皇室の引き出物にもなっている由緒あるお菓子「金平糖」に注目!


小さくて可愛らしい砂糖菓子の金平糖は、ひな祭りのお菓子としても親しまれていますが、実は皇室のご成婚の際の引き出物にも用いられています。

それではなぜ、皇室の引き出物に金平糖が選ばれているのでしょうか。ポルトガルから伝来した金平糖の歴史や伝統的な製法にも触れながら推察していきます。

 

 

金平糖は皇室のご成婚の引き出物として定番

皇室では古くからボンボニエールに入れられた金平糖が、慶事の引き出物の定番とされてきました。紀宮様や高円宮典子様のご成婚の際にも、引き出物として用いられ話題となっています。

ボンボニエールとは、フランス語で「ボンボン」と呼ばれている砂糖菓子を入れる小箱のことです。ただし、皇室の引き出物として、ボンボニエールに入った金平糖が用いられるようになった理由は、明らかにはされていません。

ボンボニエールは明治20年代から皇室で用いられるようになりました。1894年、明治天皇大婚25年記念式典の祝宴の際には、引き出物として配られています。
明治時代の初め、西洋の列強諸国との不平等条約を解消して肩を並べるため、日本では欧化政策が進められ、皇室の饗宴でも西洋料理が供されるようになりました。
その最後にプティフールという小菓子が出されることと、日本では引き出物を配る風習があったことが結びついて、西洋の菓子器であるボンボニエールに金平糖を入れて引き出物とするようになったと見られます。

江戸時代に刀剣装飾工芸で腕を鳴らしていた職人たちが、意匠を凝らした銀製のボンボニエールの作り手となり、外国人からも芸術性の高さが称賛されていました。※1

では、改めて「なぜ、ボンボニエールに入れられているのは金平糖なのか?」と問われると、はっきりした理由は不明です。ただし、明治天皇が病気を患った臣下に金平糖を賜ったという史実があることから、金平糖は皇室にとってなじみ深い砂糖菓子であったことが推測されます。
また、一般的に金平糖が結婚式の引き出物として使われるのは、金平糖を作るのには手間や日数がかかるため、これから末永く時間をかけて家庭を築いていく夫婦二人になぞらえられることによるそうです。

 

金平糖はポルトガルから伝来


そんな金平糖はカステラやボーロなどとともに、戦国時代にポルトガルの宣教師からもたらされた南蛮菓子のひとつです。その名前はポルトガル語の「コンフェイト(砂糖菓子)」が語源となっています。伝来当時の金平糖は、色とりどりで角のある形ではなく、白の球形であったと伝えられています。

1569年にはポルトガルの宣教師ルイス・フロイスによって織田信長に献上されました。信長は金平糖の形や味に驚き、気に入ったため、金平糖を何度も取り寄せて口にしたとも言われています。金平糖は高級品であったため、口にできるのは公家や高級武士のみで、庶民には手が届きませんでした。※2

江戸時代に入って鎖国された後は、元禄の頃に長崎で作られるようになりました。やがて、製法が京都や江戸にも伝わり広まっていくと、次第に町人などにも親しまれるようになったのです。そして、金平糖は色彩豊かで形状も角のあるものへと変わっていきました。明治時代の中期から後期にかけては、金平糖は駄菓子の定番のひとつでした。※3

今でもポルトガルでは、金平糖のもととなったコンフェイトが作られています。

 

熟練の技による伝統的な製法の金平糖

現在では、一般的な金平糖は機械で作られています。しかし、伝統的な製法で手作りされている商品もあり、皇室の引き出物となっているものも、職人の手によって作られる金平糖です。

手作りの金平糖は角度のついた釜で、もち米を用いたイラ粉とザラメを核にし、糖蜜をかけてコテ入れをしながら乾燥させる手順を繰り返して作られています。糖蜜をかけながら少しずつ大きくしていくため、1日で1mm程度しか大きくならず、でき上がるまでには2週間前後を要します。※4
時間がかかるとはいえ、金平糖の製作工程は、一見すると簡単な作業に思えるかもしれません。
しかし、釜の温度や糖蜜の濃度、コテ入れのタイミングなどをその日の温度や湿度に合わせて変える必要があります。何かミスをすると、金平糖が固まらなかったり、割れてしまったりするのです。
そのため、金平糖のように砂糖を結晶化させる技術はお菓子作りの中でも、かなりの難易度と見なされます。一人前の金平糖職人になるには、「コテ入れ十年、蜜掛け十年」と言われ、20年もかかるとされているのです。
さらに、果物やニッキ、お茶などの風味をつけた金平糖もありますが、砂糖に他の素材を加えると結晶化がさらに難しくなるため、より熟練した技術を求められます。

伝統的な製法で作られる金平糖は、職人が熟練の技で手間をかけているからこそ、色とりどりできれいな角のあるものに仕上がっているのです。そんな逸品だからこそ、皇室の引き出物にも用いられているのでしょう。



参照元

※1 https://www.alic.go.jp/joho-s/joho07_001678.html
皇室の菓子器「ボンボニエール」

※2 http://www.konpeito.co.jp/konpeito.html
   金平糖について

※3 https://www.ebisudo-seika.co.jp/hpgen/HPB/entries/9.html
   金平糖の歴史

※4 http://www.sasakiseika.co.jp/fs/sasakiseika/conpeito
金平糖が出来る仕組み-金平糖の語源・由来・なぜ角が出来るの?

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