手土産で定番の最中やどら焼き、行事に欠かせない柏餅やちまきなど、さまざまな種類がある和菓子。伝統的な技を受け継ぎながら時代に合わせて進化もしており、どのくらいの種類があるのか気になる方もいるのではないでしょうか。和菓子の歴史とともに、特徴をまとめました。
和菓子の歴史と特徴
和菓子は日本で古くから作られてきたお菓子の総称です。もともとは、遣唐使が持ち帰った「唐菓子(からがし)」が和菓子に影響を与えたと考えられています。その後、茶の湯が流行するとともに和菓子も発展。また、ヨーロッパからカステラや金平糖などの南蛮菓子も伝わり、影響を受けたといわれています。日本国内の戦乱が収まった江戸時代になると、美しさや味わいにこだわった和菓子が作られるようになり、現在食べられているような和菓子が誕生しました。※1※2※3※4
和菓子は含まれている水分量によって、「生菓子・半生菓子・干菓子」の3種類に大きく分けられます。さらに製法や形などで分けられますが、和菓子をはっきりと種類別に分けるのは難しいといわれており、さまざまな発展を遂げたことがうかがえます。また、和菓子は、季節や風物詩をかたどったもの、行事に欠かせないもの、日常的に親しまれているもの、同じ名前が付けられていても地域で異なるものなどがあることも特徴です。※1※2
季節や風物詩をかたどる伝統の和菓子
茶道で用意される和菓子には、季節を表したものも用意されます。この代表的な和菓子が練りきりです。練りきりは生菓子に分類され、白あんを主材料にして鍋でしっかりと練りながら作られます。繊細に季節を表現した意匠は職人のなせる技です。詳しくはこちらをご参照ください。
・練りきりってなに? 上品な甘さが魅力! 目でも楽しむ四季を彩る和菓子の世界
全国各地の名物菓子として伝わる和菓子のひとつにういろうがあります。ういろうは生菓子に分類され、米粉と砂糖と水を混ぜて蒸し上げて作られる和菓子です。1年の折り返しである6月30日に食べる「水無月」もういろうであり、残り半年を無病息災で過ごせるように、氷を模したういろうに穢れをはらう小豆がのせられています。詳しくはこちらをご参照ください。
・ういろうは日本の伝統菓子。“外郎”と記載する語源は
行事に欠かせない和菓子
日本に伝わる行事に欠かせない和菓子も多数あります。行事の時期にしか販売されない和菓子もあり、季節を感じる方もいるのではないでしょうか。また、同じ行事でも地域によって食べられている和菓子に違いもあります。
お彼岸に用意される和菓子が、生菓子のぼたもちやおはぎです。非常によく似た和菓子でありながら呼び名が異なるのは、さまざまな理由があるといわれています。食べる時期に咲く花にちなんだ呼び名にしているほか、こしあんと粒あんで呼び名を変えているなどです。詳しくはこちらを参照してください。
・ぼたもちとおはぎの違いってご存知ですか? そしてこんな雑学が?
3月3日のひなまつりには、ひなあられが用意されます。干菓子に分類されるひなあられは、地域によって食べられているものが異なります。関東ではおかきを醤油や塩などであじつけしたもの、関西ではポン菓子に砂糖をまとわせたものが主流です。地域によって食べられているひなあられが異なる理由は、こちらをご参照ください。
・ひなあられの由来。関東と関西で味が違う! カラフルな色にも意味が?
5月5日のこどもの日に用意する和菓子は、生菓子のちまきや柏餅です。ちまきは中国から日本に伝わりました。柏餅は江戸で生まれた和菓子で、縁起を担ぐ武家社会の伝統が深く関わっています。現在では、ちまきも柏餅も全国で知られていますが、由来を探ると地域差も見えてきます。詳しくはこちらをご参照ください。
・ちまきか柏餅か? こどもの日のスイーツ代表は果たしてどっち?
中秋の名月には、美しい月を眺めて過ごす「お月見」が行われます。お月見のお供え物として用意するのが月見団子です。月見団子といえば、小さく丸めた白い団子をピラミッドのように積み重ねるお供えを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。実は、地域によって用意される月見団子は異なり、詳しくはこちらで紹介しています。
・中秋の名月にお供えする月見団子。地域による違い
日常的に親しまれている和菓子
特別な日や行事に合わせて食べる和菓子だけでなく、日常的に食べられているものも多数あります。こしあんや粒あんを使ったようかんや水ようかん、たい焼きは、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなど、身近なお店でいつでも購入できる和菓子です。
また、飴と水飴、ようかんと水ようかんのように、同じようで違う和菓子があり、どのように違うのか気になる方もいるのではないでしょうか。名称に「水」が付く和菓子とそうでない和菓子の、それぞれの違いについてはこちらをご参照ください。
・固体? 液体? 水飴やようかんは何でできている?
行事や形式にとらわれず、気軽に食べる和菓子のひとつがたい焼きです。たい焼きは定番のあんこだけでなく、ツナや卵など食事系の具をはさんだものも登場するなど進化を続けています。たい焼きの新事情については、こちらで紹介しています。
・中身はあんこだけじゃない! 今食べたいたい焼き新事情
日本の文化と融合しながら進化をしている和菓子。伝統行事に用意されるものや、フォーマルな場面のお菓子としても欠かせません。それだけでなく、おやつの時間に気軽に食べる日常的なお菓子としても親しまれており、多種多様なお菓子です。
<参考>
※1:日本和菓子協会
https://www.wagashi.or.jp/
※2:事典 和菓子の世界 中山圭子
※3:和菓子のはなし 小西千鶴
※4:和菓子の歴史 青木直己