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ザクロに注目! 話題のミトコンドリアを活性化させる成分とは?


現在、野菜や果物に含まれている機能性成分についてさまざまな研究が進められています。ザクロもこのひとつであり、それを摂取した場合に人の細胞内で起こるミトコンドリアの活性化にも注目が集まっています。ザクロに含まれている成分と、話題のミトコンドリアが活性することにはどのような関わりがあるのでしょうか。

ザクロに含まれている注目の成分


ザクロの食べられる部分には、エラグ酸というポリフェノールの一種が含まれています。ポリフェノールは、植物に含まれている抗酸化物質で、その働きが注目されており、さまざまな研究が行われています。※1

そもそも、ザクロはどのような果物なのでしょうか。ザクロは赤い皮に包まれた果物で、実を割ると内側に透明感のある真っ赤な粒が並んでいます。粒の大きさや形はトウモロコシと似ています。食べられるのはこの粒状の部分ですが、これはザクロの種子にあたります。※2

日本で農産物として栽培されているザクロはわずかで、主に観賞用の庭木として育てられています。生のザクロを食べたい場合は、実をつける秋に、道の駅などの直売所や取り扱っているお店を探してみてはいかがでしょうか。また、輸入品のザクロも、果物店などで取り扱われています。※2

生のザクロは旬の時期が短いものの、ジュースは手に入りやすいと思います。ザクロのエラグ酸がメディアで取り上げられて話題になった時は、一時的にザクロジュースが品薄になりました。

ミトコンドリアの働きとは


ミトコンドリアは細胞の中に存在している細胞小器官です。1つの細胞には、ミトコンドリアが100~2000個ほど含まれているといわれています。ヒトの体は数十兆個の細胞でできていることから、体内にあるミトコンドリアはとてつもない数になると思われます。※3

ミトコンドリアは呼吸によって取り込まれた酸素を利用してエネルギーを作っています。人は生きていくためにエネルギーを絶えず作り出す必要があり、ミトコンドリアは大切な働きを担っているのです。※3

また、ミトコンドリアは、アポトーシスと呼ばれるプログラムされた細胞死のコントロールや、活性酸素の産生など、さまざまな役割にも関わっています。※3※4

ザクロの成分でミトコンドリアを活性化?

ミトコンドリアについては複数の研究が行われており、老化との関わりがあるとの報告もあります。年齢を重ねるとミトコンドリアの機能が低下し、活性酸素を取り除く働きが低下すると考えられていることも老化との関わりのひとつです。※4

活性酸素というのは、体内に取り込まれた酸素が活性化された状態を指した言葉です。体内の活性酸素が何らかの原因で過剰になると、老化や生活習慣病などの一因となるといわれています。そこで、ミトコンドリアを活性化することによって活性酸素を取り除く働きを維持し、老化も予防できると期待されているのです。※4

また、ミトコンドリアの機能が低下すると、エネルギーを作り出す働きも低下します。エネルギーを十分に得られないことで細胞の働きが悪くなると、体のさまざまな不調につながるといわれています。※5

ミトコンドリアの活性化に関わる成分として注目されているのが、ザクロに含まれているエラグ酸です。エラグ酸の代謝産物であるウロリチンAが老化の制御に関わる機能を持つとされるたんぱく質のサーチュインを活性化し、ミトコンドリアの増大にも関わると期待されているのです。※6

ミトコンドリアの活性についての詳細は、こちらを参照ください。
ミトコンドリアの活性が健康のカギ? 意識して摂取するべき食材は
ミトコンドリアとは? 食事で延ばす健康寿命!
アスコルビン酸とは? ビタミンCの本名とミトコンドリアの関係

ザクロのエラグ酸など注目を集める食品の機能性成分

食品の機能性に注目が集まったのは1980年代からといわれています。1993年には特定保健用食品の第1号が誕生。現在では、食品の機能性成分に期待した商品を、いくつも店頭で見かけるようになりました。※7

食品の機能性成分には多くの種類があり、さまざまなものに含まれています。例えば、大麦には水溶性食物繊維のβグルカン、玉ねぎにポリフェノールのケルセチン、にんじんやトマトには色素成分のリコピンなどが含まれています。

体の健康をサポートするのは、栄養バランスの整った食事だといわれています。栄養バランスを整えることは、さまざまな食品を食べることにつながり、機能性成分も上手に摂取できるのではないでしょうか。

また、食品の機能性成分はひとつの食品だけでなく、複数の食品に含まれています。エラグ酸はイチゴやラズベリー、クルミなどにも含まれており、ザクロ以外のものからも摂取することが可能です。※1※8

ザクロのエラグ酸については、さまざまな研究が行われています。ミトコンドリアの活性化についても同様です。これらの研究ではいまだに解明されていない点もあり、今後の発展が期待されています。※1※4

エラグ酸についてはこちらを参照ください。
エラグ酸とは? 注目のポリフェノールを含む食材を紹介
ザクロに含まれるエラグ酸とは? オートファジーにも有効

まとめ

ザクロに含まれているエラグ酸が、ミトコンドリアを活性化すると期待されています。ザクロだけでなく食品にはさまざまな機能性成分が含まれています。機能性成分が体に対してどのようにアプローチするのか、研究は現在も行われています。

(あわせて読みたい)
オートファジーとは。ノーベル賞の発見がいま再び話題に
細胞の若返り機能オートファジーと老化の関係性

<参考>
※1 ザクロ等に含まれるエラグ酸の生理機能性
https://kindai.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=19188&item_no=1&attribute_id=40&file_no=1
※2 ザクロの特徴と日本におけるザクロ栽培の歴史について
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010890721.pdf
※3 生化学 編:薗田 勝
※4 ミトコンドリアにおける加齢変化と糖代謝
https://www.jstage.jst.go.jp/article/tonyobyo/51/4/51_4_295/_pdf
※5 ミトコンドリア病
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000089975.pdf
※6 日経バイオテク 最近よく聞くエラグ酸、脂肪低下や老化防止に効くって本当?
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/011900001/23/02/21/00525/
※7 「特定保健用食品」制度のあゆみ
https://www.cao.go.jp/consumer/history/03/kabusoshiki/tokuho2/doc/150805_shiryou2.pdf
※8 「カラダにいい」 は 「美味しい」― 農産物が持つ「機能性」への期待 ―
https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/attach/pdf/torikumi2-67.pdf