糖と料理

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黒糖ときび砂糖、オリゴ糖は体に良い?? 特徴と上手に活用するコツ


黒糖・きび砂糖・オリゴ糖、上白糖以外にも砂糖にはたくさんの種類があります。
それぞれの砂糖の特徴と上手に活用するコツを学びましょう。

黒砂糖ときび砂糖の材料 サトウキビって?

原料となるサトウキビは、イネ科の植物です。高温多湿で年間の平均気温が20℃以上の土地でよく育つといわれており、日本では沖縄県と鹿児島県が主な生産地となっています。
サトウキビ自体の歴史は古く、日本では江戸時代に奄美大島にサトウキビの苗が植えられ、栽培が始まりました。※1

このサトウキビの搾り汁からゴミやかすを取り除いた後、それ以上精製せずに煮詰めると「黒砂糖(黒糖)」に、黒砂糖よりも多く精製し煮詰めると「きび砂糖」になります。通常の砂糖よりも製法工程が込み入っているため、値段は少しお高めです。

エネルギーに違いはあるか?

エネルギー比較(100gあたり)
・上白糖    384キロカロリー
・黒砂糖    354キロカロリー
・きび砂糖   396キロカロリー

エネルギー比較で言うと多少黒砂糖が低くなりますが、使い勝手や味わいは違うので、用途によって使い分けた方が良さそうです。それぞれの特徴と使い方のコツを見てみましょう。※2

黒砂糖とは?


黒砂糖は精製が少なく、不純物であるカルシウムや鉄、亜鉛などのミネラル分が多く、独特な香りや渋み、苦みといった雑味、カラメルのような独特の甘味も強く感じられます。

黒砂糖は白砂糖と比べると固まりやすく、大抵はブロックを砕いた程度の状態で販売されています。白砂糖と比べてミネラル由来の風味が強いため、少量でも料理の隠し味やコク出しに一役買ってくれたり、飴のように直接口にして風味を楽しんだりすることもできます。※1

きび砂糖とは?


サトウキビの搾り汁からゴミやかすを取り除いた後、黒砂糖よりも多く精製し煮詰めると「きび砂糖」になります。上白糖とは精製方法が違って、精製途中の砂糖液を煮詰めて作るので、苦みやアクは取り除かれ、まろやかな甘味とサトウキビ本来の風味とミネラルを含んでいます。

黒砂糖よりも白く、黒砂糖ほど独特な香りや味は少なくなります。

料理全般やお菓子、飲み物など幅広く使用することができます。中でも煮物や和菓子との相性がよいといわれています。甘さやエネルギーも上白糖とほとんど同じですので、料理やお菓子の仕上がりにも影響を与えません。

上白糖よりミネラルが多く味に奥深さを与える

黒糖やきび砂糖には上白糖よりもミネラルが含まれているので、料理やお菓子に使うと奥深い味わいを与えてくれます。例えば、カレーや青椒肉絲等の肉の炒め物、プリンやコーヒー等、あらゆる料理の味づくりに取り入れることが出来ます。加えて、これらの独特なコクを活かすことで、料理に入れる糖分や塩分の量を少なくすることができます。

大根の煮物や魚の照り焼きなどの和食では、黒糖を使うことで、見た目の色が濃くなり、照りも付きやすく醤油の量を若干減らすことができます。ただし、焦げ付きやすい欠点もあるため注意しましょう。
反対に、白い料理・色をつけたくない料理には白砂糖を使いましょう。

また、ミネラルが不足しがちな方は積極的に活用しても良いでしょう。

砂糖とミネラルについてはこちらをご覧ください。
黒砂糖やきび砂糖は体にいい? 使い分けたい砂糖の種類と特徴
砂糖の種類や味や色の違いで栄養は変わる!? いい砂糖と悪い砂糖とは?

オリゴ糖とは?


