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抗酸化作用のあるビタミンCやビタミンEで免疫力を高める!


身体のなかの免疫を担う細胞は、風邪やさまざまな感染症と闘うことにより、病気になるのを阻止しようとします。免疫反応には多くの細胞が関わって成り立っており、栄養状態が悪かったり、体調が悪かったりすると免疫力は低下してしまいますが、この免疫力を高めると考えられているのが、生活習慣や食事を整えるといった基本的なものです。ここでは、「抗酸化ビタミン」と呼ばれるビタミンCやビタミンEと免疫力の関係性を見ていきましょう。

抗酸化作用とはどのようなもの?

まず活性酸素についてですが、活性酸素は大気中の酸素よりも活性化された酸素のことをいい、体内の細胞を酸化させて身体を錆させてしまうようなものです。これは誰にでも起こることで、避けてとおることはできません。活性酸素が増えすぎると細胞が傷付き、動脈硬化や老化などの原因となります。

次に抗酸化作用についてですが、抗酸化作用とは、活性酸素の発生そのものを抑えたり、働きを弱めたりする作用のことです。この作用を持つ成分を抗酸化物質と呼びます。代表的な抗酸化物質は、ポリフェノール類であり、ビタミンのなかでもビタミンA、ビタミンC、ビタミンEは抗酸化ビタミンと呼ばれています。※1

抗糖化作用とビタミンの関係

糖化とは、たんぱく質が糖と結びついて変性してしまうものです。糖化したたんぱく質はAGEと呼ばれます。AGEは臓器や筋肉、血液、髪などの身体のたんぱく質を攻撃して、機能を低下させてしまうのです。これは、肌のハリや髪の毛のツヤを失わせたり、骨粗しょう症やアルツハイマーのリスクを高めたりするなどさまざまな老化現象の原因となります。

糖化を予防するためには、食生活が重要とされています。まずは糖化の大きな原因となる糖質を適量摂取することが大切で、単糖類が多く含まれているお菓子や清涼飲料水は、血糖値を急激に上げやすいので摂りすぎないようにする必要があります。

糖質を気にする人は、ご飯やパンなどの主食からの糖質までを厳しく制限することもありますが、大事な部分をカットしても間食や甘い飲み物などの余分な糖質を摂取していてはあまり意味がありません。何が必要で何が不要なのか、見極める力を身に付けることも大切ですね。  

糖質制限についてはこちらもご覧ください。
糖質制限と血糖値スパイクの関係について

また、レモンなどに含まれるクエン酸を摂取することは、AGEの吸収を穏やかにするともいわれています。さらに抗酸化作用を持つビタミンCやビタミンEが多く含まれている食品を摂ることも効果的です。酸味のある果物にはビタミンCと同時にクエン酸を多く含む場合が多いので、積極的に活用してみましょう。※2

免疫ってどのような働きをするの?


ウイルスが体内に入り込むと、大量の抗体が作り出されてウイルスに感染された細胞を破壊します。

免疫のシステムはいろいろな細胞が関わり合って成り立っており、抗体は免疫反応にとってとても重要なものです。
免疫とは、そもそも「疫から免れる」という意味から作られた言葉であり、免疫システムは体内に侵入したウイルスや細菌を攻撃して、身体を守るという重要な働きがあります。※3

免疫力を高める方法には、笑う、運動をする、身体を温めるなどさまざまなものがありますが、バランスの良い食事をとったり栄養のあるものを食べたりするというのも代表的な方法です。※4

また、病気にならないためには自分に合ったエネルギー量を確保しておくことも大事なポイントとなります。厚生労働省の定めた日本人の食事摂取基準によると、炭水化物(糖質+食物繊維)は1日の摂取エネルギーの50~65%を摂るべきとされています。これは、たんぱく質と脂質の必要量を確保してから対応させたものですが、アメリカの研究では炭水化物の1日の摂取量が50~55%の集団では最も低い総死亡率と最も長い平均期待余命が観察されたそうです。この点を踏まえて考えると、炭水化物の摂取エネルギー比50~65%というのは人が最も健康的に生きられる数値とも考察できます。ただし、精製度の低い糖質を摂取することや甘味料や甘味飲料、酒などを過度に摂取するのではなく、糖質の質についても考慮していくことが大切です。※5

抗酸化作用のある食品でストレスを撃退! 免疫力を高めよう


ストレスはさまざまな病気の原因となります。これは、過度なストレスがかかると、免疫力を低下させてしまうことがあるからです。ストレスの原因は人間関係や家庭環境など人それぞれ違いますが、心身ともに十分に休ませるためには、しっかりと休養と栄養をとることが一番です。

ビタミンCはストレスが多いほど必要量が増すといわれています。ビタミンCは、ストレスから身体を守るために必要なホルモンの合成に使われているのです。ストレスを溜めないように心がけることも大切ですが、免疫力をあげるためにもストレスを感じやすい状態にあるときはビタミンCの含まれる食品をしっかりととりましょう。

ビタミンCの多く含まれる食品…キウイ、いちご、ピーマン、ブロッコリーなど

ビタミンEは、活性酸素から身体を守るための代表的な抗酸化物質です。免疫細胞を直接活性化させ、免疫抑制物質の生成を防ぎます。抗酸化ビタミンは、酵素によって処理しきれない活性酸素の働きを抑え、免疫力の低下を防いでくれるのです。

ビタミンEの多く含まれる食品…ほうれん草、ブロッコリー、ナッツ類、ひまわり油、ベニバナ油など

ビタミンCやビタミンEが含まれる食品や旬のものを食べて、ストレスを溜めずに笑顔で過ごしましょう。

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(参考)
※1 e-ヘルスネット 抗酸化ビタミン
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-008.html

※2 ハウス食品グループ本社株式会社 シミや小じわが気になる女性必見!老化を促進させる「糖化」の原因と予防策
https://housefoods-group.com/activity/e-mag/magazine/90.html

※3 中外製薬 バイオのはなし 免疫の働きって?
https://www.chugai-pharm.co.jp/ptn/bio/antibody/antibodyp03.html

※4 大塚製薬 乳酸菌B240研究所 免疫力を高める方法
https://www.otsuka.co.jp/b240/mechanism/raise1.html

※5 厚生労働省「日本人の食事摂取基準2020年版」
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586559.pdf


ライタープロフィール

佐々木優美(管理栄養士)

病院にて給食管理や栄養指導に従事しフリーランスとして独立。webメディアでは健康・栄養系のライターとして記事を執筆しています。その他、食育教室や自治体主催の料理教室、短期大学の非常勤講師などの仕事を通じて、食の大切さを伝える活動をしています。