梅の旬はいつ? 昔から人気の梅スイーツに迫る


肌寒さが残る頃に花を咲かせ、夏が始まる前に丸い実を付ける梅。梅は古来より体に良い食べ物として人々に親しまれてきました。梅の実の酸味(クエン酸)は、疲労回復や殺菌作用が期待できると言われており、お弁当のごはんに梅干しを添えると、傷みにくくなるとされています。このように梅の実は、さまざまな料理のほか、飴やスイーツにも活用されている食べ物です。梅が古くから親しまれてきた歴史と、人気の梅スイーツについてご紹介します。※1


 

令和に縁がある万葉集でも愛されていた「梅の花」

2019年4月に発表された元号「令和」によって、万葉集が注目を浴びました。

現存している最も古い歌集である万葉集には、梅の花を詠った作品が登場します。全部で約4500首のうち、梅を素材に詠まれた歌は約120首もあり、植物を題材にして詠まれた中では、萩に次いで多い数です。

そして今年の年号で使用された歌は、大宰府の大伴旅人邸で開かれた梅花の宴で詠まれた32首の序文の一部である「初春の令月にして気淑(よ)く風和ぎ梅は鏡前の粉を披(ひら)き蘭は珮(はい)後の香を薫らす」から引用されて制定されたものです。ここに登場する梅は鏡の前でおしろいをはたく女性のように美しいと例えられています。この文言からは、満ち足りた情景がうかがえますね。

大伴旅人は、奈良時代の政治家であり歌人です。大宰府の長官も務めていました。大宰府の大伴旅人邸には梅の花が植えられており、山上憶良などを招いて宴を行い歌が詠まれました。梅花の宴で詠まれた大伴旅人の代表的な歌に「わが園に梅の花散るひさかたの天(あめ)より雪の流れくるかも」があります。散りゆく梅の花を雪に見立て、大伴旅人の心情が表現されていると言われています。※2

大伴旅人の庭に梅の花が植えられていたように、貴族の敷地には好んで梅の花が植えられていたと言われており、美しい花を咲かせる梅は、古くから親しまれていたようですね。

 

梅の旬は6月から7月。梅のちからで暑い夏を乗り切ろう

また梅は観賞するだけではなく、食用としても古くから重宝されてきました。
夏が始まる前の梅雨の時期に、収穫の最盛期を迎える梅の実。未熟な青梅は梅酒や梅シロップなどに、完熟梅は梅干しなどに加工されます。梅の実の爽やかな香りや酸味は、食欲を刺激し、暑い時期を乗り切る食べ物として、最近でも話題にされていますね。

梅の原産地については諸説ありますが、有力なのは中国です。中国では古くから梅の実を加工して薬用にしており、日本へは飛鳥時代に伝わったと言われています。薬用に加工した梅の実は、真っ黒になるまで燻製にしてから乾燥させたもので、その姿がカラスに似ていることから「烏梅(うばい)」と呼ばれていました。現在も漢方薬として使われています。※3

日本で梅干しが作られ始めたのは、平安時代中期とされています。当初作られていたのは、現在よく見掛ける赤しそ漬けやハチミツ漬けの梅干しではなく、梅の実を塩漬けにしてから日干しした「白干し梅」でした。白干し梅は、平安時代に記された日本最古の医学書「医心方」に登場し、その時代は薬用として用いられていたことが分かります。

梅干しが薬用として用いられる時代は長く、室町時代から戦国時代には武士の食欲をアップさせるものとして食べられていたそうです。持ち運びやすく、保存も効くので、戦で体力が失われるのを防ぐために重宝されたと考えられています。

白干し梅は塩分濃度が高いため保存性に優れており、現在も作られています。そのまま食べるほか、塩抜きをしてからハチミツに漬けてハチミツ梅干しなどにも加工されています。

赤しそと一緒に漬けた「赤梅干し」が登場するのは江戸時代中期です。この頃から一般的に梅干しが食べられるようになりました。赤しそと一緒に漬けるのは、味や香りを良くするほか、殺菌効果が期待されているからだそうです。

 

梅スイーツの世界。シロップから甘露煮まで
 

梅というと、梅干しばかりが取り上げられがちですが、中国では塩と砂糖で梅を漬けた「話梅(ワームイ)」が昔からいくつもありました。日本でも干し梅といえば伝わると思います。
昨今では、爽やかな梅の香りがするスイーツは、さっぱりとした味わいで、食欲が落ちがちな夏にピッタリの食べ物です。梅が出回る時期には、梅シロップ・甘露煮・梅ジャムなどを作って楽しむ人も多いのではないでしょうか。

簡単に作ることができる梅スイーツと言えば、梅シロップです。梅の実を洗い、ヘタを竹串で取り除いたら、熱湯消毒した瓶に氷砂糖と梅の実を交互に入れていくだけ。1週間ほど経つと、梅から水分が出てきて梅シロップの完成です。水や炭酸水で割るほか、かき氷のシロップや、ゼラチンで固めて梅ゼリーにするなど、梅シロップはさまざまなスイーツに活用できます。

梅の実の食感や風味を楽しみたいなら、梅の甘露煮がおすすめです。梅の実を洗ったあと、竹串でヘタを取り除いて鍋に入れ、水を入れて煮ます。水を替えて2~3回煮たあとに、水と砂糖を加え、アクを取りながら弱火でじっくりと煮込むと、ふっくらと柔らかい梅の甘露煮が出来上がります。そのまま食べるほか、寒天で寄せて和菓子にすると涼し気なスイーツになります。

梅の実を水で2~3回煮込んだあとに、種を取り除いてペースト状にし、砂糖を加えて煮詰めた梅ジャム。パンに塗るほか、ヨーグルトのソースや、ドレッシングなどにも活用できますよ。

酸っぱい梅干しは古くから親しまれ、薬用としても用いられてきました。一方で梅は、ハチミツ漬けや梅シロップ、梅ジャムなど甘い糖分との相性も抜群で、現在でも多くのスイーツに幅広く活用されています。梅が旬を迎える時期に、梅干しや梅のスイーツを楽しんでみませんか。




 

参照元URL
※1 https://www.washokukentei.jp/trivia/word/a/post-70.php
和食検定公式サイト 和食トリビア集 梅干
※2 https://www.manreki.com/arekore/yaka-manyou/yaka-manyou.htm
高岡市万葉歴史館
※3 https://www.yomeishu.co.jp/genkigenki/crudem/160629/index.html
養命酒 元気通信

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