糖と料理

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適糖ライフのススメVol.2 「糖は悪者か?」



糖を悪者と思っていませんか?

普段あまり健康情報や食の情報にアンテナを立てていない方でも最近耳にしたことがあるのが「糖質を控える」「糖質オフ」「糖質制限」といったワードではないでしょうか?
どうも様々な情報が渦を巻き、「糖をとらなければ健康」「ダイエットには糖質は大敵」といった風潮になっているようにも感じます。

前回、糖の種類についてもお話しましたが、(※参照:『適糖ライフのススメVol.1 「遊離糖類とは」』)「糖質」と言っても多岐に渡る食材に、様々な形で存在しています。

その糖は全て邪魔ものなのか?糖の働きも含めて、今回は
1.    糖は体の中でどのような働きをするのか?
2.    糖は悪者か?
3.    糖対策は「質とバランス」

といったことに触れていきたいと思います。

1.糖は体の中でどのような働きをするのか?
 

まずコラムVol.1でも少し触れましたが、糖というものは下記表のように分類されており、主に食べ物として摂取するのは、糖質と一緒に食物繊維も摂れる「炭水化物」と言われるごはんやパン、麺類やイモ類などの「多糖類」という形で存在する糖質だったり、砂糖や牛乳の甘み成分である乳糖と言われる「二糖類」だったり、果物やはちみつに含まれる「単糖類」などが主に挙げられます。
 


主に体の中ではエネルギー源として、細胞が活動するために必要な高エネルギーな化合物(ATP)を作り出します。体から細胞1つ1つまで動かす要の大切な役割を果たすのが糖になります。
 

2.糖は悪者か?

糖質も必要以上に摂りすぎた分は筋肉や肝臓に貯蔵されますが、さらにそれを超えた分は脂肪として蓄積されます。
そこばかりフォーカスされてしまい、ついつい悪者扱いをされています。
本来は人間に欠かすことができない大切なエネルギー源なのです。

特に人間は1日に作られるエネルギーの1/4は脳で使用されます。脳の神経細胞の活動が止まってしまうと命にかかわるので、脳には優先的にエネルギーの供給をしています。
長期的な視点では、糖質制限による脳の飢餓状態はどれだけ脳やからだに影響を及ぼしていくのか、明確な答えは出ておりませんが、糖質が不足したり、空腹時間が長いと、頭がぼーっとしたり、イライラしたりすることにつながると言われています。
今最善と言われる炭水化物の割合は全体の食事の50~60%。しっかりと3食から糖を補い、脳にも細胞にもエネルギーが行き渡り、きちんと代謝する体づくりをすることが大切になります。
 

3.糖質対策は「質とバランス」

単に普通に必要量を3食しっかり食べ、美味しいおやつも適度に楽しんでいれば、何の問題もなく体のサイクルは回り、適正体重、適正な血液の数値を保てるのですが、問題は多く摂りすぎる場合、にあるのです。
糖質は砂糖だけに偏り過ぎると、肝心の代謝に必要なビタミンやミネラルが不足し、代謝の悪い体になってしまいます。
ごはんや麺・パンなどをしっかり摂ると、その炭水化物からは糖質以外のたんぱく質、ビタミン、ミネラルがしっかりと補うことができるので、美味しいおやつを楽しむためにも、きちんと3食ごはんに野菜、果物を意識した食事を摂ることが大切になります。

適量は下記に紹介している料理と献立を見て、「適量な適糖ライフ」を参考にしてみてください。体の代謝は1つの栄養素に着目しすぎず、全体のバランスを整えてあげることが大切になります。
 

おすすめレシピ紹介 

「適糖ライフのススメ」では、1日3食分のおすすめ献立、また、レシピの遊離糖類の目安をご紹介しています。

しかし、野菜や果物などに含まれる遊離糖類はガイドラインの対象となっていません。
リスクを確認したきちんとしたデータがないことと、果物や野菜をしっかり食べることでのメリットの方が断然大きいからです。
となるとしっかりごはんやパンを3食食べて、野菜や果物をしっかり食べてもおやつに甘い食べ物を楽しめる余地は十分にあります。

今回ご紹介する3食の献立の遊離糖類は合計で約14.2gです。
前回の夕食メニューに続き、朝食メニュー「レンチン味噌汁」のレシピをご紹介いたします。
夕食メニューの「鶏のヨーグルトクリーム風煮込み」は『適糖ライフのススメVol.1 「遊離糖類とは」』をご覧ください。

昼食メニューのレシピは次回Vol.3でご紹介しますのでお楽しみに!


朝:「レンチン味噌汁」遊離糖類約1g(野菜・果物は除く)
マグカップ1つで材料を入れてレンジでチンするだけ。栄養バランスも良いお手軽マグカップ味噌汁です。


 
<調理ポイント>
・食材の温度やレンジ、器により多少加熱する時間は異なってくるのでしっかり温まっているか調整してください。味噌は風味が飛ぶので加熱しすぎにも注意です。

<材料(1人分)>
冷凍ほうれん草    20g
油揚げ    1/4枚
まいたけ    20g
かつおぶし    1g
みそ    大さじ1/2
水    150ml

<作り方>
1.油揚げは熱湯をかけて油抜きをし、横半分に切り、5ミリ幅位の細切りにする。
2.耐熱カップにみそ以外の材料を入れふんわりとラップをして600wレンジで3分加熱する。
3.2に味噌を溶き入れる。        

<合わせる献立>
・ごはん一人 150g  ・ししゃも 一人2本 ・トマト一人1/6個


昼:「そうめん冷製トマトパスタ」遊離糖類約5.8g(野菜・果物は除く)
遊離糖類が多くなりがちなめんつゆを少量でも美味しく仕上がるよう、パスタの代わりにそうめんを使用します。

 

<レシピ>
Vol.3でご紹介します!お楽しみに!

<合わせる献立>
・果物 ぶどう60g


晩:「鶏のヨーグルトクリーム風煮込み」遊離糖類約7.4g(野菜・果物は除く)
遊離糖類を多くとってしまいがちな肉料理のソースですが、乳製品を使ってクリーミーに。ヨーグルトの酸味を使うことで遊離糖類が多い調味料を使わずに美味しく仕上げることができます。

 

<レシピ>
レシピはこちら→『適糖ライフのススメVol.1 「遊離糖類とは」』

<合わせる献立>
・ごはん 150g
・コンソメスープ


参考文献;厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイトe-ヘルスネット
野末みほ, 吉池信男「食事バランスガイド」を活用した栄養教育・食育実践マニュアル 第一出版:55-62 2006.




ライタープロフィール


渥美 まゆ美
【管理栄養士/フードコーディネーター/健康運動指導士】

保育園栄養士、健保組合、大手料理教室の講師を経てフリーランスで活動後2016年株式会社Smile meal設立。
現在は出版、メディア出演、レシピ開発など体にプラスな料理の提案をすると共に、企業向け健康セミナーの講師や従業員の健康をサポートする料理教室、高齢者向け介護予防教室など健康サポート事業にも携わる。