糖とカンロ

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【前編】「ヒトからヒトへ つながるヒトツブ」で糖の魅力を発信~「ヒトツブカンロ」~『ヒトツブカンロ誕生のきっかけ』


2012年に創立100周年事業として立ち上がった、カンロ直営のキャンディショップ「ヒトツブカンロ」。その誕生の背景や、どのようなこだわりをもって作られているかなどを、コーポレートコミュニケーション本部ヒトツブ事業室の増山恵世主任に聞きました。

 

メーカーとして、お客様と直接コミュニケーションのとれる場を

「ヒトツブカンロ」は、カンロというメーカーがお客様と接する場として始まりました。それまではお客様相談室やサンプル配布などを通じて声を聞くことはあっても、商品を直接販売することはなく、全く初めての試みでした。直営店を展開することで、お客様に直接カンロのこだわりや価値観、商品の特性をお伝えすることができます。また、お客様からのご意見やご要望も直接伺えるため、それらを今後のカンロの事業展開に活かせるメリットも考えました。

当時はカンロとして課題がいくつかありました。まず、カンロは飴やグミの市場で、「カンロ飴」や「ピュレグミ」などのヒット商品を数多く送り出してきましたが、業界シェアとしては各社10%前後でほぼ横並びでした。また歴史があるが故に古参のイメージが伴い、新たなブランディングの必要がありました。菓子市場においては、チョコレートなど、キャンディより高級なイメージのある商品の存在も意識しなければなりません。
その一方で大きな強みとして、カンロはどこよりも品質の良い、美味しいキャンディを作っているという自負と実績があります。そこで、それをお客様にどのように伝えるかを考え、キャンディがギフトになる可能性を見出し直営店事業に乗り出すこととなったのです。

現在、直営店は東京GRANSTA(グランスタ)店と大阪LUCUA1100(ルクアイーレ)店の2店舗です。このほかにポップアップストアといって、テナント様のイベントや催事に合わせて期間限定での出店も時々行っていますが、「ヒトツブカンロ」の商品は「ここでしか買えない」としています。また、店舗ごとの限定パッケージや季節・イベント限定の商品展開など、特別感をもたせるようにしています。

 

一般流通商品では表現できない、ワンランク上のこだわりにトライできる


ヒトツブカンロで扱う商品は主に直営店で販売するため、一般流通商品に比べれば小ロット生産になります。だからこそ、大量生産・大量消費では叶えられないような、手間暇を掛けた商品展開が可能です。
例えば、「ヒトツブカンロ」で開発した人気商品に「グミッツェル」があります。外側はパリッと、中はしっとりとした新感覚食感のグミで、通常の生産ラインで世に出すにはいくつかの課題がありました。また、独特の食感を実現させるまでにも苦労があり、何度も試作を重ねています。こうしたチャレンジが、「ヒトツブカンロ」では行えるのです。
結果として、「グミッツェル」は「ヒトツブカンロ」で発売当初から人気を博しました。グレープやラ・フランスなど6種類の色および風味があり、発売当初はひとつずつ販売していましたが、お客様から「お土産にしたいので、箱入りが欲しい」という声をいただき、6個・12個・30個のセットでお出しするようになりました。また、6個セットのパッケージは東京・大阪それぞれの店舗限定デザインとしており、東京バージョンは東京駅土産として人気ランキングの常連となっています。そして商品自体も種類が増え、「グミッツェル」が一口サイズになった「グミッツェル プチ」やグミの半分にチョコを掛けた「ショコラ・ド・グミッツェル」も展開しています。

このように「ヒトツブカンロ」を検証の場とした実験的な商品のほか、一般流通商品として人気の「ピュレグミ」に、ひと手間掛けてチョコがけした「ピュレショコラティエ」も「ヒトツブカンロ」の人気商品です。一般流通商品では表現できないワンランク上の商品として、こだわって作り込んでいます。ハート型のグミに半分チョコをかけてあるのですが、グミとチョコのバランスなど、何度も試作してカンロとしてのベストマッチを表現しました。

 

特別なデザインで、あげる楽しさ・もらう楽しさを演出


「ヒトツブカンロ」の商品はギフトを意識しているため、パッケージデザインにも力を入れています。スタート時から担当してくれているデザイン会社との二人三脚で、お客様に喜んで手にとっていただけて、誰かに贈りたくなるデザインを送り出してきました。
「縁起缶キャンディ」という紅白の小粒な飴を入れた缶は、「商売繁盛」の招きねこや「無事に帰る」に掛けたかえるのイラストがかわいらしく、飴を食べ終えてからも小物入れとして使っていただけます。コニャックや赤ワインなどのお酒を使用している、大人の味わいの「マチュアグミ」はグミの原料にもこだわりましたが、パッケージにもエンボス加工を施すなど、上質に仕上げてあります。仕事や移動中に口にする日常的なグミとは別に、ゆっくりとくつろぐ自分の時間に味わっていただける世界観を、グミで目指した商品です。

こうしたデザインのおかげで、パッケージ買いといいますか、商品の味や品質とはまた別の軸でも選んでいただけていると自負しています。2013年には「ヒトツブカンロ」の商品デザインとして、ドイツの国際的なデザイン賞である「レッド・ドット・アワード」のコミュニケーション部門を受賞することもできました。全3部門に43ヵ国から6800点もの応募があって選ばれたものです。飴をあげる楽しさともらう楽しさをつくる「ヒトツブカンロ」。創業以来のカンロの想いを込めた商品がこのような賞をいただき、たいへん光栄に思っています。


 

カンロ株式会社
コーポレートコミュニケーション本部 
ヒトツブ事業室
増山 恵世

2012年入社。
商品企画部で一般流通商品の開発に携わり、ピュレグミやカンロ飴の開発チームに。
2017年8月よりヒトツブ事業室の一員として、ヒトツブカンロの商品開発や店舗運営の補助などを担当。