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【後編】りんご飴ブームの火付け役、りんご飴を届けたい先と反響や今後の展望とは~ポムダムールトーキョー~


りんご飴に真摯に向き合い、お菓子としてのおいしさを引き出したりんご飴専門店「ポムダムールトーキョー」。前編では代表取締役社長池田喬俊さんが歩んできた道のりなどを伺いました。後編ではお客様からの反響や今後の展望などに迫っていきます。

 

りんごの個性を引き出す味を


Q:池田さんご自身は、りんご飴はプレーンだけでも良い、とおっしゃっていました。お店で期間限定の味を出しているのは、リピーターのお客様に対して新鮮さを提供するためでしょうか。
池田さん:そうです。それもりんご飴の可能性のひとつだと思っているので。

Q:りんごを選ぶときのこだわりはありますか?
池田さん:こだわりはないです。こだわってしまうと相対的にりんごを評価してしまうので。りんごそれぞれの個性があるので、点数はつけません。例えば期間限定の「うめしそ」という味は、ふじという品種がおいしくなるまで待ちました。

Q:やりたい味に対してりんごを選ぶのではなく、りんごに対して味を選ぶのですね。
池田さん:そうですね。

 

雨の日も晴れの日も最適解を出すために


Q:開店するまでに苦労したことや大変だったことはありますか。
池田さん:一年中同じ品質のサンふじを手に入れることはできないので、まずは時期に合わせたりんごの品種を知らなければいけません。ですので、最初の2年は大変でしたね。飴の製造に関しても、湿度の関係で12月は作りやすいのですが、6月や7月はとても作りにくいです。

Q:飴に関しても時期によって工夫が必要なのでしょうか。
池田さん:ポムダムールはりんごをりんご以上においしく食べられる、という点に力を入れているので、飴はドレスだと思っています。時期によって変わるりんごに対して飴も変えていかないと、印象が変わってしまいます。その感覚をつかむまでがとても大変でした。日々の変化、例えば天気が雨の日もあれば晴れの日もある、という中で、商品やお店と真摯に向き合っています。
果物は生で食べるのがいちばんおいしいのですが、そうではない例外もまれにあります。りんご飴は例外のひとつだと思っています。りんごに飴をかけるだけのお菓子だからこそ、製造工程をごまかせません。

 

大切にしたいのは味やエネルギーの先にあるもの

Q:お客様の反響で心に残ったことはありますか?
池田さん:お客様で印象に残っている方が二人います。ひとりは、難病を抱えていて完治する見込みがないお客様。どうしてもりんご飴が食べたいとの連絡をいただいて、お医者さん立ち会いのもと、ご自宅にりんご飴を持って伺ったことがあります。お医者さんにバイタルを取ってもらいながらりんご飴を食べたお客様が、「久しぶりにおいしいものを食べた」とおっしゃってくれました。それを聞いて、りんご飴には可能性があると思いましたね。
もうひとりが、ある百貨店催事に出店した時に来店してくださった、盲導犬を連れたお客様。すぐに食べられる形で渡したところ、その場で食べてとても喜んでくれました。そのお客様に「りんご飴は表面が飴でコーティングされていて、赤くて、きらきらしていて、星空のようにきれいです」とお伝えしました。そうしたらお客様が「『きらきら』という色が今まではわからなかったのですが、このりんご飴が『きらきら』という色なのですね」とおっしゃってくれて、印象に残りました。りんご飴を通してこうやって感じてくれる人がいるのは、とてもうれしいです。

Q:りんご飴を通して人と人とのやりとりが生まれているのですね。近年は糖質を気にして甘いものを避ける人もいますが、どのように思われますか。
池田さん:先ほどのお客様の場合、伝わったのは「りんご飴がおいしい」ということだけではありません。りんご飴に限らず、食品にとって本当に大事なのは、糖質とか食品のエネルギーではないですから。糖質などの数値は食べ物を選択する情報のひとつにはなりますが、結局はその先の満足感が大切だと思いますね。

 

食べたい人にりんご飴を届けられるように

Q:ポムダムールトーキョーの今後の展望を教えてください。
日本全国にりんご飴を届けたいです。僕が取材を受ける理由は知名度とか売上ではなくて、出会うべきなのにまだ出会えていない人に、メディアを通じて出会える可能性があるからです。「食べたいと思った人のもとにりんご飴を届ける」という意味合いで47都道府県に1回はいきたいと思っています。りんご飴を食べたいと思う人の中には、お店に足を運べない人もいるので。りんご飴を通した喜びを多くの人に知ってほしいですね。まだいったことのない土地も含め、百貨店の催事場などへの出店は、今後も積極的にしていきたいと思っています。

りんご飴を手にしたお客様の反響から、りんご飴には人の心をつなげたり、喜びや満足感を与えたりする力があると感じた池田さん。食べたい人のもとに届けられるよう、池田さんとりんご飴の旅は続きます。糖質や見た目ばかりに目を向けるのではなく、時には飴を食べることで得られる幸せを楽しんでみてはいかがでしょうか。