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米粉と小麦粉の大きな違いとは? グルテンフリーを知ろう。


最近は小麦粉の代わりに米粉を使ったパンやお菓子が人気を集めています。米粉はサクサクとした特徴的な食感ばかりが注目されがちですが、健康的なメリットを考えて選ぶ人も増えています。ここでは米粉と小麦粉、それぞれの特徴やメリットについて解説し、最近耳にすることが多くなったグルテンフリーについても見ていきたいと思います。

米粉と小麦粉の違いや特徴

それではまず、米粉と小麦粉にはどのような特徴があるのか見ていきましょう。

●米粉
米粉はうるち米やもち米などのお米を原料とした粉です。お米は主食としての用途がメインでしたが、最近はそれを粉にした米粉で作るパンや麺、お菓子への活用が増えています。

これには様々な背景があり、お米の消費量が国内で減少していること、小麦アレルギーが増えていること、小麦の価格が上昇していることなどが考えられます。

米粉は、パンに使用するとモチモチしたものに仕上がったり、焼き菓子を作るとサクサクしたものになったりと、出来上がるものの食感に特徴が現れます。また、油の吸収率が低いため、揚げ物に使用するとカロリーを抑えることができます。加えて時間が経ってもベチャっとしにくいこともメリットといえるでしょう。※1

●小麦粉
小麦粉はパンや麺類、洋菓子などに使用されており、粒子の大きさやグルテンの量によって、強力粉、中力粉、薄力粉の3種類に大別されます。小麦粉の70%程度は炭水化物から、6~15%はたんぱく質から構成されています。たんぱく質の成分はグルテニンとグルアジンで、水を加えてこねることでグルテンが形成されます。※2

小麦粉は活用の幅や利便性から家庭で使用される頻度の高い食品といえます。しかし、近年ではアレルギーを持つ子どもが増えており、特に小麦アレルギーは卵や乳アレルギーと併せて三大アレルギーと呼ばれています。こうした背景から、特にお子さんのいる家庭では小麦粉よりも米粉を選ぶ機会が増え、需要も増しています。

また、原料の小麦は以前の価格よりも高騰しており、家畜の飼料や加工品などの様々な場面に影響を及ぼしています。世界の人口が増えるにつれて食料の需要は増しますが、小麦粉が今後も安定して供給できるかどうかは不透明といえます。

小麦粉から作られるグルテンって何?


グルテンは小麦たんぱく質のグルテニンとグリアジンから生成されます。

グルテアニン…ゴムのような弾性を持ち、伸びにくいたんぱく質。
グリアジン…弾力は低いが粘着力が強く伸びやすいたんぱく質。

グルテアニンとグリアジンに水を加えてこねると、異なるたんぱく質が結びつき、適度な弾力と粘性を持つグルテンができます。グルテンはパンをふっくらと焼き上げたり、うどんのコシになったりするものです。※3

このグルテンは、食べ物を美味しくする効果があると考えられています。しかし同時に食物アレルギーなどを引き起こす原因物質としても知られており、個人の体質にもよりますが、グルテンを含まない食生活を心がける方も少なくはありません。

グルテンについてはこちらもあわせてご覧ください。
グルテンフリーとは、グルテンの特徴について理解しよう!!

グルテンフリーは健康なの?小麦粉との付き合い方


グルテンフリーのための様々な食のアイディアが提案されていることも事実です。最近ではゼラチンや寒天など、もともとグルテンを含まない食材を代用し、美味しいスイーツを創る工夫などもされています。自分に合った食生活を見つけるために、「グルテンフリー」を取り入れることも選択肢の一つかもしれません。

詳しくはこちらを参照ください
【ワインと一緒に楽しむ】グルテンフリーなブリスボールの作り方 適糖おすすめ献立New レシピ
話題のスイーツ、アガーって? ゼラチンや寒天との違いは

マクロビオティック(日本の伝統食による食生活)やオーガニック(有機栽培)など、健康に関するキーワードは多くありますが、グルテンフリーは2010年頃から聞かれるようになりました。グルテンフリーとはグルテンを含まない食品のことです。例えば、米粉で作られたうどんや、パンケーキなど、小麦粉の代わりに米粉を使った食品をグルテンフリーと呼んでいます。

なぜグルテンフリーが注目されるようになったかというと、プロテニスプレーヤーのノバク・ジョコビッチ選手が書いた本の中で紹介されていたためです。ジョコビッチ選手はセリアック病という自己免疫疾患を持っていたため、小麦を摂らない食事法に変えたところ体重が減り、体調にも大きな変化が感じられたそうです。

グルテンフリーが健康かどうかは、現在のところはっきりとした科学的根拠がないのが現実です。しかし、ジョコビッチ選手のようなセリアック病やグルテン不耐症など、グルテンを受け付けない体質の人がいるのも事実です。自分の気づかないところで体がグルテンや小麦に反応している場合は、その摂取を控えることで快方に向かう可能性もあります。※4

また、小麦粉がアレルギー源となる小麦アレルギーは年々増加の傾向にあります。アレルギー予防として避けることに科学的根拠はないとされていますが、心配であれば一度病院でアレルギー検査をしてみましょう。

最近の傾向として、小麦粉は悪者として考えられることが多いのですが、それは必ずしも正解ではありません。もし、小麦粉を食べて太ったと感じているのであれば、食べ方を見直す必要があります。米粉を使った料理ももちろん美味しいのですが、小麦粉で作った料理も同様に美味しく楽しみながら食べてほしいなと感じます。 

(あわせて読みたい)
ファイトケミカル(フィトケミカル)とは?第七の栄養素の正体
糖質制限と血糖値スパイクの関係について

※1 日本米粉協会 米粉とは
https://www.komeko.org/what/

※2 木下成製粉 小麦粉のはなし意外
https://www.flour.co.jp/knowledge/flour/

※3 小城製粉 グルテンとは?
https://kojoseifun.co.jp/gluten-2/

※4 クックビズ総研 ジョコビッチで有名になった「グルテンフリー」ってどんな食事法?
https://cookbiz.jp/soken/news/glutenfree/


ライタープロフィール

佐々木優美(管理栄養士)

病院にて給食管理や栄養指導に従事しフリーランスとして独立。webメディアでは健康・栄養系のライターとして記事を執筆しています。その他、食育教室や自治体主催の料理教室、短期大学の非常勤講師などの仕事を通じて、食の大切さを伝える活動をしています。