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腸内環境改善に良いオリゴ糖の種類と特徴とは?!


色々なメディアで毎日のように目にする腸活。その中でも特にオリゴ糖という名称を見かけることが多いのではないでしょうか。オリゴ糖といっても実は様々な種類があり、その性質も違ってきます。今回はオリゴ糖の種類の違いについて見てみましょう。

そもそもオリゴ糖とは?

まずはオリゴ糖について復習しましょう。一般的に糖質といった場合には、ブドウ糖など一つの糖を指す名称である「単糖類」からその単糖類が複数結合した「多糖類」に至るまで広い範囲を指します。単糖類と多糖類の間には数個の単糖類が結びついてできた「二糖類」、「三糖類」などがありますが、これらを「少糖類」と呼び、まさにこれらがオリゴ糖の実体となります。

単糖類の数が大体10個くらいまでの小糖類を指すことが多いです。これら糖類の最小単位である単糖類にはもちろん色々な種類がありましたが、その組み合わせの違いがオリゴ糖を多種多様なものにしているのです。

オリゴ糖の効果についても復習してみよう!


オリゴ糖はビフィズス菌などの腸内細菌の善玉菌のエサとなります。善玉菌が増えることによって、腸内環境改善につながります。

ちなみに、オリゴ糖には砂糖の実体であるショ糖などのように、唾液などに含まれる消化酵素で分解されることで体のエネルギー源となる「消化性オリゴ糖」と、消化されることなく大腸まで到達する「難消化性オリゴ糖」がありますが、善玉菌のエサとなり得るのは後者のほうであり、一般的に「オリゴ糖が腸活につながる」とういう表現がなされる時には、後者を指すと思ってください(そのため、本コラムでこれ以降、オリゴ糖と表現した場合には、「難消化性オリゴ糖」を指すと思ってください)。

なお、腸内環境を語る時に、ビフィズス菌などの善玉菌自体を摂取しようとする領域を「プロバイオティクス」、今回のようにオリゴ糖を摂取することで善玉菌を活性化させようという領域を「プレバイオティクス」と表現して区別しています。

オリゴ糖が注目されるようになった背景とは?


時を遡ること今から70年くらい昔の1950年代、赤ちゃんの腸内環境についての大規模な調査がなされました。母乳を飲んでいる赤ちゃんと粉ミルクを飲んでいる赤ちゃんの腸内環境を比較してみるというもので、その結果、「母乳を飲んでいる赤ちゃんの方が、粉ミルクを飲んでいる赤ちゃんよりも、腸内にたくさんのビフィズス菌が多く生息している」ということがわかったのです。

そしてそのビフィズス菌が増えた理由が母乳にしか存在しない特定のオリゴ糖の存在ということも判明しました。そこからオリゴ糖が注目され始め、オリゴ糖と腸内環境に関する研究が活発化してきました。

特筆すべきことは、この研究を牽引(けんいん)しているのは日本ということです。日本には納豆や漬物などの発酵文化が古来より全国的に根付いているので、世界的に見ても特に腸内環境改善に熱意があるのかもしれませんね。

オリゴ糖の種類と特徴の違いとは?

オリゴ糖の種類や特徴について有名なものを見ていきましょう。

【大豆オリゴ糖】
大豆オリゴ糖は名前通り大豆などのマメ科の植物に含まれているもので、砂糖に近い甘みがあります。オリゴ糖の中では甘みに関してはトップです。

【ガラクトオリゴ糖】
ガラクトオリゴ糖は母乳や牛乳などに含まれていて、タンパク質消化を助ける働きがあります。

【ラクチュロース】
ラクチュロースはガラクトオリゴ糖と同じく牛乳に含まれているもので、カルシウムの吸収を助けてくれます。

【キシロオリゴ糖】
キシロオリゴ糖は食物繊維から作り出されるもので、熱や酸にとても強いので、調理の際にも使いやすいものです。

【キチンオリゴ糖】
キチンオリゴ糖はカニやエビなど甲殻類の殻に含まれるもので、甘味があっさりしています。よくエビを殻ごと食べた方が健康に良いといわれるのは、これを摂取できるからというのも一因です。

【フラクトオリゴ糖】
フラクトオリゴ糖はごぼうや玉ねぎなどの野菜類や果物類に含まれているもので、虫歯になりにくいという性質があります。玉ねぎを食べたときのあのほのかな甘みはこれによるものです。

【ラフィノース】
ラフィノースはてんさいに含まれるもので、近年注目を集めているものです。理由としては、これが数あるオリゴ糖の中で、一番早くビフィズス菌のエサになるという特徴があるからです。

【イソマルトオリゴ糖】(ただし大部分が消化性で、難消化性のものは一部のみ)
イソマルトオリゴ糖はハチミツやしょうゆなどの発酵食品に含まれるもので、加工に耐えうるという性質があります。例えば味噌汁として味噌をお湯に溶いたとしても壊されにくいです。ただし、難消化性のものは一部だけで、裏を返すと大部分が消化性のものとなるため、体内で消化されてエネルギー源となり、とりすぎると高カロリーとなり太ってしまうので注意が必要です。

オリゴ糖の摂取のポイントとは?

前述したように、オリゴ糖の由来は色々なものになります。どれかをピンポイントでとるのではなく、いくつかをまとめて摂取すると良いでしょう。ただしいくつか注意点もあります。

まず、各種由来のものにアレルギーがある方は注意が必要です。例えばカニアレルギーの方がキチンオリゴ糖を摂取するとアレルギー症状が起こることがあります。また、いくら健康に良くて、かつエネルギー源にならないからといって大量に一度に摂取しすぎると、逆にお腹が緩くなって下痢になるということもあるので、程よい摂取を心がけましょう。
オリゴ糖にも種類や特徴の違いがあることをしっかりと把握して、賢い腸活ライフにつなげましょう。

オリゴ糖についてはこちらでも紹介しています。
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【ライター紹介】

宮川 隆 (みやがわ りゅう)

名古屋市立大学薬学部卒業、南カリフォルニア大学(USC)国際薬学臨床研修修了、東京大学大学院理学系研究科修了
薬剤師ほか第一種放射線取扱主任者、甲種危険物取扱者、調理師など30以上の資格を保有。
現在は、国立大学法人東京工業大学キャンパスマネジメント本部
放射線安全部門 特任准教授
(国立大学法人東京大学医学部附属病院 届出研究員)
(国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 客員研究員)
(公益社団法人日本アイソトープ協会 講師)