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腸活とは。腸活トレーニングで明日から腸を活性化しよう


第二の脳と呼ばれるほど多機能な腸は、人の健康に関わる大事な器官です。健康ブームの今日では、食べ物や運動などさまざまなアプローチによって腸活が行われています。この記事では腸活とはどのようなことをいうのかを解説し、腸内環境を整える方法や整えることのメリットを紹介していきます。

近年注目を集めている「腸活」とは、簡単にいうと腸内環境を整えることです。腸は第二の脳とも呼ばれる重要な臓器で、栄養素を吸収するだけではなく、心を落ち着かせるホルモンであるセロトニンも分泌しています。腸活というと便秘改善のイメージが強いかもしれませんが、腸の機能は幅広いのです。ここでは腸活とはどのようなことをすればよいのか、腸を活性化するためのポイントを紹介していきます。

腸内フローラを整えよう

腸内には約1000種類にも及ぶ100兆個の細菌が生息しています。その様子がお花畑のように見えるので腸内フローラと呼ばれることも。この腸内細菌には大きく分けて善玉菌、悪玉菌、その中間の菌である日和見菌という3つがあり、互いにバランスを取り合いながら存在しています。

一番多いのが日和見菌で、次に多いのが善玉菌。悪玉菌は少数です。個人によってこの腸内細菌の種類は異なります。また、抗生物質の飲用で善玉菌が減ったり、ストレスで悪玉菌が増えたりと、さまざまな要因によって影響を受けます。

悪玉菌は肥満や糖尿病、炎症性腸疾患などの疾患と密接な関係があり、たんぱく質や脂質が中心の食事や不規則な生活、ストレス、便秘などによって増えます。善玉菌は腸内を酸性に傾けることによってこの悪玉菌の増殖を抑えます。また、善玉菌は食中毒菌や病原菌による感染症予防をしたり、腸内でビタミン類を産生したりと身体にとって有益な働きをしてくれるのです。

腸活は「腸を鍛える」のような曖昧な表現で説明されることが多いですが、実際には善玉菌を増やすために食生活を含めた生活習慣を整えていくことだと説明できるでしょう。※1

腸内の善玉菌を増やす方法は2つ!


それでは腸内の善玉菌を増やすためには実際にどのようにすればよいのか、効果が期待される2つの食品を紹介していきます。

1つ目は、ヨーグルトや納豆、漬物などのビフィズス菌や乳酸菌を含む食品を摂ることです。これらの細菌は「プロバイオティクス」と呼ばれ、健康に有益な作用をもたらす生きた善玉菌です。

乳酸菌を含む食品はほかに「ザワークラウト」があります。キャベツを乳酸発酵させた発酵食品で、植物性の乳酸菌は動物性のものよりも腸内に届きやすいとされています。ザワークラウトについてはこちらをご参照ください。
ザワークラウトはピクルスと違う? 腸活にうれしい乳酸菌が豊富!

2つ目は、腸内の善玉菌を増やす作用のある「プレバイオティクス」を摂取する方法です。オリゴ糖や食物繊維がこれにあたり、野菜や果物類、豆類に多く含まれています。腸内の善玉菌は炭水化物を好み、エサにして増殖していきます。

オリゴ糖や腸内フローラについてはこちらもご参照ください。
腸活とオリゴ糖と腸内フローラとの美味しい関係とは!?
黒糖ときび砂糖、オリゴ糖は体に良い?? 特徴と上手に活用するコツ

このように腸内の善玉菌を増やす方法には、直接善玉菌を取り入れる方法と、善玉菌の数を増やす方法の2つが挙げられます。※1

一方で、悪玉菌をやっつける方法もあります。食物繊維は大腸内で発酵・分解されて善玉菌のエサとして利用されます。さらに、不溶性食物繊維は腸に刺激を与えてぜん動運動を活発にします。これによって便通が整い、悪玉菌の増殖を抑えたり有害物質が排泄されたりして腸内環境がさらに整っていくのです。

悪玉菌を減らす効果的な食材として、不溶性食物繊維を多く含むゴボウやタケノコ、キノコが挙げられます。また、わかめやバナナ、りんごなどに多く含まれる水溶性食物繊維も効果的です。※2

不溶性食物繊維は、最近話題のオートミールにも多く含まれます。オートミールを使ったレシピはこちらをご参照ください。
【イライラ対策レシピ】オーバーナイトオートミールの作り方 適糖おすすめ献立New レシピ

腸活をするとどんなメリットがある?


それでは、腸活をすることによって、体や心にどのようなメリットがあるのかを見てみましょう。

・免疫の働きを高める
免疫機能に関する免疫細胞は全体の約6割が腸に存在しています。腸内に存在する善玉菌は乳酸や酪酸などの酸を生成して腸内を酸性にする働きがあり、これによって悪玉菌の増殖を抑え、腸の働きを活発にして感染予防をします。腸活によって腸内を善玉菌優勢の状態に整えることで免疫機能を高めると考えられています。※3

・便秘や下痢の改善
慢性的な便秘や下痢、おなかの張りは悪玉菌によって生み出された有害物質が原因となります。腸内環境が悪化すると免疫細胞の働きが弱まるため、腸だけではなく全身の健康状態の悪化リスクが高まってしまいます。※3

・炎症性腸疾患の改善
腸の炎症が原因で、腹痛や下痢、血便が現れる病気を炎症性腸疾患といいます。炎症性腸疾患は寛解と再燃を繰り返すことが特徴で、発症からの期間が長くなれば癌が発生してしまう可能性もあります。腸内細菌は炎症性腸疾患と密接な関連があるとされており、腸活によって腸内細菌を好ましい状態に整えることは、炎症性腸疾患の改善に役立つと考えられています。※1

また、便秘を改善することによって老廃物が排出されやすくなり、肌がきれいになる、むくみが改善するなどの間接効果が得られる場合もあります。腸活は食べ物や飲み物からの改善が代表的ですが、運動をして腸を動かすことも効果的です。食事を整えて体を動かし、健康的な生活を送ることが自然と腸の健康にも繋がっていくことでしょう。

(あわせて読みたい)
栄養学とサステナビリティ。これからの食と健康を考える

※1 腸内細菌と健康 | e-ヘルスネット
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-003.html
※2 善玉菌を増やす体に良い食べ物、食事とは
https://dlisv03.media.osaka-cu.ac.jp/contents/osakacu/kiyo/DBo0130010.pdf
※3 腸活とは?期待される効果と方法を解説
https://www.suntory-kenko.com/column2/article/2941/


ライタープロフィール

佐々木優美(管理栄養士)

病院にて給食管理や栄養指導に従事しフリーランスとして独立。webメディアでは健康・栄養系のライターとして記事を執筆しています。その他、食育教室や自治体主催の料理教室、短期大学の非常勤講師などの仕事を通じて、食の大切さを伝える活動をしています。