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飴とキャンディの違いとは? 有平糖が飴細工に使えるワケ

口寂しい時や糖分を補給したい時などに舐める飴やキャンディ。自分たちが味わう日常使いの飴やキャンディ以外にも、贈り物に選ばれる美しい細工がされた飴細工があります。そもそも、飴とキャンディにはどのような違いがあるのでしょうか。

飴とキャンディの違い

飴とキャンディは、どちらも砂糖や水飴を主な材料として作られたお菓子です。ただし、キャンディに含まれるお菓子は幅広く、固いドロップや有平糖(アルヘイとう、ありへいとう)、柔らかくて食感がソフトなヌガーやキャラメル、弾力のあるグミキャンディやゼリー、口の中でふわっと溶けるマシュマロ、錠菓などもキャンディの仲間に入ります。※1※2※3※4

キャンディは砂糖や水飴を煮詰める温度によって分類されます。1つは150~165℃の高温で加熱して作られる「ハードキャンディ」、そしてもう1つが110~140℃の低温で加熱する「ソフトキャンディ」です。固さのあるハードキャンディに比べると、ソフトキャンディは食感が柔らかいという特徴があります。※1※3

飴もキャンディの一種です。日本では江戸時代になると砂糖が手に入りやすくなり、様々な飴が作られるようになったといわれています。日本ではもともと米、粟、芋などのでんぷんを糖化させて作る水飴が親しまれていました。日本における飴の歴史は下記の記事で紹介しています。※2※5※6
紀元前から日本には飴があった! 初代天皇が愛した飴とは!?

飴やキャンディは古くから世界中で親しまれてきました。ついつい飴を食べたくなる口寂しさについては下記で解説しています。
飴とフロイトの関係性。「口寂しい」を掘り下げて見る

時間が勝負の飴細工


棒に付けた飴を手やはさみで花や鳥、金魚などの形にする飴細工。職人が飴から美しい形を作る様子は非常に見事でずっと見続けていたくなるもの。このような飴細工に使われるのは、主に水飴を煮詰めて練った「晒し飴(さらしあめ)」です。透明な飴と空気を混ぜるように練り、白く濁った晒し飴を使うことで、細工がより美しく見えるといわれています。※7※8※9

職人が自由自在に扱う飴には柔らかさがあります。この時の飴の温度は約90℃です。時間が経つと温度が下がって固まってしまうため、イメージした形を手早く作るのが飴細工の難しさです。※7※8※9

また、上記のような飴細工以外にどこを切っても同じ絵柄が現れる「金太郎飴」、艶やかな飴から様々な形が生まれる「有平糖(アルヘイとう、あるへいとう)」のような飴細工もあります。※4※5※10

有平糖が飴細工に使える理由


有平糖は南蛮菓子のひとつで、日本に伝わったのは室町時代といわれています。有平糖のルーツといわれるお菓子は、ポルトガルの砂糖菓子「アルフェニン(Alfenim)」や「アルフェロア(alfeloa)」という説があります。※4※5※10

有平糖の主原料は砂糖と水ですが、これに水飴を加えて作られることもあります。砂糖を煮詰めて冷ましてから引き伸ばし、様々な形を作ります。江戸時代後期には千代結びや蝶、花など、色や形にこだわった有平糖が作られていたようです。茶席で出す干菓子やお祝いのお菓子、お供え物などで有平糖を見たことがある方もいるのではないでしょうか。有平糖について詳しくは下記の記事でご紹介しています。※4※5※10
あなたは有平糖って知っていますか?

有平糖で作った飴のお店をご紹介

〇飯田屋飴店
長野県松本市にある老舗飴菓子店。あめせんべいをはじめとしたオリジナルの飴を作っています。写真は米飴と落花生が香ばしい「まめいた」と、ピーナッツバターを練り込んだサクサクした食感と口溶けの「落花生飴」のセットです。箱入りなのでお土産にもぴったりですね。

https://www.instagram.com/p/CeAvvaxhEIp/?igshid=MXJ6aGFhNDZ1ajQyZQ%3D%3D

まとめ

素敵なビンや缶に入った飴やキャンディ、飴細工は贈り物にもぴったりです。江戸時代、盛んに作られていた有平糖は、現在も親しまれています。千代結び、貝、花など、舌だけでなく目でも楽しめるので、外国の方に贈るプレゼントにもぴったりなのではないでしょうか。コミュニケーションのひとつにもなる飴について、詳しくは下記で解説しています。
職場のコミュニケーション活性! 気分転換と笑顔をもたらす飴のパワー

<参考>
※1:キャンディについて
https://www.kanro.co.jp/RandD/basic/candy/

※2:飴
https://kotobank.jp/word/%E9%A3%B4-427402#E3.83.87.E3.82.B8.E3.82.BF.E3.83.AB.E5.A4.A7.E8.BE.9E.E6.B3.89

※3:キャンディ
https://kotobank.jp/word/%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%BC-51893

※4:水飴
https://kotobank.jp/word/%E6%B0%B4%E9%A3%B4-138565

※5:事典 和菓子の世界 中山圭子著

※6:知っておきたい和菓子のはなし 小西千鶴

※7:日本伝統飴細工の歴史
https://amezaiku.jp/history/

※8:日本伝統飴細工
https://amezaiku.jp/

※9:特集2 飴(あめ)(1)
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1611/spe2_01.html

※10:西洋から長崎に伝来した加工食品
https://www3.nagasaki-joshi.ac.jp/disclosure/article/ar48/ar48-02.pdf