糖と健康

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自粛の今、糖質を摂らない生活が続くとどうなる?


自粛生活を余儀なくされる今、心身の変化を感じている方もいるでしょう。家で過ごす時間が長くなることで食事の管理に疲れ、食生活が乱れてしまってはいませんか。運動不足が続いて糖質制限ダイエットを始めたいと考えている方もいるかもしれません。ここでは、長引く自粛生活中、糖質を摂らない生活が続くとどうなるのかを解説していきたいと思います。
 

自粛生活で食事が乱れる理由

外出を自粛していると、外食の機会が減り自炊中心になることが多いと思います。自炊をしていれば健康的になれるのでは? と考えられそうなのですが、毎日3食自炊となると労力を費やして気力が失われていきます。

その結果、「食べなくていいや」と思ったり、テイクアウトで高カロリーの料理を頻繁に利用したりと反対に食事が乱れてしまうことも考えられます。特に、単身世帯では「自分だけのために食事を作る手間をかけたくない」と感じている方も多いでしょう。家族が多ければ多いだけ作る量も増えますし、どちらにとっても悩ましい状況ではあります。

また、自粛をきっかけに筋トレに励む方がいる一方で、活動量が減り太ってしまったという声が聞かれることも多くなりました。家で過ごす時間が長いと、ついついお菓子をつまんだりお酒を飲んだりとカロリー過多になりやすいのも一因ですね。

体重の増減は、摂取カロリーと消費カロリーのバランスの影響を受けます。摂取カロリーに対して消費カロリーが少なければもちろん体重は増えやすくなります。

体重を減らすためにはいろいろなダイエット法があるのはご存知だと思いますが、誤った方法として注意しておきたいものに極端な糖質制限が挙げられます。なぜ極端な糖質制限があまり良くないのか、詳しくみていきましょう。
 

糖質制限をしたくなるのはなぜ?


糖質が身体によくないと思われているのは「糖質制限ダイエット」というブームが一因しています。
糖質を制限することがダイエット成功への近道だと注目されたのは、エネルギー源となる栄養素のなかで糖質は一番先に使われるので、その糖質を制限すれば脂肪を優先して燃焼させられると考えられているためです。

つまり、糖質を制限することで体脂肪が減りやすくなり、また体重減少にもスピード感があることから効果を実感しやすいと考えられています。しかし、糖質は身体や脳のエネルギーとなる栄養素であることには変わりなく、人が健康的に生きていくためには欠かせないものです。

糖質制限はリバウンドしやすいという声もあり、警鐘を鳴らす専門家も多いので注意が必要です。ダイエットは短期間で行うためのものではなく、一生続けられる習慣を身に付けるためのものであり、糖質制限食から普通の食事に戻せばリバウンドしやすくなるというのもうなずけますよね。

ダイエットはモチベーションが大切なので「短期間で効果を実感したい」という気持ちはわかるのですが、「ダイエットをやめたときにどうなるか…」と先のことまでを考えて計画していくことが大切です。
 

糖質を摂らない生活を続けるとどうなる?


糖質は食事摂取基準によると1日のエネルギー摂取量の50~65%が理想だとされています。これは、例えば1日の摂取カロリーが2,000kcalの成人女性であれば1,000~1,300kcalを糖質から摂ることになり、ごはんを茶碗1杯の量(150g)に換算すると茶碗4.5~6.5杯に相当します。※1,2

1日にこれだけの糖質を摂取する必要があるところを極端に制限してしまうと、身体にとってはいいものではないということは想像できますよね。糖質を制限する生活を続けてしまうと次のような症状が現れると考えられています。

疲労感、イライラ、判断能力の低下、眠気、ふらつき、動悸、怒り、敵意、焦燥感、落ち込みなど。※3,4

糖質不足の状態では、このような症状が現れる可能性が高まります。1回の食事で糖質が不足するのであればどこかで補うことができますが、毎日ずっと続いてしまうとどこかで不調を感じることもあるでしょう。ごはんやパンなどの主食を摂らないことで、単純にお腹が空きやすくなったり、満足感が得られなかったりするかもしれません。精神的に満たされるという意味でも、糖質は必要なものです。

自粛生活で生活様式に戸惑っているなか、食事からの糖質が不足していると栄養バランスが崩れて体調を崩してしまう可能性もあります。糖質だけに限った話ではありませんが、心を安定させるためにも、普段から無理な制限をするべきではありません。

糖質制限は以前から人気のあるダイエット法の1つですが、懐疑的に見られている部分が多いのも事実です。糖質は健康的な身体づくりのためには欠かせない栄養素であり、「悪者」として捉える必要はありません。極端な糖質制限を続けるとかえって体調を壊すことも。自粛生活でもし体重が増えてしまったら、糖質制限を考える前に運動習慣や間食のとり方などを見直してみましょう。「糖質は控えすぎず摂りすぎず適度に」が理想です。



参考

※1 厚生労働省 日本人の食事摂取基準2020
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf

※2 文部科学省 食品成分表
https://www.mext.go.jp/component/a_menu/science/detail/__icsFiles/afieldfile/2017/12/20/1365343_1-0201r11.pdf

※3 知りたい!糖尿病 低血糖の症状とは?原因・対処法
https://www.diabetes.co.jp/dac/coexistence/insulintherapy-lowglucose

※4 糖尿病サイト 低血糖の症状は?
https://www.club-dm.jp/basic/hypo/symptom.html


ライタープロフィール

片村優美(管理栄養士)

病院にて給食管理や栄養指導に従事しフリーランスとして独立。webメディアでは健康・栄養系のライターとして記事を執筆しています。その他、食育教室や自治体主催の料理教室、短期大学の非常勤講師などの仕事を通じて、食の大切さを伝える活動をしています。