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お内裏様とお雛様の関係は? 飾る位置は? 桃の節句とお供え物トリビア

 

桃の節句が近づいてくると、女の子のいるご家庭では、お雛様を飾る準備が始まります。この行事は年に1度しかないため、お雛様を飾る位置が毎年分からなくなる方もいるかもしれません。お内裏様とお雛様の関係を紐解くとともに、桃の節句とお供え物トリビアをご紹介します。

ひな祭りを桃の節句と呼ぶ理由

ひな祭りは女の子の成長を祝い、幸せを願うお祭りで、3月3日に行われます。雛人形を飾って白酒を用意し、ひなあられやひし餅などをお供えします。

ひな祭りは「上巳(じょうし)の節句」と「ひいな遊び」がルーツとされています。3月3日は中国から伝わった五節句のひとつである「上巳の節句」であり、厄や災いを払うために桃花酒を飲んで草餅を食べるなどの風習がありました。この上巳の節句と平安時代に貴族の女児たちが行っていた、人形の着物を着せ変えたり、調度品を用意したりする「ひいな遊び」の風習がひな祭りの起源といわれています。※1※2※3

では、ひな祭りを桃の節句というのはなぜなのでしょうか。桃の節句と呼ばれるようになったのは、行われるのが桃の開花時期であることや、桃の花が邪気を払うと考えられていたからです。上巳の節句には桃花酒を飲む風習がありましたが、現在は白酒や甘酒が用意されます。甘酒については下記の記事でご紹介しています※4
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童謡に見るお内裏様とお雛様の関係

桃の節句が近くなるとよく耳にするのが童謡の「うれしいひなまつり」です。おなじみの歌詞は詩人のサトウハチロー氏が1935年に作りました。この童謡ではお内裏様とお雛様が並んだ様子が歌われていることから、お内裏様が男雛でお雛様が女雛だと思っている方もいるかもしれません。

実をいうとお内裏様というのは、男雛と女雛の2人を指す言葉です。男雛と女雛の1対を「内裏雛」と呼び、お内裏様が内裏雛を表しています。内裏とは天皇の住居のこと。住居を指す言葉が天皇を表す敬称として用いられていたのです。※5

では、お雛様が指しているのは何なのでしょう。雛人形をお雛様と呼ぶ方もいるのではないでしょうか。雛人形には内裏雛だけのもの、7段飾りのものなどがあり、お雛様は内裏雛を指すといわれているほか、雛人形全てを表しているともいわれています。

迷ってしまう内裏雛の位置

 

お雛様を飾る時に男雛と女雛は左右どちらに置いたらよいのでしょうか。現在では向かって左側に男雛、右側に女雛を飾るのが一般的です。古くはこれと逆の位置に内裏雛を並べていました。※6※7

日本には昔から左を上座とする「左上位」のマナーがありました。並んだ際に当事者の左側に座るのが身分の高い人とするのが左上位です。天皇の住居である内裏は南向きに建てられており、天皇と皇后が並ぶ際には太陽が昇る東側(左側)に天皇、西側(右側)に皇后が座ります。この位置から、左上位という考え方が伝わったといわれています。※6※7

内裏雛を飾る位置を左上位に当てはめてみると、向かって右側に位の高い男雛を飾ることになるのです。では、なぜ現在は、古くからの内裏雛の飾り方と逆になっているのでしょうか。これは、国際的な儀礼が「右上位」だからです。このマナーが日本に伝わり、皇室のしきたりが変化したことから、関東を中心に内裏雛を飾る位置が変わったといわれています。※6※7

現在は、向かって左側に男雛、右側に女雛を飾る関東から広まった置き方が一般的となっています。しかし、関西の一部の地域では古くからのしきたりが今も受け継がれていて、現在の一般的な並びとは逆の位置に内裏雛を飾る家庭もあります。※6※7

また、雛人形は関東で作られている「関東雛」と、京都で作られている「京雛」に大きく分けられます。関東雛と京雛では内裏雛の表情や小道具などが異なり、京雛は内裏雛を古くからの位置に飾ることが推奨されている場合もあります。このように、地域や購入するお雛様によっても、内裏雛を飾る位置は異なります。※6
地域によって異なるものの中には、ひなあられもあります。ひなあられについては下記で紹介しています。
ひなあられの由来。関東と関西で味が違う! カラフルな色にも意味が?

桃の節句に用意する伝統的なお供え物やお菓子

 

桃の節句にお雛様を飾ってお祝いをする風習は、江戸時代から始まったといわれています。江戸時代には厄よけの意味で草餅を食べる習慣がありました。現在、ひな祭りのお祝いで用意されるお供えは、ひなあられやひし餅、雛菓子など様々です。※1※2※3※8

また、桃の節句には地域によって用意される独自のお菓子があります。長崎ではしっとりとしたカステラの表面に、砂糖細工で桃の絵をデコレーションした「桃カステラ」を供えます。京都ではよもぎ餅をひしゃくの形に整え、中心のくぼみにピンクや白のあんこを乗せた「あこや(ひちぎり)」が食べられています。愛知県の西三河地方に伝わる桃の節句で食べるお菓子は、下記で紹介していますのでご覧ください。※8
西三河の名菓、桃の節句のお菓子「いがまんじゅう」とは

童謡に歌われているお内裏様とは、実をいうと男雛と女雛を指しています。内裏雛を飾る位置は地方によって異なるようです。桃の節句でお供えされる食べ物も地方によって異なるため、受け継がれていく風習はそれぞれの家庭で異なります。各家庭で行われている桃の節句について改めて考えてみるのも面白いかもしれません。

<参考>
※1 年中行事事典 田中宣一 宮田登編
※2 暦と行事の民族誌 佐藤健一郎 田村善次郎著
※3 子供を祝う端午の節句と雛祭り 星澤博昭
※4 お家で祝うひなまつり!
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/culture/wagohan/articles/2302/spe14_03.html
※5 内裏
https://kotobank.jp/word/%E5%86%85%E8%A3%8F-92243
※6 雛人形の飾り方と並べ方
https://www.yoshitoku.co.jp/hina/column/manner/dolls-decoration
※7 右と左の話
https://www.dwc.doshisha.ac.jp/research/faculty_column/11732
※8 事典和菓子の世界 中山圭子