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ピクルスとは。メリットがいっぱい、おいしいピクルスの作り方のコツ!


みなさん、ピクルスはお好きですか?海外ではハンバーガーやサンドイッチなどのパン料理には欠かせない食べ物となっていますよね。日本人にとっては漬物や梅干しなどの方が馴染み深く、あまり日常的に食べる習慣はないかもしれません。
しかし、日本の高温多湿な梅雨や夏の気候には、さっぱりとした酸味のピクルスが食品保存の面でも夏バテ対策の面でもとっても大活躍してくれます。今回はそんなピクルスの魅力をご紹介します。

ピクルスってなに?

ピクルスとは、野菜を香辛料などで調味した酢に漬けた西洋の漬物のこと。和食でいうところの、漬物の一種「酢漬け」と同じ位置づけです。日本の漬物の歴史は実に古く、平安時代には酢漬けの記録が残されているようですが、ピクルスも、約4000年前の紀元前2000年ごろには、野菜をスパイスやハーブと一緒に酢漬 けしてピクルスを作る食文化があったとみられています。※1)
「酢漬け」は今でも用いられる食品保存方法の工夫の一つですが、野菜や果物が採れない時期にも困らないようにと、これほど大昔から継承された方法だなんてロマンを感じませんか?
そんなピクルス、作り方によって大きく2つの種類に分けられます。

●発酵させてつくる方法
食塩と香辛料に食材を数日間漬け込み、乳酸発酵させて作る。ザワークラウトなどが有名です。

●発酵させないでつくる方法
塩漬けや湯通しした食材をお酢に漬け込み、発酵させずに作る。
日本で私たちがよく口にするピクルスは大抵が発酵させないでつくるタイプのもの。発酵を待つ必要がないため、すぐに食べられます。
 

 

ピクルスのメリット

野菜や果物をピクルスにすることによって、どのようなメリットがあるのでしょうか?2つのメリットをご紹介します。

●保存性を高める
ピクルスにしても漬物にしても、もともと作られた目的は食品の保存性を高めるためで、食酢の主成分である酢酸には細菌の増殖を防ぐ防腐効果があります。また、食中毒細菌が増殖しやすい条件として、一般的にpH7付近で最も増殖し、 pH4付近では大部分の食中毒細菌は増殖することがないとされています。ピクルスをはじめ、寿司や酢の物など酢を使った食品は酸によって食品の pH が低くなり、細菌の生育が抑えられ腐りにくくなります。※2※3)

●肥満の予防効果
さらに、なんと嬉しいことにお酢に含まれる酢酸には、体内での脂肪合成や内臓脂肪蓄積を低下させる効果が期待できるとの研究結果が報告されています。※4)同じ野菜を食べるにしても、ピクルスにすることで肥満が予防できる可能性があるならば、ピクルスを食べない手はないですね。


これまでピクルスを食べる習慣がなかった方も、少し興味が沸いてきたでしょうか?市販の商品もおいしいですが、実は家庭でも手軽に作ることができます。それでは、おいしいピクルスを作る際のコツをご紹介していきましょう。

美味しいピクルスを作るコツ3選!

【1】ピクルスに向く野菜・向かない野菜

●向く野菜
 【定番】にんじん、大根、きゅうり、かぶ、パプリカ、セロリなど
 【変わり種】ミニトマト、カリフラワー、ブロッコリー、みょうがなど

●向かない野菜:ほうれん草、小松菜、水菜、チンゲン菜などの葉物野菜

意外にもほとんどの野菜がピクルスに向いています。ただし、葉物野菜はえぐみや苦みが出てしまうのでピクルスには不向きです。また、イチゴやキウイフルーツなどほとんどの果物もピクルスにすることができます。果物ピクルスを作る場合は、果実酢を使うとよりフルーティーに仕上げることができます。


【2】ハーブやスパイスを活用する
ピクルスの良いところは、使用する香辛料やハーブによって様々な味のバリエーションを楽しめること。普段あまり香辛料やハーブを使用しないという方におすすめなのは、

●ハーブなら・・・ローリエやタイム、ローズマリー
手に入りやすいことと、余っても他の料理にも活用しやすいハーブです。クセが少なく、お子さまやハーブが苦手な方も挑戦しやすい味わいです。

●香辛料なら・・・ブラックペッパー、鷹の爪、カレー粉

和食や普段の料理でよく使用する香辛料も、ピクルスの味わいに良いスパイスを加えてくれます。カレー粉は様々なスパイスがバランスよく配合されているため、手軽に本格的な味わいが楽しめます。

【3】衛生面に注意する
お酢の力で保存性が高まるとはいえ、しっかりと衛生管理をされて作られた市販のものなら1年間ほど日持ちがしますが、家庭ではなかなか難しいもの。なるべく長く楽しむためのちょっとした注意点をご紹介します。

●野菜は30秒~1分程さっと湯通しする
生で食べることができる野菜なら加熱する必要はありませんが、さっと熱湯で湯通しするだけで殺菌効果があるため、より日持ちさせることができます。

●保存容器も煮沸消毒する
長期保存を前提として作るなら、保存容器も殺菌しておきましょう。耐熱性の容器を選んで、熱湯で1分間以上煮沸消毒するのがおすすめです。


ピクルスは、漬物よりも使用できる野菜や味の幅が広く様々なアレンジが楽しめるのが魅力。これからの季節、暑くて食欲のない時にもさっぱりと酸味のあるピクルスなら夏バテ対策に一役買ってくれそうですね。今年の夏は、お好きな野菜や果物、スパイスやハーブで自分のオリジナルのピクルスを作ってみてはいかがでしょうか。

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※1)農林水産省サイト内「漬物 にっぽん伝統食図鑑」
https://traditional-foods.maff.go.jp/bunrui/tsukemono
※2)農林水産省サイト内「食酢とはどのようなものですか」
https://www.maff.go.jp/j/heya/sodan/2008/02.html
※3)食中毒細菌 - HACCP関連情報データベース - 食品産業センター
https://haccp.shokusan.or.jp/glossary/shokuchu/
※4)山下 広美, 酢酸の生理機能性, 日本栄養・食糧学会誌, 2014, 67 巻, 4 号, p. 171-176


ライタープロフィール

渥美 まゆ美
【管理栄養士/フードコーディネーター】

保育園栄養士、健保組合、大手料理教室の講師を経てフリーランスで活動後2016年株式会社Smile meal設立。
現在は出版、メディア出演、レシピ開発など体にプラスな料理の提案をすると共に、企業向け健康セミナーの講師や従業員の健康をサポートする料理教室、高齢者向け介護予防教室など健康サポート事業にも携わる。