炭水化物である糖類は、グルコース(ブドウ糖)、フルクトース(果糖)、ガラクトースといった単糖類、砂糖や乳糖といった二糖類が構成単位になっています。オリゴ糖は糖質のうち、最小単位である単糖が2~10個つながったものです。※3
オリゴ糖はからだによいイメージがありますが、どんな特徴があるのでしょうか。見ていきましょう。

オリゴ糖は血糖上昇が緩やかな低GI食品

GI(グライセミックインデックス)とは、食後の血糖値の上昇度を表す値ですが、ブドウ糖を100とした場合の相対値で表され、GI値が高いほど血糖値が急上昇しやすくなります。オリゴ糖は消化酵素によってほとんど分解されず、体内で消化・吸収されないため、上白糖・きび砂糖、黒糖と比較しても最もGI値が低く、血糖値が上昇しにくい「低GI食品」の一つとしても知られています。食後の高血糖対策に効果的です。※4

GI値 
・上白糖   109
・きび砂糖  100
・黒糖    99
・オリゴ糖  10~30

GI値についてはこちらをご覧ください。
低GI食品とは? 食後血糖値について考える


オリゴ糖のおすすめのとり方と注意点は?

オリゴ糖は熱や酸に強いため、調理で加熱してもしっかりと効果を発揮してくれます。煮物や炒め物などで使用する砂糖を、オリゴ糖に置き換えできます。普段からコーヒーや紅茶を飲む方は、砂糖やガムシロップをオリゴ糖のシロップに置き換えるのも良いでしょう。

オリゴ糖は実は、大豆・たまねぎ・ごぼう・ねぎ・にんにく・アスパラガス・バナナなどの食品にも多く含まれていますので、これらの食材を取り入れるのもおすすめです。善玉菌のえさになるため、バナナヨーグルトや、具だくさんのお味噌汁、アスパラのチーズ焼きなど、発酵食品と組み合わせれば、腸内環境改善にも効果的です。

しかしながら、オリゴ糖を急に摂取すると下痢を起こしたり、おなかが張ったりすることがあります。このような場合には1回の摂取量を2~3回に分けたり、1日あたりの摂取量を減らしたりしてみるとよいでしょう。体質によっては少量でも下痢をすることがあります。また、食物繊維と一緒に摂ると、さらに下痢をしやすくなるため、組み合わせや量に注意しながら使用しましょう。※5

どれが良い、悪いというより、どれも多く使いすぎるのは害になるので、特徴を知って使用用途に合った使い方をするのが、より食べ物を美味しく楽しめる、といったところでしょうか。それぞれ味わいも違うので、使うものによってどのように変わってくるのか違いを楽しむのも良いかもしれませんね。

オリゴ糖やてんさい糖など砂糖についてはこちらでもご紹介しています。
オリゴ糖は続けないと意味がない!? 効果を実感するために必要な期間とは?
今大注目の「オリゴ糖」が持つスゴイパワーとは?
オリゴ糖が心の健康にも良いって本当!? 知られざる腸とメンタルヘルスの関係とは
ビートってどんな野菜? 砂糖の原料にもなる「甜菜」という植物
サトウキビ? テンサイ? サトウカエデ? 人間を支える糖分いろいろ!


※1 沖縄黒砂糖協同組合
https://www.okinawa-kurozatou.or.jp/

※2 日本標準食品栄養成分表2022

※3 厚生労働省 オリゴ糖(e-ヘルスネット)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/keywords/oligosaccharide

※4 一般財団法人食品分析開発センター(2020年2月発行)グライセミックインデックス(GI)の有用性と問題点
http://www.mac.or.jp/mail/200201/02.shtml

※5 厚生労働省 腸内細菌と健康(e-ヘルスネット)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-003.html

 

ライタープロフィール

渥美 まゆ美
【管理栄養士/フードコーディネーター】

保育園栄養士、健保組合、大手料理教室の講師を経てフリーランスで活動後2016年株式会社Smile meal設立。
現在は出版、メディア出演、レシピ開発など体にプラスな料理の提案をすると共に、企業向け健康セミナーの講師や従業員の健康をサポートする料理教室、高齢者向け介護予防教室など健康サポート事業にも携わる。