近年、健康に良いといわれ注目を集めているナッツの中でも特に人気のピスタチオ。濃厚でクセのないおいしさがあり、デザートからおつまみまで、いろいろな食べ方を楽しむことができます。一方でピスタチオの持つ栄養素についてはあまり知られていないところ。ピスタチオでとれる栄養素について解説します。
ダイエットにはピスタチオ? 脂質の代謝を助けるビタミンが豊富
ピスタチオには食べたものをエネルギーに換える(エネルギー代謝)のに重要な役割をしているビタミンB2が多く含まれており、特に脂肪をエネルギーとして利用する際に不可欠です。※1
ダイエット中に脂質を多くとった際にはビタミンB2も意識してとるようにすると良いでしょう。ただ、ピスタチオには脂質も多く含まれているため、食べすぎには注意が必要です。食物繊維が多く含まれ、腹持ちが良いという点でダイエット中には良いですね。
発育のビタミンと呼ばれるビタミンB2が美肌をサポート
ピスタチオに多く含まれているビタミンB2には皮膚や粘膜を保護する働きもあり、不足すると皮膚炎や口内炎などを引き起こすことがあります。また、たんぱく質の合成にも関与しており、細胞の新陳代謝をサポートするため、肌を美しく保つためには欠かせない栄養素です。さらに、たんぱく質の代謝とのかかわりが深く、皮膚炎を予防する働きのあるビタミンB6がナッツの中でも特に多く含まれています。※1※2
糖質、脂質の多いお菓子の食べすぎは肌トラブルを引き起こしやすいため、ピスタチオはお菓子の代わりの間食としておすすめです。
美肌をつくるには腸活も欠かせません。ピスタチオにはビタミンのほか食物繊維も豊富に含まれているため腸活にも一役買います。腸活についてはこちらをご覧ください。
・話題のオリゴ糖が摂れる食品を活用した管理栄養士おすすめのかんたん腸活レシピ3選
・腸活とは。腸活トレーニングで明日から腸を活性化しよう
じつは骨の健康に欠かせないカルシウムも補給できる!
骨の健康というと乳製品、カルシウムというイメージもありますが、それだけではありません。ピスタチオには100gあたり牛乳と同等のカルシウムが含まれています。※3
また、カルシウムとともに骨の形成にかかわるマグネシウムが豊富です。※4
ピスタチオをはじめナッツ類にはマグネシウムが多く含まれています。丈夫な骨を維持するために、カルシウムとマグネシウムをダブルで補給できると良いでしょう。乳製品に含まれるカルシウムは吸収が良いため、骨の健康のためには日常的にとることをおすすめしますが、小腹がすいた時にピスタチオをつまみ、不足しがちなカルシウムを補給するのも良いですね。
ピスタチオを使ったスイーツのひとつにトルコの伝統菓子「バクラヴァ」があります。
詳しくはこちらでご紹介しています。
・バクラヴァとは? 生ドーナツやカヌレに続く焼き菓子の新星!
ピスタチオの一日の適量は? いつ食べると良い?
ピスタチオには食物繊維が多く含まれ、消化のスピードがゆっくりであるため腹持ちが良いです。さらにピスタチオは血糖値が上がりづらいため、ダイエット中の空腹をしのぐ間食として理想的です。一方で、脂質の含有量は多く、脂質は三大栄養素(糖質、脂質、たんぱく質)の中でも最も代謝に時間を要します。夕食後など就寝前に食べてしまうと、就寝中も胃腸が休まらず睡眠の質を悪くする、消費できずに脂肪として蓄積してしまうという恐れがあります。※5
朝食や昼食など食事の時や、間食の時間帯に食べると良いでしょう。
間食の目安は1日150~200kcal程度が適量といわれています。※6
ピスタチオは100gあたり617kcalのため、エネルギー量でみると1日30g前後が目安です。ピスタチオの55%は脂質で構成されており、食べすぎると脂質のとりすぎにつながります。食べ始めるとつい手が止まらなくなってしまいがちなナッツ類。食べる前に手で握れる程度の量を皿などに出しておくと良いでしょう。
ピスタチオはおいしさだけでなく、ビタミン、ミネラル、食物繊維など偏った食生活では不足しがちな栄養素を手軽に補給することができます。おいしく、無理なく、健康をサポートする食品として取り入れてみてはいかがでしょうか。
【参考資料】
※1 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所:「健康食品」の安全性・有効性情報、ビタミンB2
※2 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所:「健康食品」の安全性・有効性情報、ビタミンB6
※3 文部科学省:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
※4 厚生労働省 :e-ヘルスネット、マグネシウム
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-034.html
※5 厚生労働省:健康づくりのための睡眠ガイド2023、P26
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001181265.pdf
※6 厚生労働省 :e-ヘルスネット、間食のエネルギー
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-03-013.html
ライタープロフィール
渥美 まゆ美
【管理栄養士/フードコーディネーター】
保育園栄養士、健保組合、大手料理教室の講師を経てフリーランスで活動後2016年株式会社Smile meal設立。
現在は出版、メディア出演、レシピ開発など体にプラスな料理の提案をすると共に、企業向け健康セミナーの講師や従業員の健康をサポートする料理教室、高齢者向け介護予防教室など健康サポート事業にも携わる。