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アスコルビン酸とは? ビタミンCの本名とミトコンドリアの関係


果物や野菜に多く含まれているビタミンCは、体の調子を整える役割を持つ代表的な栄養素です。ビタミンCには抗酸化作用があるので、活性酸素を除去したり、その働きを抑えたりすることで、アンチエイジングに役立ちます。ここでは、エネルギーを作り出し、生命の維持に重要な役割をするミトコンドリアと、ビタミンCの関係について詳しく見ていきます。

アスコルビン酸とビタミンCの違いは何?

アスコルビン酸はビタミンCの化学名として知られています。基本的には同じものとして考えても良いですが、医学的に細かく見ていくと違いがあります。

アスコルビン酸にはL型とD型の2種類があり、ビタミンCと呼ばれるのはL型のアスコルビン酸です。L-アスコルビン酸が牛の副腎や野菜などから結晶として分離されたのは1930年頃でした。L-アスコルビン酸は後に壊血病を予防する因子となることが明らかになり、ビタミンCと呼ばれるようになって医薬品として利用されてきたのです。

加えて、L-アスコルビン酸には壊血病予防因子だけではなく、コラーゲンの合成や脂質代謝、免疫機能増強、抗ウイルス、抗腫瘍など、様々な働きを持っていることが報告されています。すなわち、ビタミンCにはこれだけ多くの可能性が期待されているということです。※1

また、L-アスコルビン酸は食品添加物としても使用されます。水に溶けやすく酸性で強い還元作用があるので、褐変、変色、風味の劣化などを防ぐ効果があるのです。さらにはビタミンCとして栄養強化を目的に使用される場合もあり、加工品をきれいに美味しく保ったり栄養を増強したりするために欠かせない成分となっています。※2

一方、D型のアスコルビン酸は、エリソルビン酸やイソアスコルビン酸と呼ばれ、ビタミンCほど強い抗酸化力を持っていません。主に酸化を防止する目的で食品添加物として加工品に使用されることがあります。※2

ミトコンドリアとビタミンCの関係


ミトコンドリアは体を動かすために必要なエネルギー(ATP=アデノシン3リン酸)を作り出す細胞小器官です。1つの細胞に100~2000個程度のミトコンドリアが含まれています。また、ミトコンドリアはATPを作りだすだけでなく、アポトーシスというガン化した細胞の死にも関わっていて、細胞の生と死の両方に関係する、とても重要な役割を担っているといえます。※3

近年は健康や美容の分野でもミトコンドリアが注目を集めています。ミトコンドリアを活性化させることによって老化を防止できたり、生活習慣病などの原因となる活性酸素の発生や働きも抑えたりできると考えられているのです。

例えば、ミトコンドリアを活性化させると代謝が促進され、活性酸素を除去して皮脂の分泌を抑えられるそうです。ミトコンドリアを活性化させるための方法として、食事のとり方や食べると良いものなどが提唱されていますが、必要な栄養素の1つとしてビタミンCが推奨されています。

ミトコンドリアの働きを阻害する活性酸素は老化や病気の原因になるので、できるだけ増やさないようにすることが大切です。活性酸素が体内で増えないようにするためには、原因となるストレスや環境的な要因(排気ガス、タバコの煙など)に注意することが大切ですが、除去に役立つ栄養素としては抗酸化作用を持つビタミンCが有効です。※4

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アスコルビン酸(ビタミンC)を多く含む食品ととり方


ビタミンCは野菜や果物に多く含まれている栄養素です。効率よくとるために、特に多く含まれる食品を知っておきましょう。

<100gあたりのビタミンC含有量>※5

ブロッコリー 140mg
ピーマン 76mg
いちご 62mg
レモン 100mg

ビタミンCと聞いてレモンを思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、レモンはそのままで食べることが難しく、日常的にとることは中々できません。15歳以上の男女が1日に摂取するビタミンCの推奨量は100mgとなっています。とりやすいものとそうでないものがありますので、数値を参考にしてとり入れてみてくださいね。ブロッコリーやピーマンなどの野菜なら、いつも食べている料理にも使いやすいと思います。

また、ドリンクとしても人気のあるザクロは、酸味がありビタミンCが多いようなイメージを持つかもしれません。しかし実際には、ザクロ100gあたりのビタミンC含有量は10mgとわずかです。ただし、ザクロにはエラグ酸が含まれており、ミトコンドリアの活性化が期待されていることも知っておきましょう。

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注意点として、ビタミンCの特徴としては水に溶けやすいことが挙げられます。そのため、ビタミンCを一度に大量摂取したとしても、とりすぎた分は尿で体の外へ排出されてしまいます。これらのことから、ビタミンCは毎日コツコツ、必要な量を意識してとることが大切です。美容や健康のためにビタミンCを意識した食生活を心がけましょう。

※1 日本食品工業学会誌33巻No.6 pp456-462(1986) アスコルビン酸の化学と食品への利用 林建樹
※2 東京都の食品安全情報サイト 食品衛生の窓|用途別 主な食品添加物
※3 昭和大学|細胞の死
※4 東京原宿クリニック|ミトコンドリアの働きを改善する活性酸素の減らし方
※5 文部科学省|日本食品標準成分表2020年版(八訂)


ライタープロフィール

佐々木優美(管理栄養士)

病院にて給食管理や栄養指導に従事しフリーランスとして独立。webメディアでは健康・栄養系のライターとして記事を執筆しています。その他、食育教室や自治体主催の料理教室、短期大学の非常勤講師などの仕事を通じて、食の大切さを伝える活動をしています。