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イライラする時はハーブでリラックス、こころのバランスコントロール

ストレスの原因は人間関係や環境、お金の問題など、私たちの身の回りに溢れています。ここではストレスの解消法の一つとして、ハーブを取り入れることを提案しています。ハーブの種類とその効果、そして一般的なハーブよりも効果が強いと注目されているアダプトゲンについてみていきましょう。

1.イライラする時に効果的といわれる食材とは


何かとストレスが多くなっている現代。小学生でさえストレスを抱え悩む子がいるなど、ちょっとした問題になっています。「日本人の国民性 第14次全国調査」(※1)によると、25年間で国民の「イライラあり」は14%増加しており、イライラしたことがある人がイライラしたことがない人の割合を超え、過半数を上回る結果となっています。特に働き盛りの20代~40代のイライラが顕著です。

ストレスの原因にはさまざまなものがありますが、代表的なものとしては家庭や仕事、学校などの環境要因に加え、病気や人間関係、金銭問題などが挙げられます。ストレスの根源が取り除ければ解決の道も近づきますが、全てがすぐに対処可能なものばかりではないのが難しいところです。

このようなストレスを解消する方法としては、運動や食事が挙げられます。ビタミンCやカルシウム、マグネシウム、その他漢方や薬膳など、イライラを鎮めるといわれるさまざまな食材がよく紹介されていますが、その中でも最近再び注目され始めているのがハーブです。

2.抗ストレス作用で心身のバランスを整えるハーブの力

ハーブの有効成分を抽出する浸剤の使途において、ティーバッグによる抽出法があります。古来よりハーブティーには心身の諸症状や生活の質を改善する効果が期待されていました。

・カモミール
末梢皮膚温が上昇し、唾液アミラーゼ活性が低下する。前頭部α波が摂取後に高くなる。
・ジャスミン
心拍数が低下する
・レモンバーム
落ち着いている状態の認識の自己評価が上がる、計算速度が正確さを維持したまま上昇する
・ペパーミント
リラックス感が高くなる

ストレス負荷前にハーブティーを摂取することが、ストレス状態からの回復の速さにポジティブな影響を与える可能性が考えられます。ハーブティーが急性ストレスに対してより適応的に反応している可能性が示唆されています。(※2)

ハーブティーを美味しく飲むための分量は、一人当たりドライハーブ茶さじ1杯に対して湯の量は180ml。葉をポットにいれて湯を注ぎ、蓋をして3分間抽出します。お湯の温度が低いと有効成分が抽出されないので、90~100℃のお湯を注ぐようにしましょう。

また、ハーブは自分で育てることもできます。育てやすいハーブとしてはペパーミントやレモンバームなどがあり、いくつかをブレンドして飲むことも楽しめます。また、薬用効果の強いタイムやローズマリーを少量加えることで飲みやすくなります。飲むだけではなく栽培することで、二重に楽しむことができます。

ハーブを扱うときの留意点として、手芸・工芸用のものは食用として使用可能である保証がないこと、ドライハーブは成分の変化を避けるために遮光瓶などに入れて保管をすることなどが挙げられます。また、妊娠している女性や子どもには飲用を避けた方がよいハーブもあることを知っておきましょう。(※3)

3.イライラを鎮める?注目されるアダプトゲン!


アダプトゲンは「天然の物質」を指し、ハーブや植物の根などに存在する物質のことをいいます。アダプトゲンはストレスに対する抵抗力を高める作用を持つとして注目されています。アダプトゲンを手軽に摂取できる方法があれば、より効果的なストレス解消の手段となるでしょう。

ハーブの種類は5,000種類以上といわれていますが、なかでもアダプトゲンは20種類とごくわずかです。代表的なアダプトゲンには、以下のようなものがあります。

<代表的なアダプトゲン>
甘草、キバナオウギ、高麗人参、アメリカ人参、エゾウコギ(シベリア人参)、マイタケ、アマチャヅル、ロディオラロゼア、抹茶

アダプトゲンは日頃のストレス撃退に効果を発揮するかもしれません。一般的なハーブではあまり効果を得られないと感じている人は、アダプトゲンを取り入れてみましょう。

アダプトゲンも通常のハーブと同様に湯を注ぎ、ハーブティーとして楽しむ方法が一般的です。また、抹茶もアダプトゲンの1つになりますので、お菓子作りへの活用も可能です。シロップとしても販売されていますので、甘味のあるドリンクを楽しむこともできます。

しかし一方で、高い効果が期待できるものは、それだけ副作用が強いということも心得ておく必要があります。薬を飲んでいる、妊娠中、授乳中はアダプトゲンを避けた方がよいでしょう。たくさん摂ればそれだけ効果が出るというわけではありませんので、あくまで適量を守って取り入れてくださいね。

(あわせて読みたい)
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糖質制限と血糖値スパイクの関係について

※1 統計数理研究所国民性調査委員会 「日本人の国民性調査」
https://www.ism.ac.jp/survey/index_ks14.html

※2  https://tasc.or.jp/assist/archives/h27/pdf/2015_07B_yajima.pdf 

※3 日本調理科学会誌 vol.49 No.5 pp333~336 山本奈美,田村咲江 ハーブの日常生活への利用(2016)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/cookeryscience/49/5/49_333/_pdf/-char/ja


ライタープロフィール

佐々木優美(管理栄養士)

病院にて給食管理や栄養指導に従事しフリーランスとして独立。webメディアでは健康・栄養系のライターとして記事を執筆しています。その他、食育教室や自治体主催の料理教室、短期大学の非常勤講師などの仕事を通じて、食の大切さを伝える活動をしています。