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朝の倦怠感を解消!自律神経を整える朝ごはんとは?


暖かい日が増え、朝ベッドから抜け出す苦痛も少しずつ和らいできましたね。しかし、それでも「からだがだるい」「疲れがとれない」などの理由でなかなか起きられないという方もいるのではないでしょうか? 朝感じる倦怠感は、もしかしたら自律神経の乱れが原因かも。
今回は、自律神経を整えて、朝から元気に過ごすためのポイントをご紹介します。

朝感じる倦怠感の正体は?

「なんとなくだるい」「疲れがとれない」「頭痛」「眠気」など、睡眠はしっかりとっているはずなのに、朝起きたときからなんとなく感じる体の不調は、自律神経である交感神経と副交感神経のバランスの崩れからくる症状かもしれません。
この崩れた自律神経のバランスを整えるために大切なのは主に2つ。

●ストレスのコントロール
●体内時計に合わせた生活習慣の改善

体内時計は大きく分けて「中枢時計」と「末梢時計」の2種類があり、脳にある中枢時計が自律神経全体の働きをコントロールしています。ストレスは外的要因が関わってきますが、体内時計は自分の中に備わっているもので、自分の行動次第ですぐにでも調整することが可能です。※2

では、体内時計に合わせた生活習慣の改善とは、どのようなことに気をつけたら良いのか具体的なポイントをお伝えしていきます。


体内時計のリセットには朝の行動が鍵!

そもそも体内時計とは、人間の体に備わっており一日単位で睡眠や体温、血圧やホルモン分泌などの変化を司っている大切な機能です。体内時計は光と関係があり、意識しなくとも日中は心と体が活動状態に、夜間は休息状態に切り替わります。
この「体内リズム」が、自分の「生活リズム」つまり就寝や起床、食事などの時間とズレてしまうと体にとって大きなストレスがかかり、自律神経に悪影響を及ぼします。そのため、体内リズムと生活リズムの「ズレ」をなくすことが大切。「ズレ」をなくすには朝の行動が鍵を握ります。ポイントはたったの2つ!※3

①朝、太陽の光を浴びること
体内時計は24時間より長いため、毎朝起きたときに体内時計をリセットし、早めてあげる必要があります。朝の光には、後ろにずれる時計を早める作用があり、太陽の光を浴びることで目からの信号が脳を目覚めさせ、体内時計をリセットし新しい一日をスタートさせることができます。起きたらまずカーテンを開けて自然の光を部屋の中に取り込んでみましょう。※2

②朝ごはんを食べること
体内時計は脳だけではなく、心臓や肝臓などの臓器、筋肉や皮膚などの組織に存在する「抹消時計」がそれぞれリズムを刻んでいます。この抹消時計も毎朝リセットが必要ですが、その鍵となるのが朝ごはんなのです。毎朝朝ごはんを食べるだけで、この「抹消時計」をリセットすることができ、脳の体内時計とのズレを合わせることができるのです。※2

この朝のたった2つの行動が、体内時計の乱れをリセットして、元気に一日を過ごせる鍵となるのです。


自律神経を整える理想の朝ごはんのポイント!

体内時計のズレを改善するための大切な朝ごはん。体内時計の観点から、また栄養面からみても最も理想的なのは、やはり炭水化物、たんぱく質、脂質の栄養バランスのとれた食事です。しかし、朝の忙しい時間に用意するのはなかなか難しいですよね。
とはいえ、どうせ食べるなら、より効果が実感できる朝ごはんにしたいもの。自律神経を整えるために必要な栄養素について2つのポイントをご紹介します。

❶時間がないときは、とりあえず炭水化物!
朝の脳をフル回転させるにはブドウ糖が不可欠。ご飯やパンなどの炭水化物はゆっくりとブドウ糖にまで分解され、脳に栄養として届きます。朝、ブドウ糖がチャージされないと午前中は頭がボンヤリしたまま。さらにマウスの実験ですが、朝食でご飯、パンなどの糖質を摂取すると、血糖値とともにインスリンが上昇しますが、これが体内時計のリセットには有効との報告もあります。※4
とりあえずパンやカロリーバーをかじる、おにぎりを食べるなど、手軽な食品も多いため、時間のないときはとりあえず糖質だけはチャージするよう意識すると良いでしょう。


❷たんぱく質をとるなら「トリプトファン」を意識しよう!
トリプトファンとは、必須アミノ酸の一種で、体内では合成されないため食事でとる必要がある栄養素。このトリプトファンは、日中光を浴びたりすることで、幸せホルモン「セロトニン」に合成されます。セロトニンが不足すると自律神経の調節がうまくいかなくなり心身に不調をきたすといわれています。さらに、セロトニンは夜には睡眠ホルモンである「メラトニン」に合成され、なんと快眠のサポートも!
セロトニンを不足させないためには朝食でトリプトファンをとっておくことがポイントです。

【トリプトファンが豊富な食材】
肉、魚、卵、大豆製品、乳製品、ナッツ類やバナナなど

朝食で取り入れやすいものは・・・
パンやご飯にのせたり塗ったり、手軽に食べられる、
卵、納豆、豆腐、牛乳、チーズ、ヨーグルトなどがおすすめ


幸せホルモン「セロトニン」についてはこちらもご参照ください。

オキシトシン・セロトニンの分泌を増やす。食で幸せになる方法とは
厚揚げの卵とじそばの作りかた、セロトニンで5月病を乗り切ろう
5月病の憂鬱な気分を乗り切ろう セロトニンが摂れる食事とは?


睡眠時間も十分確保できているにも関わらず、朝なんとなくからだの不調を感じる場合は、体内時計がうまくリセットされていないかもしれません。朝ごはんを食べることは、栄養面だけでなく体内リズムと生活リズムの「ズレ」を解消する大切な役割も果たしています。朝ごはんをしっかり食べて、体調を整えて春の陽気を思い切り楽しみましょう。

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<参考>
※1 生労働省e-ヘルスネット「自律神経失調症」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-082.html
※2 生労働省e-ヘルスネット「体内時計」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-039.html
※3 林水産省「朝食が大事なわけ」
https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/kodomo_navi/oneday/morning1.html
※4 谷 彰子,糖質と栄養,応用糖質科学:日本応用糖質科学会誌,2019,9 巻,4 号, p. 224-229,


ライタープロフィール

渥美 まゆ美
【管理栄養士/フードコーディネーター】

保育園栄養士、健保組合、大手料理教室の講師を経てフリーランスで活動後2016年株式会社Smile meal設立。
現在は出版、メディア出演、レシピ開発など体にプラスな料理の提案をすると共に、企業向け健康セミナーの講師や従業員の健康をサポートする料理教室、高齢者向け介護予防教室など健康サポート事業にも携わる。