マグネシウム
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-034.html
ライタープロフィール
渥美 まゆ美
【管理栄養士/フードコーディネーター】
保育園栄養士、健保組合、大手料理教室の講師を経てフリーランスで活動後2016年株式会社Smile meal設立。
現在は出版、メディア出演、レシピ開発など体にプラスな料理の提案をすると共に、企業向け健康セミナーの講師や従業員の健康をサポートする料理教室、高齢者向け介護予防教室など健康サポート事業にも携わる。