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低血糖は怖い? 改めてわかる糖の重要性とは

高血糖ばかりが心配されがちで、低血糖の症状や危険性についてはよく知らない人も多いのではないでしょうか。
ここでは、低血糖状態におけるリスクや症状を解説し、糖の重要性と正しい摂り方について紹介していきます。
 

低血糖の症状について知ろう

低血糖とは血糖値が約70mg/dL以下になり、レベルに合わせて特有の症状が現れることをいいます。低血糖の診断は、主に次の2つのケースがあります。

① 低血糖症状の有無に関わらず、血糖値が70mg/dLよりも低いとき
② 血糖値は70mg/dL以上だが、低血糖症状があるとき

低血糖症状は血糖値に関わらず起こる場合がありますが、一般的には70mg/dL以下になると交感神経症状が出ると考えられています。さらに50mg/dL程度では中枢神経症状が、50mg/dL以下になると昏睡や異常行動など重篤な症状が現れてくるようです。

・ 70mg/dL以下 不安、動悸、冷や汗、顔面蒼白、頻脈、手足の震えなど
・ 50mg/dL程度 頭痛、目がかすむ、集中力の低下など
・ 50mg/dL以下 異常行動、けいれん、昏睡

低血糖症状が軽いうちに低血糖症状に気が付けばよいのですが、自覚できないまま60mg/dL以下まで低下したり、突然重篤な症状が出たりする無自覚性低血糖が起こる場合もあります。

低血糖はできるだけ早く気付いて対処することが大切です。普段から低血糖を頻繁に起こす人や、普段からよく汗をかく人は気付きにくいとされているので注意しましょう。

低血糖はときに命の危険にさらされます。自分の身を自分で守るためには、低血糖状態になるとどのような症状が現れるのかを知っておくことが大切です。※1※2
 

糖不足? 低血糖はどんなときに起こりやすいのか

低血糖状態は次のような場面で起こりやすいとされています。

・ 食事の量が少ないとき
・ 食事からの炭水化物の摂取量が少ないとき
・ 運動量が多い、運動時間が長いとき
・ 空腹で運動をしたとき
・ インスリンの量が多かったとき
・ 経口薬が多かったとき
・ 飲酒をしたとき
・ 入浴をしたとき

血糖値とは血中のグルコースの濃度です。グルコースとはブドウ糖のことで、食事から炭水化物を摂取することで取り込まれます。そのため、食事からの炭水化物量が少ない場合はもちろん、食事の摂取量自体が少ない場合には十分なグルコースを得られず、低血糖を起こす可能性があります。

また、運動によって筋肉への血流が増えるとグルコースが細胞へ取り込まれていきます。そうして、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの効果が高まり血糖値が下がるのですが、運動量が多かったり時間が長かったりすると血糖値を下げすぎてしまうリスクもあります。

何ごとも「過ぎる」ことはよくありません。糖尿病は食事療法と運動療法が重要であることには変わりないのですが、極端な糖質制限や激しい運動は身を危険にさらす場合もあります。適度に炭水化物を摂取する、運動をやりすぎないことも低血糖を予防するポイントです。※2※3
 

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低血糖が起こってしまったときの対処法と役立つ食品

普段から気を付けていても、低血糖を起こしてしまうこともあります。「低血糖かもしれない…」と思ったときは、次のような対処法をとりましょう。

1. 可能であれば血糖値を測定します。
2. 低血糖状態や、血糖値を測定できる状態でない場合はブドウ糖やブドウ糖を含む飲料水をとります。
3. 15分経っても症状が改善しない場合は、もう一度ブドウ糖やブドウ糖を含む飲料水をとります。

けいれんや昏睡など、突然重たい低血糖が起きた場合はブドウ糖を飲めない場合もあります。その場合は家族や周りの人が、ブドウ糖を溶かして口の中に塗りつけ、救急車を呼ぶなどの協力が必要です。

低血糖は一度状態が回復したとしても、何度も繰り返す可能性もあります。不安な人は自己判断せず、医療機関を受診するようにしましょう。

低血糖を経験したら、なぜそのような状況になったのかを振り返り、原因を追求することも大切です。どのような場面で低血糖が起こりやすいのかを知っておけば、予防することが可能です。

低血糖症状の対処法としては、ブドウ糖を補給する方法が一般的ですが、いつでもどこでもブドウ糖を持っているとは限りません。ブドウ糖を持ち合わせていないときに低血糖が起こってしまったら、コンビニなど身近なお店で購入できる食品で代用しましょう。

ゼリー系飲料、野菜ジュース、果物ジュース、乳酸菌飲料、缶コーヒー、スポーツドリンク、ラムネ菓子などは手軽にブドウ糖を摂ることができます。

チョコレートなどの甘いお菓子は、吸収が遅いためベストではないとされています。即効性が最も高いのはブドウ糖です。低血糖の心配がない人でも、できれば常に持ち歩くことをおすすめします。

低血糖だと自己判断して対処すると、場合によってはあとから高血糖になる場合もあります。早めに低血糖かもしれないと気づいた場合は、できれば病院を受診して医師の判断を仰ぎましょう。※3※4

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参考

※1 知りたい!糖尿病 低血糖の症状とは?原因・対処法
https://www.diabetes.co.jp/dac/coexistence/insulintherapy-lowglucose

※2 国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター 低血糖
http://dmic.ncgm.go.jp/general/about-dm/040/050/05.html

※3 サノフィ DM TOWN Q&A 低血糖になったら
https://www.dm-town.com/qa/qa-case/qa-case_001

※4 メディカルノート 低血糖の症状が発生したときの応急処置
https://medicalnote.jp/contents/151020-000024-AYTQSP


ライタープロフィール

佐々木優美(管理栄養士)

病院にて給食管理や栄養指導に従事しフリーランスとして独立。webメディアでは健康・栄養系のライターとして記事を執筆しています。その他、食育教室や自治体主催の料理教室、短期大学の非常勤講師などの仕事を通じて、食の大切さを伝える活動をしています。