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【後編】のどのケアをしつつ年に1度は大声を!「よこすか大声大会」


毎年8月に、神奈川県横須賀市の大塚山妙蔵寺で開催される夏の風物詩「よこすか大声大会」。2018年8月18日に行われた10回目の大会では過去最高の166名もの方が参加し、大いに賑わいました。後編では前編に引き続き、大会の様子や参加者の声をお届けするとともに、刑事から仏門に転身したという経歴の持ち主である僧侶の大島龍穏さんに大会について伺った話を紹介していきたいと思います。

 

「よこすか大声大会」の概略と開催のきっかけ

Q:「よこすか大声大会」開催の主な趣旨について教えてください。

大島さん:現代の方は、そもそも普段大声を出す習慣がないですよね。このところ子どもがいたずらされたり危ない目に遭ったりするニュースも多く耳にしますが、普段から大声を出していないと、必要な時に大きな声で助けを呼んだり叫んだりすることが難しいのです。ですので、大声大会には、いざという時に大声を出せるようにしておくためにも、「年に1回くらいは大声を出す訓練をしておこう」という目的もあります。あとは夏の暑い時期に大きな声を出して暑気払いしようという意図も込められています。そしてその根っこには、「全力を出したらどんな気持ちになるのかを実感する」ということがあります。その手段として、小さなお子さんからお年を召された方まで無理なく同一線上でできる「声を出す」ということにたどり着いたわけです。

Q:どういったきっかけがあって大声大会の開催に至ったのでしょうか?

大島さん:妙蔵寺では年12回、感性をキーワードとした「心の時間」という催しを開いています。ここでは檀家さんや近所の方に来ていただいて、「生きるとは何か」「死ぬとは何か」など少し難しい話や仏教的な話、さらには「あなたにとって自然とは何か」「秋は何色か」など、普段話題にしないようなテーマについて2時間話し合ったり体験したりしています。

ある時「心の時間」で、全力を出したらどんな気持ちになるのかを実感しようという目的で、声を出してみようと思い立って、参加者に2回ずつ本堂で大声を出してもらったら、「すごく気分が晴れた」「気持ち良かった」という感想をいただきまして。皆さんこんなに満足していただけるのなら、「心の時間」に留めておくのはもったいないと思い、地域の方々やお檀家さんなど有志の皆さんで大声大会実行委員会をつくって、大声大会を開催する運びとなりました。「よこすか大声大会」は今回で10回目を迎えましたが、段々と参加者の人数も増えてきて、賑やかになってきました。

Q:大声を出すコツとして、どのようなポイントに気をつけると良いと思いますか?

大島さん:足を広げて中腰の姿勢になり、大きく息を吸ってから発声すると大声が出やすいと思います。セリフは母音がつくものにすると、比較的高い点数が取れますよ。ちなみに実は私、大声大会の最初の優勝者なのです。その時は「今年の夏は暑いぞー」というセリフで大声を出しました。

Q:「よこすか大声大会」開催に当たって、暑さ対策など配慮している点や苦労している点など教えてください。

大島さん:例年8月の猛暑の時期に開催しているので、暑さ対策には気を配っています。例えば今年も引き続き、暑さ対策として無料かき氷を提供していますし、塩飴や梅干しも用意しています。あとはテントを張ったりエアコンの効いた休憩所を設置したりして、参加者や付き添いの方が暑さで倒れることがないように配慮しています。

Q:大声を出す大会ということで、のどのケアなどについて何かお考えでしょうか?

