マテリアリティの特定
カンロは、糖を基盤とした事業を通じて、人々の健やかな生活に貢献し、持続可能な社会の実現に寄与する
カンロではこれまでも「社会性分野」「環境分野」「人材活用」「企業統治」の4つの分野をCSR全体像と捉え、活動を推進してきました。しかし、社会課題は多様化・複雑化しており、国際的な規範やガイドライン等の要請も変化し続けています。そのような状況の中、改めてカンロが事業を通じて貢献できる分野を定め、優先的に取り組むことが重要であると考え、2018年度にマテリアリティの再特定を行いました。
今後は、導き出された5つの重点領域ごとにKPIを定め、着実に活動を継続することで、カンロならではのサステナビリティを推進していきます。
特定プロセス
- SDGs、ISO14001、GRIスタンダード等の各種ガイドライン・規範をベースに社会的な要請を抽出
- 抽出された社会課題を元に各役員へのヒアリング
- 社外有識者へのインタビューを通じてカンロへの期待・要請を抽出
- 特定されたマテリアリティを経営会議で承認
- 5つの重点領域ごとに社内ワーキンググループを立ち上げ
- 5つの重点領域ごとにKPIを設定
有識者へのインタビュー

立教大学 経営学部 教授
高岡 美佳 氏
カンロが糖についての正しい理解を促進すること、特にメリットについてメッセージを発信する活動は極めて重要だと考えます。
また、近い将来、小売や流通などの取引先・納入先からの調達に関するCSRの要請はますます強まるでしょう。カンロの調達基準に社会・環境の基準を含めるのは必須ですが、まず最初のステップとして、現状やリスクを把握することから始めるべきだと思います。さらに、サプライチェーン全体の中に自社があるという意識を持つという意味でも、今後はスコープ3への対応が必要になると考えています。何か一商品でもよいので、ライフサイクルアセスメントを実施してみることも効果的なのではないでしょうか。

サステイナビジョン 代表取締役
下田屋 毅 氏
現状では、原材料調達やサプライチェーンに関わる課題認識を高める必要があると感じます。特に企業活動に関わる人権、労働者の権利、また原材料調達の課題に関する意識は、消費者や市民社会など社会全体からの注目度が高くなっています。またESG投資の観点からもこれらの項目は事業の持続可能性評価を行う際にも極めて重要となります。原材料がどこから来ているのか、どのように製造されているのか、また何が社会課題なのかを把握し対策するとともに、環境課題として自社のサプライチェーンに気候変動がどのように影響を及ぼすのかについての認識とその対策を行うことも必要となります。そして何より基本となるのは、ステークホルダーとのコミュニケーション/エンゲージメントです。カンロの重要なステークホルダーを特定した上で、それらステークホルダーがカンロのことをどう考えているかの声を聞き、マテリアリティ(重要性)を特定すること。またそのマテリアリティを基本として行動を行い、その上でカンロとして積極的に結果や進捗状況に関する情報開示を行っていかれることを期待します。

CSRアジア日本代表
赤羽 真紀子 氏
てんさい糖などの重要な原材料のトレーサビリティを確保することは、カンロのビジネスにおける価値創造の観点から見ても重要であると考えられます。この点がクリアできると、品質への信頼感醸成や、サプライチェーン上の人権リスクの低減などにつなげることができます。また、原材料生産地へのキャパシティビルディングを産学協同で進めるなど、社会貢献的なアプローチも可能性を検討してみてはいかがでしょうか。
昨今は廃プラスチックなど容器包装の環境対応への注目が高まっており、対策の有無が取引に影響する懸念もあります。取引先の調達基準が変わることも予想され、対応に向けた準備を着実に進めていく必要があると考えられます。
マテリアリティ
5つのマテリアリティ
糖の価値創造
事業を通じた
環境負荷削減
食の安全、安心
人権・ダイバー
シティの推進
組織統治


KPI一覧
- マテリアリティ
- KPI
- 糖の価値創造
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- 2030年までに糖食育受講を100万人に実施する
- 健やかな生活に貢献する商品開発
- 世界中の人がキャンディを楽しめる環境づくりに寄与する
- 事業を通じた
環境負荷削減 -
- 2030年までに食品廃棄物を2015年比20%削減(売上高原単位)
- 2030年までにCO2排出量を2015年比20%削減(工場部門)
- 食の安全・安心
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- 原料、製造委託先の品質リスク評価に基づき、品質審査を計画的に実施
- 人権の尊重・ダイバーシティの推進
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- 2021年までに男性の育児休業取得者比率を13%以上
- 2021年までに女性管理職(課長級以上)比率を8%以上
- 2020年までに「子ども参観日」の実施(次世代育成支援)
- 組織統治
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- 年間2回以上のガバナンス委員会、コンプライアンス委員会開催
- コーポレートレポート(統合報告書)の発刊
- 個人投資家向け説明会を開催