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低GI食品とは? 食後血糖値について考える


低GI食品は健康管理やダイエットにおいて注目を集めている健康ワードです。ただ、低GI値とはどのようなものでどんな効果があるのかを知らないという人も、多いのではないでしょうか。ここでは、低GI値について詳しく解説し、食後血糖値と健康についての関係を見ていきたいと思います。

GI値ってどういう意味?

GI値とはグリセミックインデックス(Glycemic Index)の略称で、食後に血糖値がどのくらい上がるかを示した数値です。GI値は1990年代に注目を集めはじめ、低GI食品を摂ることにより肥満予防や2型糖尿病のリスクを低下させる可能性があるなどさまざまな研究で報告されてきました。

健康的な人は、食事を摂ると血中のブドウ糖が増えて血糖値が上がりますが、すい臓からインスリンが分泌されることで血糖値は食前の値まで下がります。

インスリンは血糖値を下げるホルモンですが、これが大量に分泌されると血糖値を上げるホルモンとのバランスを崩して糖尿病や耐糖能異常を引き起こすリスクが高まると考えられています。

GI値の高い食品は血糖値を急激に上げやすく、低い食品は血糖値を穏やかに上げると考えられています。そのため、低GI食品はインスリンの急激な分泌を防いでくれることから、肥満や糖尿病の予防に良いと期待されているのです。※1

GI値の高い食品と低い食品


カロリーの高い食品=GI値の高い食品と考えている人も多いかもしれませんが、決してイコールというわけではありません。

基本的には、血糖値を上げやすい食品はごはんやパン、砂糖などの糖質の多い食品です。また、糖質を多く含む食品のなかでも、白いごはんや食パンはGI値が高く、ライ麦パンやそばなどはGI値が低くなっています。

これは食物繊維の量によって変わり、含まれる食物繊維が多いほどGI値が低いということがわかってきました。

オーストラリアのシドニー大学では、GI値によって食品を3区分に分けています。以下には主に糖質の多く含まれる食品のGI値についてまとめました。野菜やきのこ、肉、魚、乳製品などは糖質が多く含まれていないので、ほぼ低GI食品に分類されています。

・高GI食品(GI値70以上)
じゃがいも(96)、餠(82)、精白米(75)、おかゆ(88)、食パン(89)、フランスパン(80)

・中GI食品(GI値56~69)
玄米(66)、クロワッサン(67)、パスタ(58)、とうもろこし(62)、うどん(62)、そば(59)

・低GI食品(GI値55以下)
ライ麦パン(50)、全粒ライ麦パン(62)、オールブラン(55)、さつま芋(44)
※2

GI値は、白米や食パンのように精製された食品よりも、玄米やライ麦パンのように加工度の低い食品の方が低くなる傾向にあります。

ただ、健康のためにはGI値だけではなく糖質や脂質の量、カロリーも関係することは確かです。例えばGI値の低いライ麦パンを食べていても、脂質の多いバターを付けて食べればまた別の話になってしまいます。

健康的な食事は一方向から見つめるだけではなく、多角的な方向から見て全体的なバランスを捉えることが大事だといえるでしょう。全ては食事の組み合わせ方次第だと知っておく必要があります。

食後血糖値の上昇を防ぐためには?


血糖値の正常値は、早朝空腹時で100mg/dL、食後2時間値で140mg/dL未満とされています。一方、糖尿病型とされるのは早朝空腹時血糖値が126mg/dL以上、食後2時間値で200mg/dL以上です。

糖尿病の診断はその他の検査値も併せて総合的に診断されるので、この数値だけを見るわけではありませんが、自分がどの程度のリスクなのかを把握する目安にはなります。

また、食後は高血糖になりやすくても早朝空腹時は正常など、見落としやすいタイプもあるので十分に注意しなくてはなりません。糖尿病は遺伝的な要素も関係していますが、食生活や生活習慣などでリスクを下げることは可能です。

食後高血糖を防ぐためには、次のような方法があります。

まずは、食事からの糖を適量の範囲内で摂取し、尚且つ低GI食品を意識してとり入れるという方法です。糖は身体や脳のエネルギーとなる栄養素であり、生きていくためには欠かせないものです。糖を極力摂らない生活を続けると、低血糖を起こして反対に健康を害してしまう場合があるので注意しましょう。

次に、セカンドミール効果を利用する方法です。セカンドミール効果とは、最初に摂る食事が次に摂る食事にも影響するという考え方。食物繊維の多い食事を摂取したあとの食事は、その次の食事の血糖値を上げにくくするというものです。セカンドミール効果は満腹感の持続にも効果が期待されています。間食をするときにはカロリーだけではなくGI値を意識してみるのも良いのではないでしょうか。※3
また、食後に甘いものが食べたくなる方も多いのではないでしょうか。そんなときは飴がおすすめです。飴は口のなかでゆっくりと時間をかけて食べるため血糖値の上昇は緩やかだといわれています。ただし、噛んでしまうと血糖値を急に上げてしまうので注意が必要です。食後に少しだけ甘いものがほしいときは、「飴をゆっくり舐める」ことを意識して活用してみてはいかがでしょうか。

単純に摂取する糖の量を抑えるだけでは、食事のバランスが崩れてしまい健康を害することもあります。また、GI値が低いからといってそういった食品ばかりを食べれば健康というわけでもありません。必要な量の糖質は摂りながらも、血糖値の急な上昇を防ぐために、低GI食品を活用してみてはいかがでしょうか。

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参考

※1 大塚製薬 血糖値に関するメカニズム
https://www.otsuka.co.jp/health-and-illness/glycemic-index/glucose-level/

※2宇部内科小児科 wtGL値換算表について
http://www.ube-clinic.jp/16diabetes/wtglweight_gl.html

※3 大塚製薬 「セカンドミール効果」って?
https://www.otsuka.co.jp/health-and-illness/glycemic-index/second-meal/
 


ライタープロフィール

佐々木優美(管理栄養士)

病院にて給食管理や栄養指導に従事しフリーランスとして独立。webメディアでは健康・栄養系のライターとして記事を執筆しています。その他、食育教室や自治体主催の料理教室、短期大学の非常勤講師などの仕事を通じて、食の大切さを伝える活動をしています。