大島さん:私自身、のどを手術したことがありますので、声の出が悪い時があるのですが、そういう時は飴でのどを潤して滑らかにすると声が出やすくなりますね。大きな声を出すのには飴は必需品だと思いますし、大会でものど飴をいつも準備しています。私も仕事柄、よく声を出しますので、のど飴を愛用していますよ。
 

「よこすか大声大会」の反響と今後の展望


Q:今年で10回目の開催ですが、過去の大会で印象深い出来事などありましたらお聞かせください。

大島さん:一番印象に残っているのは、今回の大会で司会をしている女性が、過去に母親と参加した時の出来事ですね。彼女は母親とお豆腐屋さんを営んでいるのですが、お母さんは彼女に「もっとしっかり働け」と、それに対して彼女は母親に「もっと給料多くしろ」と大会で言い合ったことがあって。その掛け合いがすごく面白かったのを覚えています。毎年大勢の方が大会に参加しているので、いろいろな出来事を思い起こすことができるのはとても感慨深いですね。

Q:大会参加者からの反響や要望などはいかがでしょうか?

大島さん:参加した方からは、「来年も出たい」「今度は祖父祖母も連れて来るよ」といった嬉しい声も届いています。皆さんの要望としては、賞品についての不満を耳にすることがありますね。商品は寺側で選んで購入しているのですが、どうしても子ども向けのものを選ぶのが難しくて。それでも喜ばれるような賞品を選んでいるつもりなのですが、以前2年連続で優勝した子どもさんから、「賞品が去年と一緒だった」と言われたのは悲しかったですね。これからも皆さんに喜んでもらえるよう、スタッフで知恵を出し合って賞品選びをしていきたいと思っています。

Q:「よこすか大声大会」の今後の展望についてお聞かせください。

大島さん:今後も長く続けていきたいと思っています。毎回大会後に行っている反省会で出た意見を反映させ、少しずつ、さらに良いものにしていきたいと考えています。
 

2018年の優勝者はスマイラーズ 畠山達也さん


2018年の「よこすか大声大会」、大人の部で栄えある優勝に輝いたのは、スマイラーズ 畠山達也さんでした。畠山さんはM-1グランプリにも参加したことがあるという現役のお笑い芸人で、記録は過去最高の126.6デシベルでした。大声大会に参加するためだけに、大阪から友人と4人で来たという畠山さんに、参加のきっかけや感想を伺いました。

Q:「よこすか大声大会」参加のきっかけについて教えてください。

畠山さん:誰よりも声が大きく、1年間大声で過ごしていた自信があったので、今日は大阪からこの大会に参加するためだけに来ました。

Q:普段からのどのケアなどは行っていますか?

畠山さん:職業柄のどは普段はのどの調子を整えるために、夜寝ている間は絶対にエアコンをつけないようにしたり、高音が必要な歌を歌うようにしています。もちろん普段からのど飴も舐めてますし、カンロの飴も大好きですよ!

Q:大会に参加してみていかがでしたか?

畠山さん:22年間生きてきましたが、一番気持ち良いです!

大会の締めは、いつもお世話になっている人や、周りの人などに感謝の意を込めて、参加者やスタッフ全員、大声で「ありがとう」と叫んで終了しました。「我こそは!」と声の大きさに自信がある方は、来年の「よこすか大声大会」に参加してみてはいかがでしょうか。

<プロフィール>
大島龍穏
1946年東京生まれ。1965年に高校を卒業後、神奈川県警察官を拝命し、66年より山手警察署、警察本部機動捜査隊、横浜水上警察署、本部捜査第一課などを経て、2000年、横須賀警察署刑事一課強行犯係長を最後に退職。さまざまな死を目の当たりにし、家族を失った遺族の悲しみや苦しみの心に“ともしび”を灯すために、退職した翌日から日蓮宗金谷山大明寺住職・久保日維上人に師事し、僧侶となる。現在は妙蔵寺の活動を支えながら、講演で全国を回っている。また無料相談所「みちしるべ」を立ち上げているほか、テレビ・ラジオ等にも出演。久里浜少年院篤志面接委員としても活動。著書に「鬼刑事僧侶になる」(サンマーク出版)や「定年出家」(小学館)。

■よこすか大声大会公式ホームページ
https://oogoe.org/